2019年度

4月

2019年度

4月28日(日)

サンデーモーニングに出演した。日米首脳会談から北朝鮮をめぐる六か国協議のこと、スリランカの自爆テロ事件、統一地方選挙と衆参同時選挙の噂など、今週もテーマには事欠かない。24日には強制不妊救済法が成立した。このことも取り上げられた。旧優生保護法は戦後になってから1948年に成立し、1996年まで続いていた。つまり戦後の法律なのである。この法律は「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことがひとつの目的で、「生殖を不能にする手術」を、「命令をもつて」おこなう。医師が情報提供し、都道府県に優生保護審査委員会があって、そこで決める。医師が届け出なければならないリストが別表として掲げられているが、35項目に及ぶ。この法律が撤廃されてからも、相模原障がい者施設殺傷事件が起き、国会議員の「生産性」発言が繰り返されている。誰もが自由を生き抜くことができる社会はまだまだ遠い。

「風をよむ」は象徴天皇についてだった。江戸時代ではすでに天皇は象徴であったが、明治時代に日本帝国の政治的権力も軍事的権力も天皇に集中させて「天皇制国家」ができあがった。日本の歴史上、特異な時代である。戦後の象徴天皇は国民主権と、天皇が象徴であることが憲法に明記された点で、江戸時代とは異なる。その「象徴とは何か」の内実を上皇は、市民としての価値観をもつ美智子上皇后とともに創造した。これからも新しい天皇皇后は内実を創造、展開できるだろうか。

4月25日(木)

本学職員の部課長会に出席した。例年、年度の最初と半ばに開催し、他の常務理事たちとともに、重要事項をお話しする。今年のテーマは中期経営計画である。まず私からダイバーシティについてお話しした。とくに女性職員比率が低くなったこと、SGU構想調書の目標と開きがあることを認識していただき、主任を増やすなどの方法で、女性役員や管理職増加に向かうようお願いした。
その後、外部評価の座長として日本学術会議の総会に出席し、昨年の活動についての評価を皆さんに説明。会場で山極壽一会長と意見交換した。
さらにその後、大学に戻って学部長会議を開催した。

4月24日(水)

常務理事会を開催した。

4月22日(月)

HOSEIミュージアム開設準備委員会を開催した。その後、監事監査計画の説明を受けた。

さらにその後、日本私立大学連盟(私大連)の鎌田薫会長、明治大学の土屋恵一郎学長および私大連の職員たちと文部科学省へ赴き、柴山昌彦文部科学大臣に『新たな時代の就職・採用の在り方と大学教育─未来を拓く多様な人材育成に向けて─』をもとに、就職採用活動に関する私大連からの提言を説明してきた。政府の未来投資会議等で、話していただくためである。新聞紙上ではこのところ連日、新卒一括採用だけでなく通年採用もおこなっていくことで企業と大学が合意したように書かれているが、通年採用とはあくまでも「卒後通年採用」のことであって、在学中にいくらでも採用活動をしてもよいと言っているわけではない。前提は、「学修経験時間」という言葉が表現する、多様な経験による能力の獲得の時間を、学生が大学で十分に確保できるようにすることである。

4月21日(日)

スリランカのテロの報道があった。日本人も巻き込まれたという。きのう、岡村さんからスリランカのお話を伺ったばかりで、遠い国の出来事には思えなかった。被害に遭った多くの方々に、心よりお見舞い申し上げたい。

4月20日(土)

HOSEI ONLINE対談をおこなった。今回は、第23回2018「植村直己冒険賞」を受賞された本学卒業生である岡村隆さんとの対談であった。岡村さんは、スリランカを中心に、南アジアのジャングル地帯に埋もれている遺跡を、約50年発掘し続けておられる。1969年にスリランカの密林調査を開始し、約250カ所を発掘調査したという。さらにモルディブでも3カ所の遺跡を調査なさった。2008年にNPO法人「南アジア遺跡探検調査会」を設立し、昨年ついに、紀元前3世紀~紀元1世紀ごろまでに建てられた仏塔や建物、先住民が残した岩絵などが残るスリランカの「タラグルヘラ山遺跡」を発見する。
岡村さんは高校生のころ、法政大学探検部が独立したばかりのモルディブに入る計画を立てていることを知り、法政大学探検部に「入学」なさったという。大学探検部の世界では、法政探検部は存在感のある著名なサークルである。
この日対談していただいたのは、岡村さんが所属なさっていた本学の探検部による、受賞祝賀会が開催されたからである。その会の前の時間をお借りした対談であった。
対談後、会が開催されるアルカディア市ヶ谷までご一緒し、私も挨拶させていただいた。

4月19日(金)

学外で、外部企業の取締役会に出席。
執務室に帰り、日本ドリコムが刊行している「女子高生のための進学なび。」の取材を受けた。取材が終わる頃に職員の柴岡義則さんから、2月に行われた55・58フェアウェルDaysに出展された55・58年館写真集と、館内の教室を写した額入り写真の贈呈があり、「女子高生のための進学なび。」の写真撮影の際、背後に柴岡さん寄贈の額入り写真を入れることができた。取材後に柴岡さんと記念写真。

4月18日(木)

全学質保証会議を開催し、大学基準協会の認証評価に向けた自己点検・評価報告書類の最終検討をおこなった。大学にとって極めて重要な評価の年である。
その後、今年度の「朝日教育会議」の内容について学内での打ち合わせをおこなった。さらにその後、内部監査実施に向けての報告。

4月17日(水)

常務理事会、理事会を開催した。

4月16日(火)

日本私立大学連盟の、今年度最初の常務理事会と理事会が開催された。

4月12日(金)

付属3校の校長たちと、今年度最初の学校長会議を開催した。
その後、HOSEI2030運営会議を開催した。
さらにその後、恒例の行事となった、ベトナムにおける日本語スピーチコンテスト入賞者の本学訪問があり、今年もたいへん元気の良い、優れた4人の学生たちと会うことができた。最優秀賞をとったのはフエの高校生だ。ほかの3人は大学生だったが、そのなかの一人が「私は本が大好き。総長は本を書いている人だと聞いた。総長の本が欲しい」と、率直に言ってくださった。準備していなかったので少々あわてたが、手もとにあった『自由という広場』を4人それぞれに差し上げ、「読書が大好き」と言った大学生には、『布のちから』も差し上げた。また日本でおめにかかれるだろう。

4月11日(木)

今年度最初の大学院・研究科長会議と、学部長会議をそれぞれ開催した。
その二つの開催のあいだに、日本私立大学連盟の、今年度最初の記者懇談会が開催され、『新たな時代の就職・採用の在り方と大学教育─未来を拓く多様な人材育成に向けて─』について内容説明をおこなった。経団連による採用活動ルールの撤廃発言以後、さまざまな動きが始まっており、新聞・雑誌からも関心が高い。

4月10日(水)

常務理事会と、常務理事会懇談会2テーマを開催した。

4月9日(火)

この4月、武蔵野美術大学の市ヶ谷キャンパスができ、造形構想学部(クリエイティブイノベーション学科、映像学科3、4年生)および大学院造形構想研究科が開講された。天坊昭彦理事長、長澤忠徳学長、篠原規行・造形構想学部長におめにかかった。本学の小林清宜理事が天坊理事長と知己の間柄であり、つなげてくださったのである。本学デザイン工学部の前学部長、竹内則雄教授にも同席していただいた。ご近所となった武蔵野美術大学の、美術を超えた新しい試みについてお話を伺った。ビジネスやマネジメントやテクノロジーを、美的価値の側面から考えようとする姿勢に、たいへん関心をもった。

4月8日(月)

新入職員研修をおこなった。午前中にHOSEI2030特設部会のブランディング推進チームから法政大学憲章「自由を生き抜く実践知」の講演とワークショップを実施してもらい、午後は私から、「これからの法政大学」という講演をおこなった。「5年目、10年目の職員でも聞くべき内容ですね」と言う職員がいたが、確かに総長からの講義講演を、職員が聞く機会は無い。読書会などを定期的にやるのも良いかな、と思っている。職員にはさまざま、広い視野を獲得する機会を持ってもらいたい。

この日の研修で「ダイバーシティ」についても話した。講演後、新入職員のひとりから質問があった。「たとえば私たちはいま服装を統一しています。ふるまいなどもそうです。これらの日常的なことについて、多様で良いということになったら、無秩序になりませんか?」という質問である。私は「多様性というのは、まず自分で制御できない身体的能力的あるいは生まれた文化的宗教的背景、言語などの特徴のことをいうのであって、その特性を差別せず互いに大事にしようという考え方だ。自分でどうにでもできる服装やふるまいについては、全体のことを考えて行動してほしい」と答えた。しかし私はこの答え方に、自分で納得ができなかったので、後から何度も思い出した。本当は時間をかけて議論すべきことだった。

この新入職員の投げかけた疑問の中には、論点が2つある。ひとつは「多様性の尊重と無秩序の容認は同じか」もうひとつは働く日常の中で、「自分たちはどこまで自由でいてよいのか」である。前者のことを考えるに、多様性の尊重とは「公正さ」を貫くことである。入試で女性だからという理由で不合格にした場合、その学校の入試制度が定めている基準を学校側がまげたわけで、それは不公正なおこないだ。基準を明らかにし(透明性)、誰に対しても公正にその基準で判断するのが多様性の尊重である。確かに服装やふるまいは基準が明確でないので難しい。新入職員はスーツを着て、礼儀やあいさつの「型」を守るところから始めている。それを経た後、職員は部局によって仕事内容が異なるから、それぞれの部局に移るたびに服装や言動を独自に判断している。その判断は社会との関係のなかでなされるので、日本社会がどこまで多様性を容認するかとも関係する。考え続けたい問題だ。

4月6日(土)

法政大学第二中学校と、第二高等学校の入学式に登壇し、祝辞を述べた。今年も、北詰校長のお話がとても良い。はからずも、「自分のなかの基準を大切にすること」を、校長とともに皆さんに伝えることができたと思う。

4月4日(木)

今年度第一回目の常務理事会と常務理事会懇談会を開催した。
その後、週刊東洋経済臨時増刊号『本当に強い大学』2019年版のインタビューがあった。グローバル化を軸に、毎年、取材に来て下さる。ありがたい。

4月3日(水)

日本武道館で2019年度の入学式をおこなった。
今年度の入学式にご祝辞をいただいたご来賓は、本学経済学部卒業生である古川光明さんであった。古川さんは学生時代に派遣留学生として米国に留学し、卒業後に国際協力機構(JICA)で働かれた。現場に立つばかりでなくJICAの研究所でも上席研究員として援助活動のあり方を研究なさり、この4月からは静岡県立大学の教授として、学生を教えられる。南スーダンの話は、大学に入って今は目の前のことに精一杯であろう新入生に、世界に目を向けるきっかけになったはずだ。

例年のとおり、卒業後50年を迎える方々を、武道館での入学式にご招待申し上げた。その後、大学に戻っていただいて大学主催で懇親会を開催。参加者が増え続けている。
入学式の後は例年、新しい学部長を迎えて学部長等懇親会をおこなうので、卒業生の懇親会を中座させていただき、学部長たちと懇談。

4月2日(火)

例年の、新任教員研修がおこなわれた。毎年、社会と大学との関係が少しずつ変わっており、研修でお話しすることも少しずつ変わって行く。私が教員になった1980年に、もしこのような一日を持っていたら、もっと大学との距離が近くなっただろうと、暗中模索の日々を思い出す。

ベトナムの協定校であるHo Chi Minh City University of Information Technologyの学長と副学長たちが来校して下さった。この大学の卒業生が小金井キャンパスのInstitute of Integrated Science and Technology (IIST)に入学している。私からは歓迎のご挨拶と、憲章の説明を英語でおこなった。理系の大学であるが女性の学長が率いている。たいへんなごやかな中にも力強いものがある学長だった。

その後、新任教員懇親会に出席した。今年は女性教員が多い。何人かの女性教員とお話しできた。

さらにその後、HOSEI ONLINEの収録があった。対談して下さったのは、国際文化学部を卒業なさった、天領盃酒造株式会社(新潟県佐渡市)の代表取締役、加登仙一さんである。証券会社で働いたあと、この会社を引き受けた。留学中に日本を学ぼうと考えた経緯と、新しい日本酒を作ろうとしている理由など、多くの学生にとってまさに「自由を生き抜く」とはこういうことかと思える生き方である。たいへん楽しい対談だった。対談公開の前に、天領盃HPと、SAKETIMESのHPを見ていただきたい。

4月1日(月)

専任職員就任式がおこなわれ、挨拶と辞令交付をおこなった。
その後、3付属校の新任教諭の就任式もおこなわれ、法政大学憲章について講演をした。その後、懇親会で何人かの教諭の方々とお話をした。学校長会議で校長たちとは会議をしているが、1年に1回のこのときは、校長たちのスピーチを伺い、教諭たちと接する貴重な機会である。