2013年度

飯田市地場産業「伝統工芸品”水引”」の活性化 (水引のブランド力向上プロジェクト)

2013年度
   
飯田市地場産業「伝統工芸品”水引”」の活性化
(水引のブランド力向上プロジェクト)

1.目標

本プロジェクトは、伝統工芸品「水引」の地場産業の振興を目的として実施するものである。長野県飯田市企画部および飯田水引協同組合からの協力依頼により取り組むものである。
経済産業省においては、平成13年より今日まで産業構造審議会に伝統的工芸品産業分科会が設置され、産業振興の重要な課題として継続的な審議が行われている。このことからもわかるように日本の伝統工芸品を残していくことは日本の文化継承の上で極めて重要であり、衰退の一途をたどる伝統工芸品をとりまく産業の振興は日本にとって喫緊の課題である。当該産業を支える企業、あるいは職人がしっかりとした経済的基盤を確立し、伝統工芸品ビジネスで利潤が生まれ、地場産業が栄えていくことが豊かな地域をつくっていくと考える。本プロジェクトは、長野県飯田市の水引産業を対象としており当該地域が抱える課題解決を一つの目標としている。長野県飯田市は水引製品の全国の70%を生産する特異な地域である。水引製品に対する付加価値が高まる、あるいは製品が数多く売れることによって産業振興が図られる。

2.内容・計画

飯田市企画部より平成25年3月にゼミと地場産業連携の依頼を受け、4月下旬に実施に向けた計画詳細の検討を済ませた。今後、当該プロジェクトにおいて学生が取り組むことは以下のことである。

  1. 消費者の水引製品の認知と理解度調査
  2. 飯田市水引産業の実態調査
  3. 飯田水引産業振興策の企画提案
  4. 水引製品のブランド向上のためのマーケティング企画の実践
  5. 活動報告書の作成印刷と配布

この5つの活動項目の詳細を以下に記す。

(1)消費者の水引製品認知と理解度調査については、8月下旬に都内での街頭インターセプトでのアンケート調査、並びにグループインタビューによって潜在的なニーズの把握調査を実施する予定である。この際には、調査のための資材(ボード、文房具、コピー費用)などの消耗品他の費用の発生が見込まれる。

(2)飯田市水引産業の実態調査は、具体的には飯田水引協同組合の組合員24社に対するインタビュー調査である。現場での実地調査であり長野県飯田市内において9月8日~9月12日まで4泊5日にわたって実施する。酒井ゼミナールの学生(3年生9名、4年生7名)の計16名が調査にあたる。産業実態の把握に関しては図書館及びWebを中心に進めるが若干の図書の購入が発生すると考えている。なお、現地での実態インタビュー調査は、京都外国語大学高島ゼミナールとの共同活動を計画している。地域経営を専門分野するゼミナールとの共同活動によって、地場産業を多様な視点で分析ができると考えている。

(3)消費者への調査、企業・職人への調査を踏まえ、飯田市地場産業「水引産業」活性化案を企画し、10月上旬に現地にて依頼元である飯田市及び飯田水引協同組合に対し提案を行う。
この際に1泊2日分の旅費を要する。

(4)産業振興策は、酒井ゼミの専門分野であるマーケティングによる製品の付加価値向上を中心に据えることになる。提案のうち実行可能なものについて、連携先の飯田市、飯田水引協同組合との協力しつつ実践に移す。(例えば、都内での水引製品プロモーションの実施、Webを使用した新たなマーケティングの展開などが考えられる)実施する場合の時期は11月上旬を考えている。実施は未確定のため予算計画は立てていない。

(5)すべての活動が終了する11月下旬に活動成果を報告書としてまとめ、印刷物を配布する。このため印刷・製本費を計上している。

3.成果報告方法

  1. 告書:プロジェクトの報告書を作成し連携先である長野県飯田市及び協力企業に提出する。
  2. 論文:本学が募集する学生懸賞論文あるいは商工中金が主催する中小企業学生懸賞論文に投稿して成果を報告する。
  3. 学生活動報告コンペティション:経済産業省主催の社会人基礎力グランプリ、世界的な学生の社会起業活動支援団体が主催するenactusJAPAN国内コンペティションでの発表によって広く活動を広報する予定である。
  4. WebによるPR活動:キャリアデザイン学部酒井ゼミのFacebookページなどで、積極的に活動の途中から経過詳細を公表する。また連携先である飯田市役所HP、飯田水引協同組合HP上においても成果を広く知らしめる依頼をおこなう。

4.達成指標

本プロジェクトは、飯田市役所及び飯田水引協同組合とのコラボレーションで進めている。学生たちのパフォーマンスを同市、同組合および組合員(企業、職人)による評価をもって達成度を測る指標とする。具体的には、学生の活動、提案企画の水準、提案後の実践結果に対する評価である。客観的な指標として、他に水引製品の売上高、売上個数の変化、消費者の認知度の変化(ブランド力の向上)など数値を調査によって収集し用いる予定である。ただ、職人、企業にとっては日常のマーケティング活動への気づきや学生からの刺激によるモチベーションの向上などの副次的な効果も本プロジェクトの目指すところであるため、事後のインタビュー及びアンケート調査によって測定する。