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2026年10月3日 シンポジウム「江戸東京のトポグラフィ―‐都市誌を描く試み」開催報告

  • 2026年10月15日
お知らせ

開催日:2026年10月3日(土)

会場:法政大学市ヶ谷キャンパス 富士見ゲートG503

主催:法政大学江戸東京研究センター


 2026年10月3日(土)法政大学市ヶ谷キャンパス富士見ゲートG503において、全体シンポジウム「江戸東京のトポグラフィ―‐都市誌を描く試み」を開催しました。
 午前の部は、本シンポジウムの趣旨説明のあと、田中優子氏による「江戸東京の『時間』を読む」と題した基調講演から始まりました。本講演では、江戸東京研究におけるこれまでの空間中心の議論では捉えにくかった「時間」という変化やインタンジブルな視点が重要であることが述べられました。そして、現代の東京が明治以降の破壊と再構築の延長線上にあることを踏まえ、改めて江戸の歴史的特色を問い直すべきであるとしました。
 研究報告のセッション1では「土地の記述と方法」がテーマです。小林ふみ子氏「江戸の地誌の系譜」、米家志乃布氏「近代東京の地誌」、福井恒明氏「名所案内の変遷からみる江戸東京」と3つの報告が続き、それぞれ、江戸から東京への変遷において、都市のハード面だけではない、地誌という文字資料や名所絵などの絵画を用いた江戸や東京のトポグラフィ―に関する研究成果が報告されました。
 午後の部は、まず研究報告のセッション2において「土地に生きる人々の空間と実践」をテーマとし、4つの報告がありました。高村雅彦氏「都市図から読む中国人の宇宙観」、藤原玄明氏「火災保険特殊地図から読み解く戦前の高円寺」、高道昌志氏「近代博覧絵が描く水都東京と流域圏」と続きます。地図や絵画などの資料をもとに、中国の地図からみる理念としての都市や畏敬としての郊外という視点、戦前の高円寺に展開した浪人街、水辺を描いた図像の特徴などが論じられました。セッション2の最後には、山道拓人氏「トポグラフィ-とまちづくり」において、東京における歴史的空間の再解釈と現代のまちづくりへの応用が多様な事例で議論されました。
 研究報告のセッション3は「土地を舞台としたストーリーと表象」です。中丸宣明氏「『黄金餅』の葬列」、安智史氏「ゴジラと東京/復興と破壊」、岡村民夫氏「外国人監督による東京表象の意義」では、文学・映画・落語などにみる江戸東京の表象について、異なる分野からの報告が展開しました。それぞれがテーマであるトポグラフィ―という事例に即した話題提供になっており、新たな着眼点や発想が新鮮でした。
 研究報告のあとは、総合コメンテーターである陣内秀信氏から、すべての講演や報告について詳細なコメントを受け、最後に全体討論となりました。フロアからのコメント・質問や各報告者のコメントなどを行った後、基調講演の田中氏からも最後のまとめの言葉が述べられました。
 陣内氏・田中氏からは、江戸東京研究センターの今後の研究活動への心強い励ましもあり、今年度の全体シンポジウムは終了いたしました。本シンポジウムの成果は、論文集として刊行される予定になっております。みなさま、どうかご期待いただければ幸いです。

(米家志乃布)