2010年度

地域の実情に即した国際交流を担えるリーダーの育成 ~長野県飯田市を舞台に

2010年度
申請教員 テーマ
 地域の実情に即した国際交流を担えるリーダーの育成
~長野県飯田市を舞台に

1.目標

国際交流というと、華やかな都会での交流を思い浮かべる向きがあるが、実は地方都市や農山漁村でも海外との独自のつながりがあり、それをもとにした観光や国際交流が展開されている。

ここで取り上げた長野県飯田市は戦前、満州移民を数多く送り出した地域であり、それゆえ中国帰国者としていまここに暮らす人々も少なくない。また、近年はブラジルやフィリピンなどからの外国人も徐々に増え、市として「外国人集住都市会議」にも参加している。

こうした多民族・多文化をめぐる市の状況や取り組みを知ると同時に、すでに海外でのSAで異文化体験を経た国際文化学部3~4年次生が、その経験も活かしつつ、地域の歴史・文化を踏まえた国際交流を担える地域リーダーとして成長できるよう、現地での実習を施したい。

2.内容・計画

長野県飯田市に3泊程度泊まり、地域の実情、とくに国際交流や多民族化・多文化化をめぐる地域の歴史と現状を学び、情報交換・意見交換等を行なう。

具体的には、

  1. 定住外国人政策をめぐる市の姿勢をヒアリングする
  2. 満州移民に始まる中国とのかかわりを知ると同時に、中国帰国者を対象に設けられたデイサービス施設「ニイハオ」(飯田市鼎切石4010-1、電話:0265-24-2180)を訪問し、交流する
  3. この地域独自の自然や風俗を、外国人観光客を主対象とした観光資源という観点から考察する。とりわけ、グリーンツーリズムやこの地域特有の伝統的街並み・人形劇などの自然・文化資源が、外国人観光客に魅力あるものとして受け入れられるかどうかを探る
  4. それらを踏まえ、飯田市が国際交流を今後より有効に進める上で何ができるのか、学生の立場からの提案・提言を行なう。

以上の宿泊研修を、日本社会の多文化・多民族共生やインバウンド観光を考えてきた曽ゼミと髙栁ゼミ合同の夏休み研修として実施する。

この両名は今年度、国際文化学部長と教授会主任であり、本学部が2012年度から留学生を主対象に新たに実施予定の「SJ国内研修」(学部長会議で了承済み)のプレ研修的な意味合いを持たせることも可能であろう。実際に、この度の研修についても、「SJ国内研修」本番での受け入れ団体である「飯田市歴史研究所」(飯田市上郷飯沼3145、電話:0265-53-4670)が全面的に協力してくださることで、すでに合意ができている。

3.成果報告方法

毎年12月上旬に学内で実施している学部学会「国際文化情報学会」で研究発表を実施し、同時に同学会紀要『異文化』誌上で報告を行なう。

4.達成指標

単純な数値化は難しいが、飯田市側、とくに受け入れの「飯田市歴史研究所」からの口頭ないし文書でのコメントを、達成度評価や自己点検の1つの指標としたい。また、後期のゼミはもちろん、国際文化情報学会で参加学生たちに報告をしてもらい、各人の達成度を計るとともに、2012年度から実施予定の「SJ国内研修」に向けた基礎資料としたい。