終戦から74年

2019年08月15日

本日、2019年8月15日は、終戦から74年目の終戦記念日です。

昨年の終戦記念日から今日まで、「ダイバーシティ」についてこれほど考えさせられた一年はなかったように思います。ユニバーサルマナー1の研修会を開催し、パラリンピックをめざす学生とも対談しました2。学生の多様性にきめ細かく対応する手立てについても、考える機会が多々ありました。

昨年の9月、ロサンゼルスで在米本学卒業生の集いである「法政ミーティング」3が開催されました。そのとき全米日系人博物館を見学しました。第二次大戦中の米国における日本人強制収容については周知のことと思います。しかし日本人の排斥と差別は、そのもっと前からあったのです。そのきっかけはやはり戦争でした。この時は日露戦争です。日本人の子供の公立学校への入学は拒否され、帰化申請も拒絶され、土地所有と借地が禁止され、女性は白人との結婚が認められなかったのです。このような一国内における民族差別は、往々にして戦争時に起こります。

翻って今日の日韓関係に思いをはせています。江戸時代は、歴史上もっとも日本と当時の朝鮮国が親しかった時代です。近代における不幸な歴史はご存じのとおりですが、本学は朝鮮半島の留学生を多く受け入れてきた歴史があり、韓国校友会は戦前から現在まで続いています。

私は韓国との対立について話すとき、必ず守っていることがあります。それは、二国間のみの問題としてではなく、人類が克服すべき課題として話す、という姿勢です。性暴力、強制労働、そして憎悪発言(ヘイト・スピーチ)、それらは現在でも様々な場所で起こっています。それらを起こさないようにするためには、戦争と支配関係こそなくすべきことで、その目標は日韓が共通に掲げることができるはずです。

昨年12月にはSDGsへの取り組みについて総長ステイトメント4を出し、その後本学でシンポジウム5をおこないました。本学のミッションのひとつは「持続可能な地球社会の構築」に貢献することです。2016年には「ダイバーシティ宣言」*もおこなっています。これらはSDGsの17の目標と重なります。そのSDGsの中に「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」「平和と公正をすべての人に」という項目があります。戦争はこれらすべてを実現不可能にする道です。

とりわけ今、戦争への道が準備されていないかどうか、注視したいと思います。

法政大学総長 田中優子

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