6月

堤幸彦さんのこと

2015年06月04日

6月

映画や演劇の試写会や上演会に声をかけて下さることは多いのですが、なかなか行かれません。今回、なんとしてでも鑑賞したいと思ったのは、堤監督とおめにかかりたく、とりわけ「原子力発電所」の存在とは、日本にとって、人間にとって何なのかという大きなテーマに、この映画でどう向き会ったかを伺いたい、と思ったからです。

東野圭吾の原作は福井県にある高速増殖炉「新陽」へのテロがテーマとなっています。日本には茨城県にある「常陽」と福井県にある「もんじゅ」が高速増殖炉なので、それがモデルでしょう。原作刊行は1995年です。映画化には莫大な費用がかかるので当時はできなかった、ということですが、それ以上に、私たち日本人が2011年3月以前には、問題の深刻さと現実性を感じ取れなかった可能性があります。

さらに高速増殖炉の上をホバリングする「蜂」は、海上自衛隊の軍用ヘリコプターです。自衛隊員が乗っているわけではなくドローンのような遠隔操縦です。

何をとっても身近にある現実です。それが人間の苦悩によって組み合わされると何が起こるのか、考えさせられます。