人環のひと・こえ

書籍等紹介

人環インタビュー

在学生インタビュー:小倉千佳さん・田島真衣さん・上村有里絵さん×岡松暁子教授
「人間環境学部に入る前に思っていたこと、入ってから思うこと」(2016年11月18日)

卒業生インタビュー:菅野莉央さん(2016年3月卒)
「手間をかけて自分で考える楽しさ」(2016年3月30日)

書籍等紹介

<書籍/石神 隆>『水都学IV 水都学の方法を探って』『水都学V 水都研究』

陣内秀信・高村雅彦編 水都学IV:2015 水都学V:2016 法政大学出版局
石神 隆「水系とテリトーリオ理解のための一道具としての水車」(水都学IV)「水系とテリトーリオ 河川等の多様な利用 ―歴史的な水系産業クラスター―」(水都学V)

水都学Ⅳ

 都市の成立に水が果たした役割とはなにか、などについて探ってきた水都学シリーズ全5巻。そのなかで、特に「水車」に注目して地域との関係で分析と理解を進めたのが、著者執筆の両章である。水車は、蒸気機関や内燃機関の出現まで最大の産業用回転動力。地域の自然、地形や気象と切り離せず、また、地域の文化、経済と深い関係にあった。江戸東京、および各地の産業との関係で、都市及び周辺農村の地域史をひも解き、水車の果たした役割を探ったもの。地域経済や産業形成のルーツを、古いけど何か新鮮な感覚、自然と共生した形としてあらためて考えることができよう。 

<書籍/石神 隆>『水都ブリストル 輝き続けるイギリス栄光の港町』

石神 隆 2014 法政大学出版局

水都ブリストル

 日本では詳しく紹介されることが殆ど無かった歴史的港町ブリストル。その都市形成を、現地滞在による現場感覚と多くの地域資料により詳細かつ活き活きと描写した書物。新大陸への進出拠点化、世界最大級の潮汐差の克服と活用、さらに、現代の物流変化による変貌と再生などを通し、都市の「挑戦と応戦」のダイナミズムを読み解いていく。小宇宙の中に大宇宙がある。ブリストルという一都市をよく見ると、実はそこに世界の動きが詰まっているということを追体験できるかもしれない。

 

<書籍/岡松暁子>『環境法へのアプローチ[第2版]』

黒川哲志・奥田進一編 2012 成文堂
岡松暁子:国際環境法の章ほかを担当

 本書は、環境に関する法律について基礎的なことを紹介し、全く初めての人でも、この分野の問題を自分で考えることができるようにすることを目的とした入門的な教科書である。環境法の歴史的な発展、基本的な国内法・国際法の枠組みなどの概説に加え、具体的で今日的な問題を扱っており、法律以外の視点から環境問題を考える際にも、不可欠な常識を提供するものであるということができる。

<書籍/金藤正直>『地域再生のための経営と会計-産業クラスターの可能性-』

二神恭一・高山 貢・高橋 賢編著 2014 中央経済社
金藤正直「第1章III 地域サプライチェーンとしての産業クラスターのマネジメント-サプライチェーン・マネジメントの適用-」「第2章IV 行政主導のまちおこし-青森県板柳町のケース-」「第3章VI クラスター形成の成否を握る参加者の意識の変遷」「終章 産業クラスターによる地域再生の可能性」

地域再生のための経営と会計-産業クラスターの可能性-

 この著書には、地域再生や地域活性化のために産業クラスターを有効的に進めていく方法が、経営学および会計学の視点から書かれている。内容については、産業クラスターの概念・意義やマネジメント技法、また、それに基づく地域主導型の食料産業クラスターの事例(熊本県の米粉開発プロジェクト、大分県の食料産業クラスター、青森県板柳町のりんご産業振興事業)と青森県の農業やその関連事業の現状に関する分析結果が示されている。ゼミナールでも、国内外の地域の現状や課題を明らかにするために、また産業クラスターだけではなく、産学官連携、農商工連携、6次産業化などの連携事業を持続的に成長させる要因や事業展開の方法を検討していくために、この著書を参考にしている。

 

<書籍/國則守生>『入門・日本経済(第5版)』

浅子和美・飯塚信夫・篠原総一編 2015 有斐閣
國則守生「第11章 環境:深刻化する地球環境問題」

 本稿は、ローカルな環境問題から地球環境問題まで幅広く議論し、地球環境問題がこれまでの国内の環境問題とどこが異なるのかなどを視点として環境経済学の側面から議論している。とくに、今後、重要度が増すとみられる経済的手段(手法)を中心に、日本の環境政策の課題を探る。

<書籍/杉戸信彦>『わかる!取り組む!災害と防災 1地震』

帝国書院編集部編(執筆:鈴木康弘・杉戸信彦・中林一樹・阪本真由美) 2017 帝国書院

わかる!取り組む!災害と防災 1地震

 「わかる!取り組む!災害と防災」シリーズは、地震、津波、火山、豪雨・台風、および土砂災害・竜巻・豪雪の全5巻からなる学校図書館向けの書籍である。災害のしくみや最新の事例、教訓と課題、また防災への取り組みが豊富な写真や図とともに紹介され、防災教育にも活用できる。想定読者は中学生であるが、教員を目指す学生にとっても有用であろう。本シリーズは2017年5月、第19回学校図書館出版賞を受賞した。杉戸は「1地震」の分担執筆者のひとり。

 

<書籍/杉戸信彦>『災害フィールドワーク論』(FENICS100万人のフィールドワーカーシリーズ5)

木村周平・杉戸信彦・柄谷友香編 2014 古今書院
杉戸信彦「8.大地震の歴史とメカニズムを捉える-活断層への地理学的アプローチ-」

災害フィールドワーク論

 「災害」の「フィールドワーク」を扱うこの本は、「現場」を大切にしながら取り組むさまざまな分野の研究者が試行錯誤する姿を、自らメイキング映像のようなタッチで初学者向けに描き出している。災害の理解、また防災に求められる「学際性」とは何だろう。各分野の視点と方法論に加え、分野を越えて共通する部分が見えてくる一冊である。FENICSのシリーズは全15巻。杉戸は他に、14「フィールド写真術」(2016年刊行)にて3頁のコラムを執筆した。

 

<書籍/高田雅之>『図説 日本の湿地』

日本湿地学会監修 高田雅之編集幹事代表・分担執筆 2017 朝倉書店

図説 日本の湿地

 日本の湿地を「人間に対する恵み」「野生生物」「生態系の特性と機能」「保全の取り組み」の4つのテーマから、体系的・横断的・包括的に扱った本で、湿地に関わる、または関心のある様々な人々に入門書または事典として利用してほしい1冊。図説とあるように写真や図を豊富に使い視覚を通して理解してもらうのが大きな特徴。人間と湿地が持続的に共存し続けるためのヒントがちりばめられている。

<書籍/高田雅之>『湿地の科学と暮らし』

矢部和夫・山田浩之・牛山克巳監修 ウェットランドセミナー100回記念出版編集委員会編 2017 北海道大学出版会
高田雅之「22章 泥炭地の分布の変遷」

湿地の科学と暮らし

 北海道の湿地をめぐる様々な調査・研究・活動を、わかりやすく集大成した1冊。科学者の視点から湿地研究の魅力と、その奥深さ、最新の知識が語られている。ひと昔前は未知の世界だった湿地が、様々な分野の専門家が関わることによって徐々に解き明かされ、同時に多くの謎も増え、今後も科学者たちを惹きつけていくだろうことが感じられるだろう。

<教育・研究・社会貢献/高田雅之> 千代田学

千代田区による区内大学等への研究補助による提案活動
高田雅之及びゼミ学生 2016~
http://kenkai.ws.hosei.ac.jp/news_chiyodagaku2017.html

 サブゼミ活動として、2つのゼミがそれぞれ6つのグループに分かれて、広い視点から千代田区内の自然の魅力を掘り起こし、それを発信する取り組みを進めている。現地で調査を行い、資料を集め、データを分析・評価することを、学生主体の創意工夫により試みている。最終的に生物多様性の観点から千代田区の魅力向上につながる提案を目指したい。

 

<書籍/高田雅之> "Tropical Peatland Ecosystems"

Mitsuru Osaki and Nobuyuki Tsuji eds., 2016, Springer
Masayuki Takada, "Chapter 8: Tropical Peat Formation," "Chapter 31: Peat Mapping"

Tropical Peatland Ecosystems

 植物が未分解の土壌を泥炭といい、寒い高緯度に多く分布する。一方で熱帯域であるインドネシアにも雨が多いため広大な泥炭地が見られる。しかしそれが近年乾燥化し、火災という大きな環境問題を引き起こしている。そこで北海道の泥炭研究者を中心に、それまでの知識と技術を使って熱帯泥炭保全のための研究を行い、論文形式で取りまとめた。同時に技術移転も行った。寒い地域での研究が、熱い地域にうまく生かされた例といえるだろう。

<研究/高田雅之> 生物多様性オフセット研究

環境省環境研究総合推進費課題 代表:岡部貴美子(森林総合研究所)
高田雅之 サブテーマ2「湿地・草地における生物多様性オフセット評価手法の開発」 2014~2016
http://www.env.go.jp/policy/kenkyu/suishin/kadai/new_project/pdf/1-1401.pdf

 開発による生物多様性の損失を減らす仕組みである生物多様性オフセットを、将来日本で導入することを念頭に、湿地と草原における適用の考え方や評価方法について研究を行った。地域特性や生態系タイプ、攪乱の程度などに応じた技術的課題のほか、制度及び運用上の課題などはまだ多いが、本成果が生物多様性保全の次の一歩につながることを期待している。

<書籍/高田雅之>『湿地の博物誌』

高田雅之責任編集 辻井達一・岡田 操・高田雅之著 2014 北海道大学出版会

湿地の博物誌

 「湿地」を博物学的視点から、46の異なった切り口でそれぞれを「〇〇学」と題して読み切り型で綴ったものであり、湿地の雑学、または小話本でもある。日ごろなじみのない知らない世界と思われている「湿地」が、水田、漁業、水運、食品など、実は私たちと深くかかわり、私たちに多くの恵みを与えていることを、様々なエピソードを交えて多彩な角度から語りかけている。

 

<書籍/高田雅之>『サロベツ湿原と稚咲内砂丘林帯湖沼群』

冨士田裕子編著 2014 北海道大学出版会
高田雅之「第3章 水文」「第5章 泥炭」「第6章 湿原の広域特性」ほか

サロベツ湿原と稚咲内砂丘林帯湖沼群

 1960~70年代に開発のために行われた総合調査以降、本格的な研究のされていなかった北海道サロベツ湿原において、2006年から6年間にわたって行った調査研究を取りまとめた本である。かつて不毛の土地といわれた湿原に対する時代の要請が変化し、同時に様々な問題も生じてきた。それらに対して新しい知識と技術で挑み、多くの新知見を明らかにし、それが今日保全へとつながりつつある。

<書籍/高橋五月> "To See Once More the Stars: Living in a Post-Fukushima World"(邦題『星が降るとき 三・一一後の世界に生きる』)

Naito Daisuke, Ryan Sayre, Heather Swanson, and Satsuki Takahashi eds., 2014, New Pacific Press
Satsuki Takahashi, "Hero" 高橋五月「ヒーロー」

 本書は、福島第一原発事故をきっかけに、核の「力」について再考することをテーマとした英語と日本語を併記したバイリンガル短論文集である。国内外の研究者、芸術家、住民を含む89名が描く多様な「声」を発信することで核に関するグローバルな議論の「場」を提供することを目的としており、一般読者向けに書かれている。私が書いたエッセイは映画「ゴジラ対ヒドラ」をもとに大衆文化や日常環境に埋め込まれた存在としての核について描いている。

<書籍/高橋五月> "Japan Since 1945"

Christopher Gerteis and Timothy George eds., 2013, New Pacific Press
Satsuki Takahashi, "Endless Modernization: Fisheries Policies and Development in Postwar Japan"

 日本にとって「戦後」とは単なる歴史的な期間ではなく文化である。本書は歴史学者や文化人類学者たちが集まり、さまざまな事例をもとに「戦後」とは何か、またどうつくられ、維持されたのかを考察する。学部生には少し難しい内容も多いかもしれないが、英語の文献に挑戦してみたい人や現代史に興味がる人にお勧めの1冊だ。「戦後」とはいつ始まり、いつ終わるのか。そんな問いに触れながら、「震災後」とはいつ始まり、いつ終わるのか、という問いに思いを馳せてみるのも面白いだろう。

 

<書籍/竹本研史>『サルトル読本』

澤田 直編 2015 法政大学出版局
竹本研史「第II部第4章 サルトルの「応答」-『弁証法的理性批判』における「集団」と「第三者」」

サルトル読本

 20世紀フランスの哲学者・作家のジャン=ポール・サルトルは、『弁証法的理性批判』において、「溶融集団」、「誓約集団」、「組織集団」、「制度集団」の順に、「集団」の変遷過程を描く。彼の集団論は、三者関係を基本構成とし、「第三者」の存在意義を強調しているが、本稿は、「集団」の変遷過程における「集団」と「第三者」の関係を精査することで、彼の思想における《政治的なもの》に対し新たな光を与えたものである。

<書籍/谷本 勉>『ライプニッツ読本』

酒井 潔・佐々木能章・長綱啓典編 2012 法政大学出版局
谷本 勉「I-7.ライプニッツの地質学-『プロトガイア』再考」

 万学の天才ライプニッツの業績を様々な側面から光を当てようという論文集である。ニュートンと互角に渡り合った数学者としてのライプニッツはよく知られるところだが、近代地質学誕生前夜においてライプニッツの『プロトガイア』が果たした役割はほとんど知られていない。キリスト教との関係を中心にして当時の状況を、『プロトガイア』を指標としてあぶり出したものである。

<社会貢献/永野秀雄> 内閣官房 情報保全諮問会議 主査

2015年~2017年 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/jyouhouhozen/pdf/kousei3.pdf
今年度: 2017年4月24日 第6回情報保全諮問会議(写真参照)
昨年度の動画: https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg13461.html?nt=1

<社会貢献/永野秀雄> 内閣官房 情報保全諮問会議 主査

 

<書籍/永野秀雄>『安全保障と国際関係』

金沢工業大学国際研究所編 2016 内外出版
永野秀雄「第9章 米国におけるサイバーセキュリティ法制の展開と現状-国家安全保障上の不可欠な制度基盤として」

 本稿は、米国の連邦政府におけるサイバーセキュリティに関する全ての大統領令等と連邦法を、包括的にまとめた論文である。これにより、米国のサイバーセキュリティ政策の変遷と現状とを明らかにした。また、その制度構築が国家安全保障にとって、いかに重要な課題であるかが理解できる。さらに、今後、わが国において、サイバーセキュリティに関する制度、予算、人員等において対処すべき点が、米国との比較で明らかになる。

 <書籍/永野秀雄>『入門・安全と情報』

大沢秀介監修 山本龍彦・横大道 聡・大林啓吾・新井 誠編 2015 成文堂
永野秀雄「3 米国の連邦行政機関における適性評価制度の概要」

 国家機密を保全するための制度のひとつとして、そのような秘密を扱うことが予定される個人について、国家機密を漏らすおそれがないことにつき評価を行う適性評価制度(セキュリティ・クリアランス)が存在している。本稿は、米国の連邦政府機関の被用者等に対する適性認定がどのように行われているかについて、その概要を明らかにしたものである。 

<書籍/永野秀雄>『労働法理論変革への模索-毛塚勝利先生古稀記念』

山田省三・青野 覚・鎌田耕一・浜村 彰・石井保雄編 2015 信山社
永野秀雄「31.1964年公民権法第7編に基づく大規模クラスアクションは死んだのか-ウォルマート社事件連邦最高裁判決とその後」

 本稿は、米国で、ウォルマート社の女性労働者が、同社に対して性差別を理由として提起した大規模クラスアクションに関する連邦最高裁判決を分析したものである。この判決では、1964年公民権法第7編に基づく雇用差別に対する救済という争点と、連邦民事訴訟規則におけるクラスアクションという2つの争点が複雑に重なり合っているが、その内容を明らかにするとともに、今後の影響等の評価を行った。 

<書籍/永野秀雄>『災害と住民保護 東日本大震災が残した課題—諸外国の災害対処・危機管理法制』

浜谷英博・松浦一夫編著 2012 三和書籍
永野秀雄「第4章 米国における災害支援-特に軍の果たす役割とその法的位置づけについて」

 本稿では、米国の連邦政府における災害救済制度につき、法的側面に重点をおいて、①軍の災害救助等への動員に関する規制、②災害救助に関して中心的な役割を果たすスタフォード法の内容、③緊急事態に対応する管理制度、④災害に備える国家演習の順に検討し、最後に、⑤これらの米国の制度のうち、わが国にも参考になる諸点について提案を行った。

 

<書籍/長峰登記夫>『基礎から学ぶ労働法II(第2版)』

金子征史(編集代表) 2016 エイデル研究所
長峰登記夫「第1章 雇用システムの変容と労働組合」

 2000年代以降の経済のグローバルとともに、伝統的な雇用のあり方や日本的雇用システムが大きく変わってきた。それが労働者や労働組合のあり方にも影響し、雇用リストラや職場環境の変化への対応に関連して労働組合の存在価値が問われる事態にもなっている。そうした状況について再考し、労働組合の今後を考える課題を提起している。

 

<地域連携/西城戸 誠>NPO法人埼玉広域避難者支援センターでの活動

ホームページ http://fukutama.org/

NPO法人埼玉広域避難者支援センター(福玉センター)は、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故によって、主に埼玉県内に避難している人々が避難元地域の状況や帰還・移住の選択を問わず生活を再建し安心して暮らせる社会を目指して、避難者への支援および行政・民間団体・当事者団体との連携を推進する活動を行っています。私は、このNPO法人の代表理事として、ささやかではありますが、広域避難者支援の活動に携わっています。個人の権利や利益、社会集団の自律性や自由な活動を認めようとしない全体主義が、現政権による日本だけではなく、世界中に広がろうとしていますが、広域避難者の問題は、避難者自身に還元される問題ではなく、「いま、ここ」に住む私たちが、多様な価値を認めつつ、社会的な弱者に配慮するといった「一人勝ちを認めない」社会を創っていくのかという大きな課題です。NPOのモットーである「しっかり、じっくり、ゆっくり、と」、広域避難者の問題に対して、考え、実践していきたいと思っています。

<書籍/西城戸 誠>『サミット・プロテスト』

野宮大志郎・西城戸 誠編著 2016 新泉社

サミット・プロテスト

 サミット・プロテストは、局所的かつ一過性の市民運動ではない。何十年も前からグローバルな規模で展開される、まさに現代の代表的な市民運動である。世界中に影響を及ぼす国家間や国際機構の取り決めや、先進諸国が推し進める政策に対して、途上国・先進国を問わず人びとが国境を越えて結びつき、抗議をする。このサミット・プロテストの内側で社会学的に観察を重ね、プロテストの先に見える創造的表象と未来図を探究していく、グローバル化時代の社会運動論です。

 

<書籍/西城戸 誠>『震災と地域再生』

西城戸 誠・宮内泰介・黒田 暁編著 2016 法政大学出版局

震災と地域再生

 東日本大震災により甚大な被害を受けた、東北の地域社会はどこまで復興し、人びとの生活はどう変化したのか。震災前から続けられてきた、宮城県石巻市北上地区のフィールドワークをもとに、現地に生きる人びとの生業(農業・漁業)、高台移転を含めたコミュニティの現状、震災支援のあり方などについて、地元住民の豊富な聞き書きと現状分析をまとめた共同研究。地域の記憶に寄り添い、ローカルコミュニティの未来を考えていきます。

 

<書籍/西城戸 誠>『再生可能エネルギーのリスクとガバナンス:社会を持続していくための実践』

丸山康司・西城戸 誠・本巣芽美編著 2015 ミネルヴァ書房

再生可能エネルギーのリスクとガバナンス:社会を持続していくための実践

 本書は、再生可能エネルギーと地域社会の関係を解き明かし、望ましい解決を構想するものである。風力発電を主な対象とし、再生可能エネルギーのリスクと地域資源管理、社会的受容性といった観点から構造的な問題を析出し、その解決としての技術的対応策(環境影響評価、順応的管理、バードストライク問題の技術開発、ゾーニングのための参加型調査)と、社会的な対応策(ローカル・ガバナンスのあり方、地域に資する再生可能エネルギー事業(コミュニティパワー)の世界的潮流を踏まえた日本の現状と今後の課題)を提示した。技術的な課題と社会的な課題とが重なる領域から多層的に考えた、文理融合の共同研究による実践的提言を行っている。

<書籍/西城戸 誠>『生業と地域社会の復興を考える』

西城戸 誠・平川全機編著 2015 公人の友社

生業と地域社会の復興を考える

 2011年3月11日に発生した東日本大震災によって大きな被害を受けた、石巻市北上町における生業と地域社会の復興に関するシンポジウム(第28回ニッセイ財団助成研究ワークショップ・2014年11月29日・法政大学市ヶ谷キャンパスにおいて)の記録。地域資源管理に関する調査研究、女性や暮らしに関する研究、復興支援員の制度研究を加え、住まいの復興、生業の復興、地域社会の再編という3つの観点から、北上町における地域社会の回復力の形成に関する実践的な調査研究が書かれている。

<書籍/西城戸 誠>『環境と社会』

西城戸 誠・舩戸修一 2012 人文書院

環境と社会

環境問題を考えることは、自然科学の仕事であるという認識が未だに強いが、本書は環境や環境問題を、社会との接点から考え、学術的にも実践的にも重要な視点を提供している書籍30冊のブックガイドである。「どのような環境を」「誰が(誰にとって)」「どのように」考えるか(守るか)という3つの観点から自然災害、原発、リスク社会、エコロジーなど、多様な「環境と社会」を考えるテーマ、観点が紹介されている。

<書籍/西城戸 誠>『用水のあるまち-東京都日野市・水の郷づくりのゆくえ』

西城戸 誠・黒田 暁編著 2010 法政大学出版局

用水のあるまち-東京都日野市・水の郷づくりのゆくえ

 多様性に富んだ地形に水田と用水路が広がり、樹林や湧水が点在する東京都日野市は、人口増加とそれに対応した都市計画によって宅地が進み、水田や用水路は急速にその姿を変貌させてきた。本書では、かろうじて残された用水路に対して、用水路や景観の保全をめぐって展開された市民と行政の活動の歩みをたどる。単なるノスタルジーとしてではなく、過去の営みを反省的に振り返り、現状をふまえて日野市の用水路や農業のゆくえを論じている。
 なお、この書籍内容の続きとして、『食と農のコミュニティ論』(碓井 崧・松宮朝編著、2013年、創元社)の中に「『環境用水』に見る都市農業の持続可能性-東京都日野市の農業用水路をめぐって」)がある。

<書籍/西城戸 誠>『抗いの条件-社会運動の文化的アプローチ-』

西城戸 誠 2008 人文書院

抗いの条件-社会運動の文化的アプローチ-

 市民による抗議運動は、現在もなお多様な形で生起している。それらの活動はどのような条件のもとで生まれ、誰が担い、いかにして沈静化してゆくのか。北海道を主な舞台としたさまざまな環境運動(都市近郊の公園の自然保護運動、空港騒音問題の反対運動、核廃棄物処理施設の反対運動、北海道の生活クラブ生協の活動、市民出資による風力発電(市民風車)による脱原発運動)を取り上げつつ、社会運動の文化的アプローチや、抗議活動の盛衰のマクロな動態を把握するイベント分析など、社会運動研究の理論的な展開も行っている。

<書籍/根崎光男>『犬と鷹の江戸時代-<犬公方>綱吉と<鷹将軍>吉宗』

根崎光男 2016 吉川弘文館

犬や鷹は、人とのかかわりのなかで記録され描かれ、歴史に刻まれることによって、人との関係や社会での位置づけが示されてきた。江戸時代、犬・鷹・人との関係には、将軍権力が密接に絡み合っていた。「犬公方」と呼ばれた五代将軍徳川綱吉の元禄時代、および「鷹将軍」と呼ばれた八代将軍徳川吉宗の享保時代を中心に、幕府の鳥獣政策とそれに翻弄される庶民生活に焦点を当てながら、揺れ動く政治や文化を描いている。

<書籍/日原 傳>『漢文に親しもう』

日原 傳監修 2017 金の星社

小学生・中学生を対象にした「こえに出して楽しもう」シリーズのなかの一冊。前半の「漢詩の世界」では、漢詩の規則を説明した上で、孟浩然「春暁」、王翰「涼州詞」、李白「静夜思」、杜甫「春望」、蘇軾「春夜」といった名作を鑑賞する。後半の「論語の世界」「故事成語の教え」では散文をあつかう。訓読文と書き下し文とを示し、解説を加える。孔子の生涯や日本における孔子ゆかりの施設等を紹介する頁もある。

<書籍/日原 傳>『TSUMUGU 詠み人のエッセイI』

日原 傳ほか 2014 喜怒哀楽書房

10人の俳人が3篇ずつ寄せた文を集め、計30篇で構成した俳人によるエッセイ集。日原は「黄土高原」「北京」「十三夜の月」と題して、自作の漢詩や俳句を紹介しつつ文を綴る。「黄土高原」では人間環境学部のフィールドスタディで訪れた中国での体験を記す。他の執筆者は中原道夫・池田澄子・高柳克弘・神野紗希・山西雅子・岸本尚毅・森賀まり・髙田正子・中西夕紀。

<書籍/日原 傳>『365日入門シリーズ⑦ 素十の一句』

日原 傳 2013 ふらんす堂

俳人髙野素十(1893~1976)の秀句365句を選び、句に詠まれた季節あるいは創作日によって一年365日に一句ずつ配列し、鑑賞した書。素十は水原秋櫻子・阿波野青畝・山口誓子とともに四Sと称せられた俳人の一人。その俳句は高濱虚子の唱えた「客観写生」を体現したものとされる。虚子の選を信じ、客観写生の道をひたに歩んだその一途な姿勢によって、素十の俳句は近代俳句の一つの典型を示している。

<書籍/藤倉 良>『文系のための環境科学入門(新版)』

藤倉 良・藤倉まなみ 2016 有斐閣

 筆者が人間環境学部で担当する環境科学Iと環境科学IIのテキストとして2008年に刊行した『文系のための環境科学入門』の改訂版。データの更新に加えて、初版の出版以降に発生したり注目を集めたりした事項から、IPCC第5次報告書、パリ協定、気候変動適応策、小型家電リサイクル法、PM2.5などについて加筆した。 

<書籍/藤倉 良> "Resettlement Policy in Large Development Projects"

Ryo Fujikura and Mikiyasu Nakayama eds., 2015, Routledge, Oxford

 インドネシア、日本、ラオス、スリランカ、トルコ、ベトナムで建設された17のダム(下図)によって移転させられた住民の長期的な生活再建状況を2006年度から2014年度まで、各国の大学研究者の協力によって評価した結果をまとめたもの。15のダムは移転が完了してから20年以上、日本の5ダムは半世紀が経過している。

現地調査が行われたダム(作成:古田 修)

現地調査が行われたダム(作成:古田 修)

<書籍/藤倉 良> "Japan’s Development Assistance: Foreign Aid and the Post-2015 Agenda"

Hiroshi Kato, John Page, and Yasutami Shimomura, eds., 2015, Palgrave Macmillan: Hampshire, U.K.
Ryo Fujikura and Mikiyasu Nakayama, "Chapter 3: Origins of Japanese Aid Policy – Post-war reconstruction, reparations and World Bank projects"

 日本の政府開発援助(ODA)が1954年に開始されてから半世紀が経過したのを記念して、関係する研究者がその歴史、役割などを振り返った論文集。藤倉は第3章で、現在の日本の援助政策の基本であるインフラ重視や要請主義、内政不干渉などが戦後賠償に由来していることを明らかにした。 

<書籍/藤倉 良>『地球温暖化論争』

藤倉 良・桂井太郎訳 2014 化学同人

 地球の平均気温が20世紀後半から急上昇していることを、樹木の年輪やサンゴなど過去の気温を示す代替指標から明らかにしたマイケル・マンの著書 The Hockey Stick and the Climate Wars の和訳。彼と彼の共同研究者が気候変動対策に反対する米国の共和党政治家やシンクタンクから受けた様々なハラスメントの実態がつづられている。

<書籍/藤倉 良> "The Rise of Asian Donors – Japan’s Impact on the Evolution of Emerging Donors"

Jin Sato and Yasutami Shimomura, eds., 2012, Routledge, Oxon, U.K.
Mikiyasu Nakayama and Ryo Fujikura, "Chapter 4: Technology Transfer and Technology Development in Post-World War II Japan Triggered by World Bank Projects"
Ryo Fujikura and Mikiyasu Nakayama, "Chapter 5: World Bank Regional Development Projects in Japan: Two Pilot Farm Projects"

 日本が世界銀行や米国から援助を受けていた1950年代を振り返り、その経験をもとに、近年、積極的な対外援助を行っている韓国、中国、インドの今後を展望する論文集。藤倉は1950年代に世界銀行の援助によって実施された2つの農業案件である機械開墾事業と愛知用水建設事業について、それが実施された経緯と現在までに至る長期的評価を行った。

北海道で根釧パイロットファームを開墾した農業機械(写真提供:世界銀行グループ・アーカイブ)。世界銀行からの借款を用いて米国から輸入された。

北海道で根釧パイロットファームを開墾した農業機械(写真提供:世界銀行グループ・アーカイブ)。世界銀行からの借款を用いて米国から輸入された。

<書籍/藤倉 良> " Climate Change Mitigation and International Development Cooperation"

Ryo Fujikura and Tomoyo Toyota, eds., 2012, Earthscan, London

 気候変動緩和策に関する国際援助の実態と今後の方向性について執筆された論文集。当時、JICA研究所の客員研究員を務めていた藤倉が同研究所のプロジェクトとしてとりまとめを行った。 

<書籍/藤倉 良>『地球温暖化バッシング』

藤倉 良・桂井太郎訳 2012 化学同人

 上記『地球温暖化論争』の著者であるマイケル・マンの共同研究者であるレイモンド・ブラッドレーの著書 Global Warming and Political Intimidationの和訳。『地球温暖化論争』と同様、彼と彼の共同研究者が気候変動対策に反対する米国の共和党政治家やシンクタンクから受けた様々なハラスメントの実態がつづられている。

 <書籍/藤倉 良>『環境工学基礎』

文部科学省検定済教科書(2012年1月10日)高等学校工業科用 実教出版
藤倉 良「第2章 社会と環境」「第5章第4節 騒音・振動・臭気の現状と対策」

 高等学校指導要領の改訂に合わせて出版された教科書。本書と同じ内容のものが一般向け書籍『環境工学入門』として実教出版社から出版されている。

<研究/松本倫明> 適合格子細分化法を用いた原始連星の星周構造の解明

科学研究費補助金基盤研究C 平成29~31年度 研究代表者:松本倫明

 若い連星を取り囲む円盤が発見され、その詳細な様子がわかってきました。その様子は法政大学のプレスリリース(http://www.hosei.ac.jp/NEWS/newsrelease/141204.html)でも公開されています。この研究課題では従来のシミュレーションに磁場の効果を加えて、さらに精密なモデルを構築することを目的としています。

動画へのリンク:http://redmagic.i.hosei.ac.jp/~matsu/movie/L1551NE/L1551NE_volren_hd_rest.mp4

<研究/松本倫明> 適合格子細分化法を用いた太陽圏磁場の動的モデルの構築

科学研究費補助金新学術領域研究(公募研究) 平成26~28年度 研究代表者:松本倫明

 地球環境は太陽風を通じて太陽活動の影響を受けていると考えられていますが、その詳細には未解明な事柄がたくさんあります。本研究では、適合格子細分化法というハイテク技術を用いて、高い解像度を持った太陽圏の数値モデルを開発します。この研究が、太陽活動と地球環境の関係を理解するための一助となることを期待しています。

動画へのリンク:http://redmagic.i.hosei.ac.jp/~matsu/tmp/solarwind/solarwind_gong6_wov_l2.mp4

 

<書籍/松本倫明>『天文学辞典(現代の天文学 別巻)』

岡村定矩代表編集 家 正則・犬塚修一郎・小山勝二・千葉柾司・富阪幸治編 2012 日本評論社

松本倫明:シミュレーション関連項目の担当

 シリーズ現代の天文学の別巻として、天文学の用語を解説した辞典です。松本はおもにシミュレーションに関連する項目の執筆を担当しました。 

<書籍/松本倫明>『シミュレーション天文学(シリーズ現代の天文学)』

富阪幸治・花輪知幸・牧野淳一郎編 2007 日本評論社

松本倫明「12章 適合格子細分化法」

 現代の天文学において、数値シミュレーションは大変重要であり「理論の望遠鏡」に例えられます。本書は、天文学における日本語の標準的な教科書を作る試みで出版されました。松本が担当した12章では、ハイテク技術である適合格子細分化法(AMR法)についての手ほどきをしています。

<書籍/宮川路子>『こころの「超」整理法』

宮川路子(共著) 2012 中央経済社

 産業医として、うつ病をはじめとする精神障害で苦しむ多くの患者さんに向き合う中で必要と感じたこころの健康を保つための支えとなる言葉を論語とともに紹介した本です。一般の方のための予防編、心が折れかけている人のための対応編、うつ病の患者さんを傍で支えているご家族、お友達、職場の方のためのサポート編にわけ、あわせて55の言葉が載っています。

人環インタビュー

在学生インタビュー

在学生インタビュー:小倉千佳さん・田島真衣さん・上村有里絵さん×岡松暁子教授
「人間環境学部に入る前に思っていたこと、入ってから思うこと」(2016年11月18日)

人間環境学部はどんな学部で、その魅力は何か。オープンキャンパス(OC)のスタッフとして活躍する小倉千佳さん(4年)、田島真衣さん(4年)、そして上村有里絵さん(3年)に、岡松暁子教授(2016年度学部広報プロデューサー)がお話を伺いました。

インタビューにて(左から田島さん、小倉さん、上村さん、そして岡松教授)
インタビューにて(左から田島さん、小倉さん、上村さん、そして岡松教授)

●学部の魅力
(岡松)では始めたいと思います。よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
(岡松)みなさん、OCスタッフですね。高校生にOCのことを聞くと「OCスタッフになりたいので人間環境学部に入ります」。また『一日大学生体験~1 Day 人環 Student~』でも「案内してくれたOCスタッフの方々がとても親切でよかった」と評判でした。
(一同)そうなんですか。うれしい!
(岡松)人間環境学部のOCスタッフは人気が高いと思います。皆さんが語る学部の魅力が高校生によく響くということでしょう。その、皆さんが語っている学部の魅力を教えてください。
(上村)そうですね。生活と密着しているところでしょうか。学校で学んだことがその日のニュースと関連していることもありますし、また従来の学部の枠を超えた、日々の生活と密着した学びが面白いと思います。
(田島)私はフィールドスタディ(FS)。オーストラリアと新潟、青森に行きました。人間環境学部に入りたいと思ったきっかけがFSです。旅行あるいは観光にとどまらず、地元の方に話を聞いたりしながら現地学習という形で学べます。
(岡松)小倉さんはいかがでしょう。
(小倉)学びの幅が広いことが一番でしょうか。もともと環境に興味があって大学を調べていましたが、理系が多かった。でも人間環境学部は文系を主に学べて、「環境」を軸としていろんな学問分野がある。高校3年生の時点で「これ」だけではなく「全部」を学べるところに魅力を感じましたし、今もそう思っています。
(岡松)なるほど。上村さんと田島さんはいかがでしょう。高校生のとき、人間環境学部のイメージはどんなものでしたか。
(上村)私は中学生の頃から公務員になりたいと思っていて、大学選びもそこから始めて、人間環境学部かなと思いました。「まちづくり」をストレートに学べるところと思って。
(田島)私の場合は入ってから知った部分も大きいです。もともと幅広い学びに興味があって、そのひとつとして人間環境学部があり、入ってから魅力を発見しました。高校時代は旅行に関する仕事につきたくて、資格を取れるということも大きかったですね。

●入試
(岡松)入試についてもお伺いします。さまざまな入試が行われていますが、みなさんは?
(上村)指定校推薦です。模試が得意ではなかったのですが、普段の学習はきちんとできていました。OCで人間環境学部を知って、指定校推薦があることも知りました。指定校推薦が駄目なら一般入試で人間環境学部を受験しようと思って、夏休みにも一生懸命勉強していました。
(小倉)私は自己推薦入試です。駄目でも一般入試で受験しようと思うくらい人間環境学部にぞっこんでした。高校3年生のとき高大連携で「人間環境セミナー」に出ていて、もう決めていましたね。そしてOCで自己推薦入試という入試制度があることを知って、入りたい気持ちは誰にも負けないと思っていました。
(岡松)他の学部との違いはどこにあるのでしょう?
(上村)人間環境学部は「環境」から、ということではないでしょうか。
(岡松)その通りではないかと思います。社会をつくっていく、という観点が人間環境学部は大きいと思います。環境もそうですし人間どうしのつながりもそうですね。さて、田島さんは入試はどうでしたか。
(田島)一般入試です。
(岡松)みんなバラバラですね(笑)
(田島)自己推薦などを知らなかったこともありますが、社会系や国際系を含め、幅広く学べるところを、と思っていくつか受験しました。

インタビューにて

●実際に入学して「楽しい」と思うこと
(田島)自分で自由に選択できるところでしょうか。時間割や部活も含めて。
(小倉)その通りですね。選択の自由が増えました。授業も選択肢が多く、興味のままに動けます。遊びもアルバイトも。もちろん責任は伴いますが「やりよう」ではないかと思います。
(上村)社会との接点を持てることも大きいと思います。アルバイトもそうですし、社会教育主事の資格の授業で社会人学生の方と関わることができて、視野が広がったと思います。意欲もすごいと思います。
(岡松)もうひとつ教えてください。みなさんが一番楽しかった授業、みなさんに影響を与えた授業はどんなものでしょう。ゼミの先生に気は遣わなくてよいですよ。
(一同)笑
(田島)「食と農の環境学II」でしょうか。研究会修了論文のテーマが「農家民泊」で、また食品系の企業を目指したこととつながっています。
(小倉)2年生の時の「CSR論」と「ビジネスヒストリー」です。高大連携の「人間環境セミナー」もテーマが環境経営で、入りたいと思うきっかけとなっていました。環境と企業って関係ないと思っていたのにそうではなく、経営側も環境をとても大切にしていて、学生のみなさんもそういう意識をもって就職活動をした方がよい、という指摘も記憶に残っています。会社が人をどう動かしているかという視点も印象に残っていますね。
(岡松)企業と環境、人権、福祉ですね。人間環境学部で学べることが意外と知られていないのかもしれないですね。
(上村)私は「地域福祉論」です。福祉については小学生の時から徐々に遠ざかっているようで、問題だと感じています。

●学部での研究
(岡松)そういった授業を受けながら、みなさん研究会にも属しています。目的意識やきっかけはいかがでしょう。
(上村)それもOCなんです。高校3年生のときです。まちづくりについて学びたいとOCで話したら「うち(人間環境学部)のゼミで学べるのではないか」と。もし入れるなら小島ゼミにしようと決めていました。
(小倉)私はもともと国際系や経営系がいいなと思っていましたが、地域系のことも勉強していました。そういう中で、食の根幹となる農業をもっと知りたいという思いが強くなって、西城戸ゼミに応募しました。
(田島)旅行や観光という観点から考えて、先輩からもお話を伺い、小島ゼミを考えました。MIPという飯山市(長野県)への政策提言書をゼミで作成しており、私が1年生の時のものには観光ルートの提案も含まれていました。そこで「観光もまちづくりに含まれるんだ」と気づいて魅力を感じ、応募しました。入れてよかったと思います。
(岡松)万一入れなかったらどうしてましたか?
(田島)うーん、それなら貴重な時間を生かすため、留学しようと。
(小倉)私は、研究会Bを受講しながら学びの幅を広げていたのでは。
(上村)社会との接点を大切にして、まちづくりやインターンを頑張っていたと思います。

●フィールドスタディ(FS)
(岡松)FSについても教えてください。みなさんにどのような影響を与えましたか。それが将来に結びついても、あるいは直接的には結びつかなくても、貴重なものだと思います。
(上村)3.11の被災地のFSです。中学3年生のときでした。被災地に行かなければと思いながらなかなか行けていませんでした。実際行くと、団地の方々が明るかったこと、また東京オリンピックに関する意見など、勉強になりました。子供たちと触れ合う中で感じることもありましたね。
(田島)3回とも印象に残っています。1年夏の青森、次の春にオーストラリア、そして2年の夏に吉川(新潟)。中でも吉川。集落営農について話を伺いました。農家の方からお話を伺うことで、単純なのですが「お米を食べよう」と強く思いました。
(岡松)食の問題に敏感に反応したんですね。
(小倉)私は青森です。多くの方々にお会いして、普段お話しできない方と話せたことが刺激的でした。「建物ではなく人を育ててください」と言われたことが印象に残っています。「グリーンツーリズム」もようやく実現してきました。
(岡松)海外FSは田島さんのみのようですが、オーストラリアはいかがでしたか。
(田島)海外自体が初めてでした。ホストファミリーの家にいきなり入って、最初は戸惑いました。でも、ストックウェル先生にもすぐ相談できましたし、このFS以降、英語に関して構えることがなくなりました。それ以外にもエコツーリズムについても学ぶことができて、自分が学びたいことを学べていると感じました。

●将来に向けて・高校生のみなさんに向けて
(岡松)みなさん、いかがでしょう。人間環境学部で学んだことを、将来どのように社会で生かしていければと思いますか。
(上村)そうですね。この学部で、ひとつではなく、幅広い視点でみることを学んだので、それを生かしていきたいと思います。
(小倉)現地に赴いてみる、ということ。気になったらフットワーク軽く行ってみたいと思います。
(田島)食品ロスを減らすような取り組みをやっていきたい。吉川FSのことも意識にあります。
(岡松)高校生のみなさんに向けて、大学選びや生活へのアドバイスはありますか。
(小倉)私はぜひ人間環境学部をお勧めしたいと思います。今この瞬間にひとつに絞る必要はなくて、人間環境学部に入っていろいろな視点を学べば、自分の可能性を広げることができるし、その可能性の中でやりたいこともきっと見つかると思います。今この瞬間に選べない方も、ぜひ人間環境学部に来てほしいと思います。
(岡松)そうですね。高校生で将来がかちっと決まっている人はいないと思いますよ。
(上村)私は1年生のとき、岡松先生の「大学に入る意味は人と出会うこと」という言葉に出会いました。殻にこもらず人と出会ってチャレンジしてほしいと思います。経験から学ぶことって本当に大きいな、と。それと小倉さんと一緒ですが、人間環境学部はコースも5つあるし、入ってからでも探せます。
(田島)できる限りいろんな学部を見て、「これがベスト」と思うところを受けてほしいと思います。
(上村)「大学選びって大事だな」と思うのは、出身大学が好きだと言えることってとても大切だと思うからです。自分で努力して、そう言えるようにすることが大事かなとも思います。

(岡松)長い時間、本当にありがとうございました。

卒業生インタビュー

卒業生インタビュー:菅野莉央さん(2016年3月卒)
「手間をかけて自分で考える楽しさ」(2016年3月30日)

インタビュー1  インタビュー2 

 幼い頃より俳優として活躍しながら学業に励んできた菅野莉央さん。2016年3月、法政大学人間環境学部を卒業しました。4月からはいよいよ俳優の仕事に専念します。
 そんな菅野さんと小島聡学部長、そして菅野さん所属ゼミの長谷川直哉教授が、学業と仕事をいかに両立してきたのか、また学部での学びや「気づき」など、これまでの歩みと今後の抱負について話し合いました。

(小島)菅野さんはこの3月24日、人間環境学部を卒業されたわけですが、俳優の仕事はいつから始められましたか。
(菅野)2歳からです。初めは母が「雑誌に載ったら記念になるかな」と考えたくらいの軽い気持ちで、長くやるとは思っていませんでした。小学生の時、撮影現場に行くと周りの大人のスタッフが一緒に遊んでくれて、とにかく現場が楽しくて、続けたいなと漠然と思っていました。一番の転機は小学校の6年です。中学を受験したタイミングで児童劇団から今の「アミューズ」という大人の方の事務所に移籍しようと自分で決めて、面接を受けて移籍しました。

●学業と仕事の両立

(小島)多くの大学や学部がある中で、法政大学人間環境学部を選んだ理由は何でしょう。
(菅野)オープンキャンパスでしょうか。いろいろな大学に行きましたが、学生の雰囲気を見て、居心地がよさそうでした。それとフィールドスタディ。単位にもなるし自分では普段行けないところに行ける。それにも魅かれました。また仕事柄、この分野の専門を身につけたいというのがまだ決まっていなくて、最初の1年生のときに幅広く学べる、いろいろな領域があって、それをやってから決められるという点が大きかったと思います。立地条件もあります。仕事と両立したかったので、4年間都内のところがいいと思いました。
(長谷川)入る前、法政大学はどんなイメージでしたか。
(菅野)高校生の時に初めて来たときには、とにかく明るくて、フレンドリーな学生が多いと思いました。オープンキャンパスの学生さんが楽しそうだったのが印象的で、やらされている感じがなかった。それに、いろんな人がいる、いろんな雰囲気の人が混ざっている感じで「いやすい」と思って。
(小島)大学に通いながら俳優の仕事、両立は大変でしたか。
(菅野)そうですね。でも、先生方が協力的な方が多くて、授業の時も、やはり抜けてしまう分がありましたが、レジュメも後で下さったり、友人も同じ授業に出ている子だとメモ見せてくれたり、周りの方がすごくよくしてくれました。
(長谷川)菅野さんの場合、ただ単位をとるだけでなくて、成績もよかったですね。どういうタイミングで勉強していたか、聞かせてください。
(菅野)移動のときなどでしょうか。テスト前とかはとくにそうでした。テストの日はあけてもらっていたけれど、やはり前日まで仕事があるときもあるので、そういうときは休憩のときに。
(長谷川)そういう意味では時間の使い方がうまかったということですね。
(菅野)それと、中学からの両立の癖というか、中途半端におろそかに学業をやると、やはり仕事をしているからだろうといわれてしまうのも嫌でした。

●人間環境学部での学び

(長谷川)人間環境学部の学びにはいろんな分野がありますが、多様な分野があることによって苦労したことはありますか。
(菅野)2年生の時にゼミに入って企業のことをやっていましたが、その一方で授業では「途上国経済論」など少し違うものをとっていました。その授業でも企業の活動が出てきたりして、結局全部つながっているところがあって、理解しやすかったと思います。こちらからみたらこうだけど、こちらからみたらこう、というのが両方あわさっている方が、理解が深まりますよね。いろいろな分野があったことが私には逆によかったんです。
1年目にいろんな授業を受けている中で、企業の授業を受けたときに、高校生までの自分は全く出てこなかった、こういうのがあるという発見があって魅かれ、ゼミに入りました。企業というとやはり経営学や経済学を勉強しないと、というのがありましたが、社会と企業という、そこのつながりがあるんだよっていう、「気づき」というか、発見が一番大きかったと思います。

(小島)長谷川先生にとって菅野さんはどんな学生さんでしたか。
(長谷川)ゼミにいても特別扱いすることもなく、タイトなスケジュールの中できちんと活動していたと思います。飄々としていて一切顔に出さない。でもたぶん相当頑張っているのだろうと思っていました。それと、自分が学びたいことをきちんと教えてくれる人を見つけ出して、ポジティブにアプローチして、きちんと吸収できる。そういうアクティビティが非常にすぐれていると思います。印象に残っているのは、目の力っていうのかな。目の光がしっかりしていて、こうして面と向かいあうでしょ。
(菅野)もう見られないじゃないですか(笑)
(長谷川)なんとなくね、こう、しっかり自分が納得するまで話を聞きたいという目力があって、こちらもきちんと対応しないと、という意識を持っていました。それに、いろんなことから自分の学びたいことを吸収しようという意識が強いと思います。それがだんだん、人との出会いとか友達との出会いに通じていって、結果的にやはりどんどん知識を身につけることを自然とできる。無理してやっているのではなく、自然体としてやれるってところがすごいと思います。好奇心が旺盛だと思います。

●韓国への留学

(小島)韓国に1年行かれていました。そこで何か学んだことってどんなことでしょう。
(菅野)いろんな国の学生を見ていて思ったのは、やはり幅広い視野をもって、それこそ多角的にというか、見る力がこれからもっともっと必要になるということです。今でも相当必要だとは思います。文化や人と人の面で、むしろそこでよくしていけるのではないかと思いました。
実は、2年生の夏休みに、韓国のスタッフの方とお仕事する機会がたまたまあって興味をもちました。それまで外国の方とお仕事する機会はなかったので、いったいどうなるかと思いましたが、目的が一緒だと、言葉には壁はありますが、むしろさらにいいものができるというところがあって、自分もそういう場にもっと参加できるようにしたいと思って、韓国に行って勉強したり、韓国語も勉強したり、英語ももっと使えるようにしたいっていうモチベーションで行きました。1年もう終わって帰ってきてしまいましたが、継続して語学もやりたいですし、機会があれば韓国だけではなくて、アジアの方とお仕事する場に行きたいという目標はあります。

●将来について

(長谷川)大学を出て、今の仕事を続けていきますが、それと同時に、学びというのは途切れるわけではないですよね。自分なりに、どういうことを継続して、こういう分野のことを学んでいきたいというのはありますか。
(菅野)留学もあって、人間環境で実質2年半くらいしか勉強してないので、もう少し深めてから卒業したかったというのはあります。
(小島)これまで学んだこと、あるいはこれからも上乗せしながら、社会の中で貢献したいという気持ちはありますか。
(菅野)はい、いまの段階では、社会に貢献というところまでは考えられてないですが、でも、せっかく、この人間環境学部で、興味のある分野もできました。国際協力にも興味がありますし、企業の社会貢献活動の内容にも興味があります。環境問題自体に対しても、意識を身につけ見聞きをしたりして、さまざまな問題を伝えるお仕事をすることで、人間環境学部で学んできたことを社会貢献に活かすことができればいいなと思います。

●学生・受験生へのメッセージ

(長谷川)後輩に向けてメッセージをお願いします。
(菅野)高校生の時点で、4年間自分が何を専門にしたいかって、やっぱり確固たるもののある学生って少ないと思うんですよ。1年目は狭めすぎずに幅広く見てみて、自分が意外とこんなのに興味あるかもっていう気づきを1年目にできたら、そのあとは、ゼミとか、専門性をいくらでも究められる場はあると思います。
それから、人間環境学部が、先生と生徒の距離が近い学部だと思いますし、本当にどの先生も聞けば親身になって教えてくれます。その機会をもっと有効活用して、先生ともっと近づいた方が、より自分の成長につながると思います。ぼーっとしているとすぐ終わるよ、と(笑)。4年間、あっという間に終わります。
(小島)本学部への受験生にもメッセージをお願いします。
(菅野)大きく言えば、法政大学人間環境学部は、どんな社会をこれから私たちの世代がつくっていきたいかというのを考える学部だと思います。環境のことばっかりをやるんじゃないかというイメージではなく、どちらかというと社会を考えるものだと思うので、あまり堅苦しく考えず、どんな社会がいいのか、自分で考えてほしいと思います。あと、高校までは、正解があってそれを覚える、答えを探す、みたいな作業が多いと思うんですけど、いきなりそこが大学になると答えがないものを考える作業に変わります。いまスマホとかをつかって探すと、すぐに答えがわかることも多いですが、いったん手間をかけて自分で考えるっていう楽しさみたいなものを、大学の中で見つけてほしいなと思います。

(小島)今日は本当にありがとうございました。