キャリアセンター利用案内

キャリアセンター長からのメッセージ

キャリアセンター利用案内

 今を生きる誰もが経験したことのない世界に、私たちは暮らし、働き、生きています。その特徴は2つ。 
「先行きの見えない世界」であり、「多様な価値観が共存する世界」だということです。

 私たちは今、「先行きの見えない世界」に生きています。新型コロナウイルス感染症が引き起こしたパンデミックによって、「緊急事態」が実は日常の至るところに潜んでいたことを、私たちは知りました。そして、このような世界を生き抜くには、日本の教育が長く重視してきた「未来のために周到に準備する心構え」を相対化しなければいけないことに気づいたのです。どんなに周到な準備をしても、必ず想定外の事態は発生します。その時、慌てることなく的確に対処するには、事前の計画を大胆に変更する臨機応変さや、想定外を受け入れ、危機に立ち向かう勇気が必要です。想定外を生き抜く力とは、「周到な準備」と「即興の対応」で構成され、どちらか一方に偏ることなく、常にバランスをとりながら試行錯誤を続けることだと言えるでしょう。

 そして同時に、私たちは今、「多様な価値観が共存する世界」に生きています。その世界の先には明るい未来がしっかりと見えます。例えば、SDGs(持続可能な開発目標)には、経済的な意味に限定されない、様々な意味での「繁栄」のかたちが示されていて、多様な価値観が共存することの素晴らしさと可能性を感じることができます。しかし一方で、多様な価値観が交錯する世界の怖さを、私たちは今強く感じているはずです。ロシアによるウクライナへの侵攻。人々の生命や自由を武力で奪おうとする行為はけっして許されない。私は侵略行為に強く反対する姿勢を持ち続けると同時に、平和的・民主的に価値観の違いを乗り越えようとする意志の大切さを改めて感じています。「多様な価値観が共存する世界」が明るい未来へと向かっていくには、価値観の違いが生み出す葛藤と理性的に向き合い、知性と感性を使って葛藤を乗り越えていく力が必要だと言えるでしょう。

 さて、「主体的にキャリアを形成する」とはどのようなことを意味するのでしょうか。それは、「誰一人として経験したことのない未来の世界で、どのように自分らしく暮らし、どのように自分らしく働き、そして、どのように自分らしく生きていくかを真剣に考え、試行錯誤を繰り返しながら、自分自身の力で歩んでいく」ことだと、私は考えています。
 21世紀も半ばに向かっているこの時、私たちがたまたま居合わせた「先行きの見えない世界」や「多様な価値観が共存する世界」は楽しさや喜びだけの世界ではありません。でも、私たちが歩もうとする道の先に明るい未来を見出すことができます。そして、そんな未来を実現するために学んでいく。そのマインドセットが法政大学憲章「自由を生き抜く実践知」に示されています。それは、社会課題の解決につながる「実践知」であると同時に、一人ひとりが自分らしく暮らし、働き、生きることにつながる「実践知」でもあるのです。

 専門分野の学習とキャリア関連の学習が「自由を生き抜く実践知」の両輪です。キャリアセンターは、「主体的にキャリアを形成する」ことを目指す一人ひとりを支援していきます。未来を見据え、自由を生き抜き、自分らしいキャリアを歩んでいきましょう。

キャリアセンター長 長岡 健