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イタリアや東京に着眼し、都市史を探求
デザイン工学部建築学科 教授 陣内 秀信

2016年02月25日

プロフィール

デザイン工学部建築学科 教授 陣内 秀信

デザイン工学部建築学科
教授 陣内 秀信(Hidenobu Jinnai)

1947年福岡県生まれ。1980年東京大学大学院工学系研究科博士課程単位取得退学(1983年博士学位取得)。1982年法政大学工学部建築学科専任講師、助教授、教授を経て、2007年からデザイン工学部教授に就任、現在に至る。ローマ大学名誉学士、アマルフィ名誉市民。イタリアを中心に、イスラム圏を含む地中海世界、東京の都市研究・調査を行う。サントリー学芸賞を受賞した『東京の空間人類学』の他、著作多数。

都市の歴史を調査してまだ誰も気付いていない新しい魅力を見いだしたい

街の歴史を掘り起こすとかつての風景が見えてくる

ヴェネツィア留学時代。サンマルコ広場の前で

ヴェネツィア留学時代。サンマルコ広場の前で

未開の地を耕すといいますか、まだ他の人が興味を示していないことに目を向けて、チャレンジするのが好きです。建築の道に進みながら、設計より都市構造や歴史の研究を志したのも、まだ誰も手がけていないイタリアや東京を研究対象に選んだのも、そうした気質の表れだったかもしれません。

イタリアの研究は、もう40年以上になります。学生時代にヨーロッパ旅行をして、イタリアに興味を持ったことがきっかけです。その後、ヴェネツィアとローマに留学し、実際に住んでみて、なおさら街の魅力にとりつかれました。帰国後、法政大学の教壇に立つようになってからは、イタリアで磨いた手法を応用して、自分の身近な生活圏である東京の調査を始めました。

調べてみて分かったことですが、ヴェネツィアと東京には多くの共通点があるんです。14世紀から15世紀に建てられた歴史的な建築物が数多く残るヴェネツィアと、近代化が進んで街の風景が刻一刻と様変わりする東京。対照的に思えますが、歴史をひもとくと、どちらの都市も海と川という「水路」を持つ地形をうまく利用して、発展を遂げている。それは、今の風景を見比べるだけでは気付かなかったことです。

都市が成立すると、主要な構造が大きく変わることはありません。それが地域の特徴になります。だから、古い地図を手がかりに、街を歩き回りながら想像力を駆使すると、失われた過去の風景が見えてきます。

都市がどのように形成され、どのように集落ができて、生活圏を広げていったのか。過去にさかのぼって解明していくと、なにげない風景の中に歴史の名残りが潜んでいることに気付くんです。そうした発見が、とても面白いと感じています。

お酒と笑いを満喫してストレスを解消

イタリアの西に位置する、地中海に浮かぶ島「サルデーニャ」での聞き取り調査

イタリアの西に位置する、地中海に浮かぶ島「サルデーニャ」での聞き取り調査

ヴェネツィアで覚えた楽しみの一つが、居酒屋巡りです。ヴェネツィアには、軽食をつまみながら、短時間で手軽に立ち飲みができる店が数多くあります。車が通らない道では、野外に席が設けられて、ライトアップされた照明が美しいんですよ。どの店も深夜まで営業しているので、軽く飲んでは、街の夜景を楽しみながら次の店へ移動して、また飲む。そんなハシゴ酒が楽しいのです。以前、イタリアに取材旅行で一緒に行った編集者やカメラマンと、恵比寿でスペインバルを中心に10軒も巡ってしまいました(笑)。

テレビのお笑い番組を観るのも好きですね。関西系のテンポのいい漫才やコミカルなコントを観て、大笑いするのがストレス解消に役立っています。

法政大学の有利な環境を大いに活用してほしい

陸上ホッケー部で活躍していた大学時代。写真は検見川グラ ウンドで合宿中の練習シーン

陸上ホッケー部で活躍していた大学時代。写真は検見川グラ ウンドで合宿中の練習シーン

学生時代は、陸上ホッケーを楽しんでいました。大学闘争が始まったことで中断した時期もありましたが、結局4年間続けていましたね。ポジションはフォワードで、敵陣に切り込んでいく攻撃役のライトウイング。「風の陣内」と呼ばれていたんですよ。スポーツだけでは物足りなくて、練習が少ない冬の時期にはコーラスグループに参加したり、ダンスパーティーを企画したりもしました。エネルギーが有り余っていたんでしょう。興味を持つとなんでもチャレンジしたくなるのは、今でも変わっていません。

陣内研究室では、夏の恒例行事として外濠水上コンサート 「奏」も主催。2016年は10周年を迎える(撮影:鈴木知之)

陣内研究室では、夏の恒例行事として外濠水上コンサート 「奏」も主催。2016年は10周年を迎える(撮影:鈴木知之)

今の学生たちを見ていると、性格もいいし、センスもあるけれど、総じておとなしくなっている印象がありますね。私の研究は調査を主体としているので、研究室の学生は教え子というより、頼りになるスタッフです。調査に同行して手伝ってくれると助かるし、本当に感謝しています。学生にとってもフィールドワークは貴重な経験になるでしょう。ただ、海外に行くことを希望する学生が、近年は減ってしまっているのが残念です。

法政は、奨学金や留学などの制度も充実しているし、個性的な先生方がたくさんいます。そうした環境をもっと「有効活用」してほしいと思います。自分にとってチャンスだと思ったら見逃さずにチャレンジするような、たくましさを期待したいですね。

(初出:広報誌『法政』2015年度1・2月号)