教員紹介

森 聡

教員紹介
2022年度ゼミ募集は行いません(2021/10/21更新)

ゼミのテーマ

米中関係の新展開と世界秩序の行方

ゼミの目的及び概要

 当ゼミは、今年1月に発足したアメリカのバイデン政権の外交と世界戦略を追いながら、国際政治学の最新の文献を読み、チーム(アメリカ班、中国班、日本・アジア班、欧州班、グローバルガバナンス班)に分かれて調査・分析を行って、ゼミ生が自分なりの問いを立てて、その答えを導き出す研究を行うことを目的とします。
 バイデン政権は、分野に応じて対決・競争・協調という3つのアプローチを使って中国に向き合っていくといわれています。そのとき、中国や日本、東南アジアやヨーロッパ、国際機関はどのような影響を受け、またそのように反応してアメリカに影響を及ぼしていくのでしょうか。その先に待っているのは、対立と分断の世界なのか、それとも協調と包摂の世界なのでしょうか。当ゼミは、米中関係に軸足を置きつつ、それが日本や東南アジア、ヨーロッパといった諸地域、さらには国際機関での多国間外交、宇宙やサイバー空間をめぐる国際関係とどのように相互作用しあうのかに目を向け、研究を行います。
 ゼミでは、例えば次のような問いを立てて、調査・研究に取り組みます。米中間における先端技術、経済、デジタルインフラ、地政学的影響力、情報、軍備や各国世論などをめぐる競争は、どのように推移し、東南アジア諸国を含む東アジア地域やヨーロッパをどのように変えていくのか。台湾をめぐる米中危機が起こるとすれば、それはどのような条件の下で発生すると考えられて、日本にどのような影響が及ぶのか。ヨーロッパで、中国の経済進出を受け入れる国々と、中国への警戒を強める国々が出てきているが、それはヨーロッパ諸国間の国際関係や米欧関係にどのような影響を及ぼすのだろうか。気候変動問題やパンデミック、インフラの開発援助といった、グローバルな課題への取り組みは、米中間の協力を導くのだろうか、それとも米中間の競争的な力学は、そうした国際協力を停滞させるのだろうか。なによりも、アメリカが卓越した地位を築いてきた時代が終わり、新たに浮上してくるこうした様々な争点や課題に、日本はどのように向き合うべきか、そして国際政治を対立・分断よりも協調・包摂の方に導くいくために日本にやれること、果たすべき役割とは何なのだろうか。単なる一国主義的な平和主義・理想主義に耽溺せずに、国際政治の現実を冷静に見つめつつ、やれることとやれないことを見極めて、日本が諸外国と連携して「打てる手」とは何かを考究したい。
 こうした大きな課題を立て、単なる思い付きで議論するのではなく、国際政治の理論と歴史を学びながら、国際関係の構造とプロセス、そして文脈を見極める能力を養います。こうした訓練を積むことによって、社会人になってからも活きるような、様々な出来事を多角的・複眼的に捉えて、物事の原因や問題のありかを突き止める力を身につけます。さらには、合同ゼミにおける外交シミュレーションなどを通じて、その問題に対処するために何をすればいいのかということを考え、行動を起こすための実践的な力も身につけます。

ゼミの年間計画(合宿などを含む)

 まず春学期は初学者を想定して、国際政治学や外交論・戦略論に関する基礎知識を、入門レベルのテキストの講読・発表を通じて身につけてもらいます。
 秋学期には、覇権システムや国際協調に関する国際政治学の最新の研究論文や研究書、最新の国際情勢に関する諸外国の論考などを取り上げ、その内容について議論を重ねます。単に情勢を追うのではなく、なぜそうした国際問題が発生しているのか、関係国はなぜそのような対応をとっているのか、そこに事態を打開する策はあるかなど、春学期に学んだ基礎知識を動員した分析的な考察を行いつつ、実践的なものの考え方を身につけます。他大学との合同ゼミでは、外交シミュレーションを実施して、日頃から鍛錬した力を実践して発揮する場も用意します。国際政治学・国際関係論は、海外の大学・大学院の国際関係の諸プログラムで必ず履修を求められる科目ですので、将来国際関係にかかわる分野で在外中、もしくは就職後に企業等から海外留学したいと考えている学生に応募を薦めます。
・ 春学期:ゼミ内では、国際関係の理論と歴史に関するテキストを班ごとに分担して発表しながら基礎知識を学びます。状況が許せば、夏合宿を実施し、ケーススタディの発表と議論を行います。
・ 秋学期:ゼミ内では、アメリカの覇権や世界秩序、日本外交をテーマとして扱う文献を数本読み込んだうえで、外交シミュレーションを行います(2020年度は台湾危機シミュレーションと、対中戦略のコンペを実施)。また、ゼミ・ペーパーの執筆を進めていきます。
・ 当ゼミでは、2年生は共通課題で短いペーパーを執筆する作業を通じて、文献調査、思考や論文の書き方などの基本的な方法を身に付けてもらいます。3年生は、自分で自由に選ぶテーマ(制限なし)について、年度末までに研究論文あるいは政策提言ペーパーを執筆しますので、あらゆるテーマに自由に取り組むことが出来ます。
・例年、①夏合宿、②他大学との合同ゼミ、③OBOG大会(就活相談会含む)、④有志学生による海外自主調査旅行などを実施しています。

学生へのメッセージ

 国際政治の知識は一切問いません。国際政治学科・政治学科を卒業する時に、「大学在学中に、その当時の先端をいく国際政治のテーマについて学び、研究した」と自負できるようになりたい学生を歓迎します。ゼミに関する応募者向けのあらゆる情報は、ゼミHPに掲載されています。http://mori-semi.com/
 また、ゼミでは学生同士のディスカッションに十分に時間を割いて、論理的かつ明快にしゃべるスキルを磨きます。また、英語力も無理のない範囲で鍛え、社会人になるにあたって身につけるべきマナーや心がけなども日頃から指摘します。また、パワーポイントを駆使したプレゼンテーション・スキル等も磨きます。
 さらに、ジャーナリストや外交官など各業界の実務家や外国人専門家を招いて懇談会を開いたり、他大学との合同ゼミを開催して大型の外交シミュレーションを実施したり、OB/OGとの交流を通じて就職活動や実社会の現実を学ぶなど、学外で刺激を受けて視野を広げる機会を設けています。2020年度もオンラインでこれらの企画を催行しました。
 当ゼミは歴代第一志望の学生のみで構成されてきており、ゼミ生が最大の「資産」です。ゼミの雰囲気は明朗快活で、毎回欠席はほぼゼロということも付言します。ゼミの仲間と真剣に、かつ和気藹々と学びたい、ゼミを楽しくしたい、という意欲ある学生の応募を待っています。

成績評価方法

 各種課題の完成度、議論への参加度、年度末ペーパーの完成度(A4で6枚程度)で総合的に評価します。

ゼミ紹介ポスター