2010年度

島原市の災害復興と歴史都市の復権 -都市の歴史的本質を探り、まちづくりの活動を誘導して、 地域の活性化を図る-実践編

2010年度
申請教員 テーマ
島原市の災害復興と歴史都市の復権
―都市の歴史的本質を探り、まちづくり活動を誘導して、地域の活性化を図る―実践編

1.目標

長崎県島原市では、過去の雲仙普賢岳の大噴火の影響で、防災都市への転換とともに、平成3年の災害復興では、歴史的都市として新たなまちづくりを計画してきた。しかしながら、その方法は現在も模索中である。そこで、本研究室では、2006年度から建築や都市の歴史の観点から調査を進め、昨年度にはその幅を広げるために「地域リーダー育成」助成金を頂き、都市再生のベースとなる基礎調査を完了した。そこで今年度、学生がその調査報告を兼ね、島原の地域再生を建築ならではの視点から新しい21世紀の歴史的都市復権を提唱し、地域のリーダーとして活躍することを目指す。

2.内容・計画

昨年度の調査内容の報告会を、島原市役所やまちづくり協議会、住民の方々を集めて行う。そこでは、まず調査地である漁師町・遊郭街・商店街のそれぞれの特徴を述べることで、地元の方に、日本屈指の歴史的価値がある都市であることを、理解していただくことを目的とする。ここでは、昨年調査を行った学生が中心となって発表会を進行することで、主体性を持つと同時に、彼らが島原のまちづくりの礎を作ることとなるため、リーダー的存在となり、まちづくりの先頭を引っ張る人材となることを目的としている。次に第二段階として、学生が解説を行う3つの地域のまち歩きを企画しており、これは、住民の方が実際に目で確認することで、理解を深めることを目的としている。学生もこのまち歩きでは、普段の生活では問われることのない表現力を存分に発揮しなくてはならず、学生の実力が試される。リーダー的存在となるには、人を惹きつけるこの表現力が極めて重要であると考え、この内容を取り入れた。更に、2006年度からの調査をまとめた報告書を現在作成中で、5月上旬に刊行する。この今までのプロセスをまとめるという重要な作業により、深く意義を考えられ、より意識を高めることが期待される。今年度では、これら3つの内容を実行し、まちづくりの方向性を学生が主体となって行うことで、行政、市民、大学の三者が一体となった新たな都市再生の実現を最終的には目指す。これらの大学の授業では経験し得ない過程を通じ、学生達の成長は間違いなく自信へと繋がり、将来、どのような場面でもリーダーとしての役割を担うことができる人材に成長していくことになると考える。

3.成果報告方法

昨年度の成果報告を、お世話になっている市やまちづくり協議会、市民の方々をお招きし、島原で調査報告会を開催予定。それに併せ、昨年度の調査対象地であった漁師町・遊郭街・商店街の3地域を実際に出向き、学生が解説を行うまち歩きも予定している。更には、本研究室で2006年度から続く島原調査の報告書を、現在作成中であり、5月上旬に刊行する。これら3つが成果報告となる。

4.達成指標

7月の島原での成果報告会と、9月の日本建築学会の発表での客観的評価が、その達成度を測る指標となる。特に重要であるのは島原での成果報告会であり、専門知識のない住民の方にどの程度理解してもらえたかを伺うことで、その指標を確認する。一方、専門的知識が求められる日本建築学会での発表は、他大学の教授などからの質問に対する答弁や発表に対する評価を達成指標とする。