2011年度

観光・交流時代を捉えた都市づくりリーダーの育成

2011年度
申請教員 テーマ
観光・交流時代を捉えた都市づくりリーダーの育成

1.目標

今回の未曾有の災害後に来るべき社会の展望を含め、望ましい21世紀社会が20世紀型発想の延長上にないことは明らかである。当ゼミは都市づくりの専門家を養成しており、特にゼミ生の大半が大都市圏出身であることから、わが国の人口の半分がなお暮している地方圏の実態に接し、その難しい処方箋に取り組むことを研究活動の中心に据えている。
21世紀社会のリーダーを考えた場合、新たな都市づくり課題に対応してこれを牽引できる人材育成が必要となる。今回の活動は観光客の行動変化により抜本的な変革が求められている、わが国を代表する観光地である熱海について、地元自治体及び地域NPO等と連携して、新たな地域構造創造のための活動を実地体験させることで、社会リーダーの卵を育成することを目標とする。

2.内容・計画

1.当活動の狙いと実効性
指導教員(高見)は、熱海市とは昨年度の経済産業省「中心市街地商業活性化支援業務」への参加など地域とのつながりがある。特に前記業務では、熱海市の観光客行動の変化などを捉えた新たな都市づくりの方向を示唆し、これが地域に受入れられている。市役所にとどまらずこの動きは、前記業務に共に関わった地域NPO「アタミスタ」においても高見の提案に沿った事業展開が図られようとしている。

当ゼミのこの活動は継続的なものであり、昨年度はLU募金の助成を頂き山形県鶴岡市へ展開した。昨年度もアウトカム指標を果たし、かつ参加学生から地方自治体職員に約4割が就職し、まちづくりリーダーを目指しつつある。今年度においても同様の成果が期待でき、熱海市観光経済部、商店街連盟、前記NPO等との連携による活動の実効性は高い。

2.活動内容
当ゼミでは、毎週開講しているゼミにおいて、都市づくり全般を学んでおり、特に地方公務員となる比率が高いことから、今後の社会のあり方を考えさせるようにしている。熱海については、過去の団体客による歓楽型観光が衰退し、新たな家族・グループ型観光への転換を迫られており、このための地域社会の抜本的な変革が必要となっている。この問題意識に基づき、以下の活動を展開する。

  • 学生による現地調査(5月初頭にすでに開始済み)
  • 6月~9月、現地調査、市役所との交流、NPO活動への参加
  • 10月~12月、地域活動への継続的参加と今年度活動のまとめ、地元への発信

3.成果報告方法

当活動の成果は、年次報告書としてとりまとめる他、都市デザインの全国組織である都市環境デザイン会議の発表会(2012年7月)において発表する予定である。また、市役所、地域NPO等の了解のもと、活動成果や提案として地元において発信していく。

4.達成指標

目標の一つ目は学生のスキルアップであり、その目に見える形での達成である。21世紀の社会リーダーとなりうる地方公務員を昨年度以上生み出すことを目標に定める。目標の二つ目はリーディング・ユニバーシティとしての社会貢献の発現であり、この活動が地域のマスコミまたは地域活動家の情報発信網から発信されることを目標に定める。