市ケ谷リベラルアーツセンターからのお知らせ(2019年度以前)

さいえんすかふぇ「えねるぎぃっ亭」三月営業 ―未来は現代の延長にはない―

  • 2017年02月23日
市ケ谷リベラルアーツセンターからのお知らせ(2019年度以前)
さいえんすかふぇ「えねるぎぃっ亭」三月営業

さいえんすかふぇ「えねるぎぃっ亭」三月営業
‐未来は現代の延長にはない‐
えねるぎぃっ亭南駄老(小池康郎)

 えねるぎぃっ亭では、原発事故の年の12月、参加の皆様方とエネルギーについて考え続けた結果、「近代は終焉する」という結論に達しました。意外と思われるでしょうが、有限な石油が価格高騰を始めたとき、化石燃料に頼って強くなった西欧近代主義に基づいた社会が、その限界に達し、自然エネルギーに基づいた社会に変わっていく、その意味で近代は終焉すると考えるほかはないのです。
 このことを話しているとある人が聞いてきました。「今は現代だから、もう近代は終わっているのじゃないですか?」なるほどと思いました。歴史を平坦に考えればその通りです。
 だけど法政大学も「近代の黎明期」つまり明治初期の建学を誇っています。その延長に法政大学もあるのです。つまり現代は近代の延長上にありますが、未来は現代の延長上にあるとは考えにくいのです。
 なぜそうなるかを説明しましょう。
 近代主義が世界の主流の考え方になったのは、産業革命が大きな要因でした。産業革命で社会は大きく変わりました。二十世紀半ばに書かれたアシュキンの「産業革命」は、次のように始まります。『ジョージ三世の即位(1760年)から、その子ウィリアム四世の即位(1830年)に至る短い年月の間に、イングランドの相貌は一変した。』
産業革命は主としてこの時期に進行したと考えてよいでしょう。そして現代‐五年前出版された長谷川貴彦氏の「産業革命」によれば
『産業革命の中心にエネルギー革命を位置づける説は、近年、急速に支持を集めている。』
としたうえで、この間に「有機物依存経済」から「資源依存経済」への移行があったと説いています。要は化石燃料である石炭を大量に使い始めたのです。
 石炭は社会を変えました。都市化が進み、第二次産業が大きく成長しました。このようにエネルギー源は社会を変えていくのです。そして二十世紀になって、今度は石油と電気が大きく社会を変えました。第二次産業革命とも呼ばれています。都市化がさらに進み、第三次産業に産業の重心が移っていきました。産業革命では蒸気機関車を利用して鉄道が発達しました。第二次産業革命では自動車の普及が進み、自動車が不可欠のものとして、現代に至っています。
 ところが人は忘れています。「資源依存経済」すなわち化石燃料に頼る経済は永続性がないのです。何故って? 化石燃料は有限な資源だからです。2017年の初頭現在、石油の可採年数は52年です。この意味を正しく知っている人がどれだけいるのでしょう? 石油に依存した社会は、将来必ず終焉します。おそらく今世紀中に。長期に頼れるエネルギー源は自然エネルギーしかありません。「資源依存経済」が終焉し、「自然依存経済」へと移行するのです。これは単にエネルギー源を自然エネルギーに置き換えることで成り立つ移行ではありません。エネルギー源は社会を変えるのです。それは過去の産業革命、第二次産業革命が証明していることです。どのような社会に移行するのか。それをえねるぎぃっ亭では皆様と一緒に考えています。



会場 

法政大学 市ヶ谷キャンパス
ボアソナードタワー9階サイエンスルーム

日時

2017年3月11日(土)14:30~

主催・お問い合わせ 

法政大学自然科学センター

TEL:03-3264-4142
E-mail:koike@hosei.ac.jp