東日本大震災を振り返って

震災当日の各キャンパス状況

東日本大震災を振り返って

市ケ谷キャンパス

地震が発生した2011年3月11日14時46分当時、市ケ谷キャンパス内には春休み期間中とはいえ学生と教職員がいました。

当初、学生には帰宅指示を出していましたが、交通網の混乱を想定し、一時的な待機場所として安全確認の取れた施設を開放していました。しかしJRが早々に翌日までの運行休止を発表したため、学生・教職員の宿泊に目的を切り替えて準備を始めると同時に、いわゆる帰宅困難者となった一般の方の受け入れを決定しました。本学はテレビでも帰宅困難者の受け入れ先として報じられましたが、市ケ谷キャンパスがJR市ケ谷駅と飯田橋駅のほぼ中間に位置し、どちらの駅からも徒歩で10分ほどかかるためか、キャンパスを訪れた一般の方はそう多くありませんでした。またインターネットの掲示板などでは、一部「法政は学外者の受け入れ拒否」という不正確な情報が流れたため、この訂正を何度か行いました。

震災直後の市ケ谷キャンパスの様子

最終的に、約500人の学生と教職員および一般の方120人ほどが外濠校舎の複数の教室とボアソナード・タワー地下1階のフォレストガーデン(学生食堂)に宿泊することとなりました。

市ケ谷キャンパスが千代田区と「大規模災害時の協力協定」を結んでいる関係で区から給付されていた毛布300枚、さらに本学で備蓄している飲料水を配布しました。また昨今は公衆電話の設置数が少ないため、大学事務所の電話を宿泊者が家族との連絡などに自由に利用できるように提供しました。物資の面では、学内にあるコンビニエンスストアが営業していました。パンやおにぎりなどの食料品は早々に売り切れたものの、宿泊者の心理的な安心にもつながったようです。

また情報提供面では、フォレストガーデン(学生食堂)など大人数の集まる場所には事務室からテレビを移動させました。しかしキャンパス内にテレビが不足していたため、無線機を持った職員を両駅に派遣し、JR以外の鉄道路線の運行情報を集め、構内のイベント案内用ディスプレイに最新情報などを随時表示・更新していきました。

震災当日、テレビニュースに見入る市ケ谷キャンパスの宿泊者

鉄道の復旧を待ち、宿泊していた学生と一般の方が全員退出して帰路についたのは、一夜明けた12日12時5分のことでした。

多摩キャンパス

多摩キャンパスでは震災発生後、学内にいた学生に対し身の安全を確保するように指示し、その後、建物の安全確認が済むまで最寄りの広場へ避難するように誘導しました。駅までのバスは遅れてはいたものの運行していましたが電車が不通だったため、構内に留まった学生や教職員のために、大学から要請を受けた生協店舗が18時30分から1時間、緊急営業を開始しました。なお構内は停電しませんでしたが、キャンパス正門横のコンビニエンスストアは停電のため閉店していました。

22時ごろ、エッグドームに宿泊予定だった学生を暖房の効く多摩図書館2階へ誘導し、毛布を学生の一部に提供しました。学生は図書館のPCを使って、各自で情報収集できる環境にありました。

最終的に学生45人、教職員73人、学内業者10人の計128人が多摩キャンパスで一夜を明かしましたが、翌朝8時には電車・バスの運行が再開したため、学生全員が帰宅できました。

小金井キャンパス

地震発生後、小金井キャンパスではまず屋外への避難誘導を行い、各建物・設備の安全確認を行いました。その後、帰宅が困難な学生は管理棟3階の食堂へ集合させ、各建物の安全確認後、荷物などを取りに戻りたい学生に入館を許可しました。備蓄品の飲料水と非常用ビスケットを配布するとともに、地上波を受信できるテレビがなかったため、職員がインターネットで集めた情報と、直接駅に向かい収集した情報などを随時案内しました。また2カ所で常時ラジオ放送を使っての情報提供に努めました。小金井キャンパスでは停電はなく、近隣のコンビニエンスストアも利用可能な状況でした。

帰宅できずに小金井キャンパスに宿泊したのは学生78人、教職員30人、学内業者20人の計128人でしたが、翌日12日の11時30分までに学生は全員帰路につきました。