「授業をきっかけに」(キャリアアドバイザー通信)

2017年01月27日

 新年を迎え、今年は例年にない寒さが日本列島を襲っています。学生のみなさんは1年間の授業が終了し、定期試験を残すのみとなりました。キャリアアドバイザーは、みなさんの学習や進路についての相談を受けるだけでなく、いくつかの授業のサポートも行っています。その中で、この1年間私が携わった「キャリアサポート事前指導・実習」という体験型授業を通して気づいたことをお伝えします。

 「キャリアサポート事前指導・実習」では、コミュニケーションスキルについて学び、そのスキルを活かして実習を行います。多くの学生が、コミュニケーション力の向上を期待してこの授業を履修しています。教員が授業内に「みなさんが思うコミュニケーション力とは何ですか」と問うと、ある学生は「相手を引き付ける話し方、わかりやすい伝え方ができること」と捉えていました。しかし、春学期の授業では学生が注目していた「話す」ことではなく、「聴く」ことを中心に学びます。ペアワークやグループワークを通して、ひたすら相手の話を聴き続けます。はじめは「聴くなんて簡単!」と高を括っていた学生も、「今までは聴いているつもりだったのかもしれない」と次第に聴くことの難しさ、奥深さを実感していきます。このコミュニケーションの基礎となる「聴く」をベースに、グループワークを円滑に進行する「ファシリテーション」のスキルも学習し、グループでの話し合いを活性化する方法も学びます。

 秋学期には、春学期に身につけた「聴く」と「ファシリテーション」のスキルを活用して、高校に出向いてキャリア教育プログラムのワークショップを開催します。プログラム作成から当日の進行まですべて学生が行うため、春学期に学んだスキルを実践・応用する力が問われます。「意見が出ないため、プログラム案が決まらない」、「リーダーばかりが進行していて、周りの人が関わろうとしない」など、学生はたくさんの壁を自分たちの力で乗り越え、実践的なスキルと自信を手に入れていきます。このような授業を通して学生は、コミュニケーション力とは何かについての自分なりの答えを自然と獲得していきました。ある学生は「相手を思いやること」、またある学生は「話し手、聴き手のそれぞれが協力して育むもの」と捉えるなど、その答えはそれぞれの経験に裏付けされています。高校までの学習では、与えられた問いに対して一つの解を求める力が必要とされてきましたが、大学では明確な解答のない答えを自分なりにみつけなければなりません。

 学生をサポートしながら私が気づいたのは、授業はきっかけであるということです。授業を受けることで、スキルを身につけたり、新たな知識を獲得したりすることができます。しかし、そこで止まってしまっては、本人の血肉にはならないのではないでしょうか。1つの授業をきっかけに、より発展的な内容が学べる授業を履修したり、習得したスキルを実践できるボランティアやアルバイトを始めるなど、自分なりの一歩を踏み出してほしいと思います。踏み出す勇気が出ない時は、ぜひ周りに目を向けてみて下さい。仲間や先生、そして私たちキャリアアドバイザーがみなさんを応援しています。

キャリアアドバイザー 葉