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精神分析的発達臨床心理学(現代福祉学部臨床心理学科 皆川邦直教授ゼミ)

2012年09月18日

「自分」と向かい合うとは、内側の心的内界と外側の現実外界を巨視的かつ微視的に探索して理解すること

「先生の人柄に魅かれて入ゼミした」と慕われる皆川教授(前列左から3番目)と、「積極的で有能な学生ばかりでいつもエネルギーをもらっている」と皆川教授が話すゼミ生たち

「先生の人柄に魅かれて入ゼミした」と慕われる皆川教授(前列左から3番目)と、「積極的で有能な学生ばかりでいつもエネルギーをもらっている」と皆川教授が話すゼミ生たち

世間を騒がせた連続幼児殺人や青年の母親殺しなどの犯罪者の精神鑑定や精神分析的な発達論を専門とする、現役精神科医の皆川教授。「発達の正常と異常」をテーマにする皆川ゼミでは2~4年生が所属し、学年別のゼミ授業で調査発表もしくは文献講読にて研究を進めています。研究対象の選定は“発達”に関わっていれば自由で、個人研究かグループ単位なのかといった研究の取り組み方も学生主体で運営。7月10日(火)4限の3年生のゼミ授業では、井上香織さんはじめゼミ生がそれぞれの研究内容を中間報告しました。

幼い頃から絵本が好きな井上さんが取り組むのは「絵本と心理」。この日は数えきれないほど実際に読んで分析したと言う絵本の中から名著と呼ばれる1冊の紹介も含め、絵本による子どもへの心理作用や読み聞かせによる親子関係について発表しました。また、「恋愛依存症」について報告したゼミ生も。依存症の種類や科学的分析を含む身体症状が発表されると、男女の症状の差異や恋愛・結婚の歴史的変化、現代社会を背景とした信頼関係の在り方などを議論。皆川教授が専門家としての見解を披露したほか、ゼミ生たちは実体験を踏まえた男女間のコミュニケーションスタイルについても談論しました。

笑いが起こる一場面もあった7月10日(火)のゼミ授業。難しい内容でも誰かしらが必ず議論の糸口を見つけるため、発表者本人が考察に行き詰った場合には研究の助けにもなると言います

笑いが起こる一場面もあった7月10日(火)のゼミ授業。難しい内容でも誰かしらが必ず議論の糸口を見つけるため、発表者本人が考察に行き詰った場合には研究の助けにもなると言います

身近なことを研究内容にしつつも歴史や社会状況なども含む多面的議論が行われる皆川ゼミ。その理由を井上さんは「研究の基となる文献選びにおいて先生がご指導くださるから」と言い、小林愛美さんは「豊かな文献に触れることで1つの事象でも多くの見方があることを学べます」と話します。

「ゼミ生には文献で、人間の心の発達とは何かを習得し、個々の研究で自分と関連づけて発達的に考えることを身につけてほしいと思っています。大学時代は自己を確立するための大切な時期。納得のいく将来の道を手に入れるめにも、時には巨視的に、時には微視的に自らを見つめ、向かい合ってほしいですね」(皆川教授)

仲間と本音でぶつかり合い生き方を問う

春に開催した飲み会

春に開催した飲み会

「皆川ゼミは別名“幸せな生き方を見つけるゼミ”なんですよ」と教えてくれるゼミ生たち。その言葉通り、就職(職業選択)と結婚(性愛対象選択)というその後の人生を大きく左右する人生の選択について考える機会が設けられていることも、皆川ゼミの特徴の一つです。職業選択や性愛対象選択は青年期から初期成人期の発達のゴールなので、それぞれに向かって3年間の学びは進みますが、就職活動については3年生の秋に集中的に4年生自身の最近の就活経験や人材系企業のゼミOBからの話を聞いたり、ディスカッションをします。

金融機関やサービス企業、公務員など個性を生かせるさまざまな業界へ人材を輩出している皆川ゼミですが、ディスカッションが有意義なものになっていることを、井上さんは「ゼミ生同士が本音を言い合えるから」と言います。皆川ゼミでは過去の失敗や現在の悩み、未来の夢などを皆が隠さずに公開。「皆川先生は“ゼミにおいて恥は不要な感情”といつもおっしゃいます」とゼミ長の高野郁弥さんが話すと、「先生自らがご自身の大学生活や恋愛について話してくださるんですよ」という吉澤里佳さんに続き、小林さんは「権威ある研究者でいらっしゃるのに、先生は私たちと距離を置かずに接してくださいます」とコメント。武田祐基さんは「だから僕たちも自分を出さない訳にいかないじゃないですか」と笑い、吉田峻典さんは「好きなことを研究し、支えて下さる先生と心を許せる仲間がいる。“見つける”以前に今も十分幸せ」だと加えます。

「エピソードを用いた恋愛の話をしていると言うと、くだけた印象をもたれてしまうかもしれませんが、青年期における恋愛は家族以外の対象を初めて求める“選択”であり、以後の他者との関係性にも大きな影響を及ぼす重要な発達の一部です。グローバル化が進み、多様な価値観をもつ人たちと接することが予想されるからこそ、“人間とは何か”を一人ひとりが考え抜いてほしいと思っています」(皆川教授)