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キャリアアドバイザー通信「グローバルキャリアと想像力」

  • 2021年01月29日
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 気持ちも新たに2021年辛丑(かのとうし)年がスタートしましたが、1都3県のほか一部の府県に二度目の緊急事態宣言が発令され、新型コロナウィルスの感染は収まるどころか、連日驚く数値で大幅に拡大しています。

 2020年度は、実習を伴う体験型科目の多くが感染防止のために実習先の変更を余儀なくされ、派遣留学や海外実習などは中止となったために楽しみにしていた人にとっては非常に落胆されたことと思います。しかし、代替手段として行なったプログラムを振り返ってみると、オンラインによる現地の人々との交流など実に多くの関係者からご協力をいただき、知恵を出し合って様々な方法を模索しながらたくさんの学びを得ることができました。特に、留学生は祖国から、地方の出身者は実家からプログラムに参加し、海外の大学や企業の方々ともリアルタイムで語り合うことができたことは、世界的パンデミックというこれまでにない逆境の中で味わえたグローバルな経験の一つでした。これまでは「百聞は一見に如かず」が主流で、現地に行って、見て、感じるという醍醐味、その経験こそがかけがえのないことだと思われていたかもしれません。しかし、逆にそれだけならば、単なる旅行者と同じといっても過言ではありません。それよりもオンラインで繋がったその地(実習先)で生活している諸先生方、学生の皆さん、関係者の方々のお話を皆さんがどのように受け止めるかによって、その人自身の真価が問われるような気がします。

 そもそもグローバルキャリアとは何なのでしょうか。グローバルな視点でキャリアデザインを考える時に 「想像力」を働かせながらお話を聞かせていただくという姿勢がとても重要です。グローバルキャリアは、大学に行って海外留学しないと身につかないものではありません。日本国内では、既に高卒で就職している人を含め多くの人が、会社、工場、店舗や医療機関などあらゆる仕事の現場で、中国、ミャンマー、ベトナム、インドネシアなど様々な国から来日している外国人技能実習生などとともに人間関係を築きながら、言葉の壁を越えて職場の同僚として働いています。その中で、想像力はその人が行動するときの大切なエッセンスとなります。自分が異国の地で働いたとしたら…、言葉が分からなかったら…、相談できそうな人って誰だろう…等々、同僚の立場に寄り添って考えてみるという想像力が働けば、次の行動が変わってきます。

 また「想像力」を働かせるうえでもう一つ大切なことは、いつのまにか身につけてしまっている思い込みを取り払うことです。特にグローバルキャリアを考える中では、国や地域によって歴史的背景が大きく関わるため、理解を深める方法として一歩踏み込んで「聞いてみる」 という行動が大切です。例えば、日本国内でも戦争体験者の話を聞く時にも同じようなことが考えられます。ある小学生が祖父に聞きました。「おじいさんも校庭でラジオの前に集まって玉音放送を聞いたの?」「いいや、夏休みで家にいて聞いた。ラジオがない家の人が防空壕堀をしていたので、戦争は終わったよと伝えに行ったんだ。」このやりとりから分かるように、映画のシーンやメディアの影響で勝手に思い込んでいることがたくさんあると思いますが、踏み込んで聞いてみたことで、さらに想像力が磨かれて具体的な拡がりを感じますよね。

 皆さん、想像力を鍛えてグローバルなレベルでwithコロナのこれからの未来に向かって皆さん自身のキャリアを考えていきましょう。