お知らせ

研究室紹介:生命科学部応用植物科学科 植物菌類病診断研究室(廣岡裕吏准教授研究室)

  • 2021年03月30日
お知らせ

植物に感染する病原体や予防医療などを追究し、迅速で正確な対策をめざす

「植物の病気の多くは菌類が原因で発症するといわれています。廣岡研究室では、国内外の企業や研究所、大学からの植物病害診断依頼を積極的に受け入れ、弱ってしまった植物がどのような病気にかかっているのか、その病気を起こしたのはどのような病原菌で、どのような対処が必要かを診断しています。いわば植物の病院のような研究室です」と紹介してくれたのは織田さん。

植物に寄生する病原菌の中には、まだ解明されていないものも多く存在します。新種の菌類や未解明の植物病害などを発見した場合は、命名することもでき、廣岡准教授もすでに50種以上の新種を発見しています。自分の研究成果が後世にまで残る可能性は、学生たちのやりがいに通じているといいます。

研究室に配属になってまもなく着手するのが、病害診断の練習です。「野外調査として採集地に赴いたり、研究所などから送られてきた植物の病状を観察し、興味を覚えたサンプルを5種選んで、研究を始めます。顕微鏡で病原体の形態観察をしたり、遺伝子解析をするなどして、どのような病気を発症しているのか特定していきます」と語る大塚さん。入室当初から、さまざまな病気の診断に取り組んでいます。

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、お互いの研究成果の発表はオンラインで実施。ウェブ会議ツールを通じて意見交換をすることで、病気の診断に必要な知識を深めています。合宿や親睦を目的としたバーベキューなどのイベントの機会は減っていますが、実験室などでの交流を通じて、個別に関係を深めているといいます。「それぞれ取り組む研究は異なりますが、先輩方は、分からないことがあれば誰もが丁寧に教えてくれるので、不安なく研究を進めています。今は直接会ってお話しをする機会が少ないですが、お互いが気持ちよくフォローし合える関係を築けています」と森岡さんは笑顔で語ります。

「本人がやる気をもって研究に取り組める環境をサポートしたい」と語る廣岡准教授。そうしたフォローを受けながら、4年生は個人研究に集中しています。廣岡研究室で手掛けられていた研究を引き継ぎ、診断技術の開発に携わっているのは大関さん。「土壌伝染病病害を引き起こすバーティシリウム菌について調べています。病原体の正体解明につながれば、種苗を植える前に発症リスクが予測できるので、病気の予防や防除につながります」と、植物の予防医療に携わるやりがいを語ります。

(初出:広報誌『法政』2021年1・2月号)

※今回はオンラインで取材しています

  • 上段左から、廣岡裕吏准教授、大関美乃利さん(4年)、織田琢郎さん(4年)、下段左から、大塚崚祐さん(3年)、森岡花梨さん(3年) ※全員、生命科学部応用植物科学科

  • 植物病害が見られる場所に出向き、枯れ具合や、特徴的な病状がないかを観察する野外調査。写真は小笠原諸島を訪れた時の一枚(2017年に撮影)

  • 研究生同士の親睦を深めるために、交流イベントも数多く開催。写真は、2019年の春にバーベキューを開催した時の一枚

  • 他の研究者との意見交換は、知識を深めるための大切な機会。写真は、2019年に開催した海外の研究者との食事会の様子