お知らせ

「環境月間」特別企画・日本で最も古くから高層大気の観測に挑んできた「高層気象台」及び「気象研究所」訪問”こだわりの詰まった”エコツアー大成功!

  • 2023年07月04日
  • イベント・行事
お知らせ

 2023年6月21日(水)、法政大学環境センターは、2023年6月の「環境月間」特別企画として、「高層気象台」及び「気象研究所」訪問”こだわりの詰まった”エコツアーを開催しました。
 2023年5月8日(月)に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「第5類」に変更となったことから感染症対策が大幅に緩和され、再びキャンパスに活気が戻って参りました。
 “こだわりの詰まったエコツアー”において最初に訪問した「高層気象台」は、日本で最も古くから100年以上に渡って高層大気の観測に挑み、観測データは天気予報をはじめ、地球環境・気候変動の研究・監視・評価のための基盤情報として活用され、国民の生命・財産を守る防災気象情報の根幹を支えています。
 まず、「高層気象台」においては、第62次南極地域観測隊越冬隊長を務められた観測第一課の阿保敏広技術専門官より高層気象台が南極地域や国際的な観測網の基準となる観測地点であることや、世界で初めて発見したジェット気流を始めとした歴史や主な観測成果についてお話を伺いました。続いて、観測第一課調査係の山崎杏莉技官より地上気象観測、気球を用いた高層大気の観測について、さらに観測第二課の上里至主任研究官よりオゾン観測、波長別紫外線観測、日射放射観測について実際の測定機器などを用いて解説いただきました。
 当日は、予定されていた大気中を上昇しながら外気を取り込み、高度約35kmまでの空気中に含まれるオゾンの鉛直分布や気温、湿度、風向、風速を観測するオゾンゾンデ観測は、上空の風向きや天候の条件が悪く実施されませんでしたが、実際に現場で観測に携わる方々より直接話を伺うことができる貴重な機会となりました。

 高層気象台訪問後、同じ敷地に所在する気象や地震火山、気候等の各種情報の改善に向けた研究を推進する気象研究所を訪れました。到着後、同研究所 企画室 小司 禎教研究評価官より同研究所の沿革、役割、中期研究計画、また線状降水帯の予測精度の向上に向けた開発・研究の取り組みとして、研究体制や集中観測の概要について特別授業を開催してくださいました。
 とりわけ、線状降水帯は、発達する雨雲が列をなして積乱雲群を組織化し、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される線状に伸びる強い降水を伴う雨域です。近年は、線状降水帯は、数多くの甚大な災害が生じていますが、発生のメカニズムは未解明な点が多く、同研究所が中心となって、メカニズムの解明研究のための集中観測に取り組んでいます。
 続いて、 “こだわりの詰まったエコツアー”のために特別に、気象研究所の屋上や露場に設置された気象観測機器や地球温暖化予測、地震津波火山分野での解析・予測技術を始めとしたスーパーコンピューターを活用した研究開発の概要について小司 禎教研究評価官より解説いただきました。
 最後に、同研究所 川合秀明主任研究官より「地球の温度上昇予測に大きなばらつきがあるのはなぜか?」をテーマに地球システムモデルにおいて対象となる多様な現象についてご講演いただき“こだわりの詰まったエコツアー”を締めくくりました。また、川合主任研究官のご厚意によって、今秋に開催予定の「第24回環境展」において当日の様子をご紹介させていただく予定でおります。今回、“こだわりの詰まったエコツアー”に参加できなかった皆様も今秋まで楽しみにお待ちください。
 “こだわりの詰まったエコツアー”においては、高層気象台及び気象研究所を訪問し、第一線で活躍されている研究者から正確な天気予報や地球温暖化など気候変動の監視及び評価を始めとした地球環境・気候変動に関連した研究成果についてお話を伺うことができ、今回の環境センター企画・立案の“こだわりの詰まったエコツアー”は「大成功」のまま幕を閉じました。
 これからも、法政大学環境センターは、一つ一つの「行動」と「自然」とのつながりを意識して、地球環境問題の謎に迫っていきたいと思います。

高層気象台において実施している気球を用いた高層大気の観測に関するお話を伺った後に、気球にガスを入れる作業をする建物・充填庫の前で記念写真(写真左は”こだわりの詰まったエコツアー”を企画立案した環境センター 榎本 直子)。

  • 到着後、高層気象台において第62次南極地域観測隊越冬隊長を務められた阿保敏広技術専門官より観測の歴史や観測方法の変遷についてお話を伺いました。

  • 続いて、観測第一課山崎杏莉技官より高層気象台の芝生を植えた露場において実施されている気温、湿度、風向、風速、降水量、視程を始めとした地上気象観測について実際の測定機器を用いて解説いただきました。

  • 地上気象観測の後には、気球にガスを入れる作業をする充填庫に移動し、高層気象台において実施している気球を用いた高層大気の観測の仕組みについて学習しました。

  • 毎日2回、自動で行われている高層気象観測の仕組みと天気予報や気候変動の監視に役立てられることについて学習しました。

  • 高層気象観測の後には、観測第二課上里主任研究官より地球環境の監視のため実施しているオゾン、波長別紫外線、日射、赤外放射観測についてお話を伺いました。

  • 高層気象台の屋上からは、筑波山もはっきり望めました。周囲に遮蔽物がない天空が開けた場所で観測することも観測第二課の観測では重要です。

  • 気象研究所においては、“こだわりの詰まったエコツアー”のために企画室 小司 禎教研究評価官より研究所の概要、中期研究計画、予測精度向上が課題となっている線状降水帯等を始めとした気象観測に関する研究体制等について特別授業を開催してくださいました。

  • 続いて、 “こだわりの詰まったエコツアー”のために特別に、小司 禎教研究評価官より気象研究所の屋上に設置された気象観測機器や地球温暖化予測、地震津波火山分野での解析・予測技術を始めとしたスーパーコンピューターを活用した気象現象の解析の概要について解説いただきました。

  • 気象研究所の川合秀明主任研究官より「地球の温度上昇予測に大きなばらつきがあるのはなぜか?」をテーマに地球システムモデルにおいて対象となる多様な現象についてご講演いただき“こだわりの詰まったエコツアー”を締めくくりました。

  • 終了後のつくば上空はきれいな夕暮れでした。“こだわりの詰まったエコツアー”においては、気象現象と雲の関係性についてしっかり学べた贅沢な一日となりました。