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かつて多様な側面を持っていた日本の中の「異文化」にスポットを当てる(文学部 小口雅史教授ゼミ)

2009年03月20日

古文書の輪読・発表を通してプレゼン能力も高まる

左から小口雅史教授、汐崎伸子さん、木嶋由希さん、松浦倫京さん

左から小口雅史教授、汐崎伸子さん、木嶋由希さん、松浦倫京さん

小口ゼミでは、3つの分野を中心とした専門研究が展開されています。

第一は日本の北方史です。「日本が均質な文化になるのは、豊臣秀吉が全国を統一して以降のこと。それ以前は多様な地域文化が存在しており、特に北端、南端はまったくの異文化と言ってもいいほどです。それが現在の日本の思想文化を支えている面もあり、日本の歴史を本当に理解するには、そうした多様な側面をもっと明らかにする必要があるのです」と小口雅史教授。3年の松浦倫京さんは「山形県出身なので、北方史に興味を抱き、小口ゼミを選びました。中央とは一線を画する精神文化が花開いていた様子に思いをはせることで、故郷を見る目が温かくなった気がしています」と、この研究の魅力を語ります

第二のテーマは、正倉院に残されている農民や末端役人が記した古文書の解読です。正倉院には公文書のほかにそうした無名の人々の手記が約1万点も残されており、これは世界的に見ても奇跡と言われています。

ゼミでは、日本書紀や続日本紀の北方史に関する記述や、正倉院文書などを輪読していきます。担当部分を予習して皆の前で発表するスタイルですが、「語句注釈では辞典に書かれていることをそのまま説明するのでは不十分です。なぜ辞典がそのような記載になったのか、原典にさかのぼって検証するように指導しています」(小口教授)ということもあって、相当な専門性が要求されます。「そのため、事前に学生だけでリハーサルを行ってから本番のゼミに臨んでいます。その際に大学院生からさまざまなアドバイスが得られ、とても勉強になっています。おかげでプレゼンテーション能力にはかなり自信がつきました」と、ゼミ長の汐崎伸子さん(3年)は語ります。

第三のテーマは、中国の律令制度が東(日本)と西(トルファン)でどのように波及・受容されていったのかを明らかにする研究です。21世紀COEプログラムに採択された「日本発信の国際日本学の構築」の一環として、大学院生を中心に研究が進められています。

また、ゼミ旅行ではさまざまな史跡も訪ねています。「昨年は北海道を巡り、開拓記念館、北海道式古墳などを見学しました。特に印象に残ったのは、余市郊外のフゴッペ洞窟です。翼の生えた人型の絵(地元住民は象形文字の一種と呼んでいます)が残されているのですが、洞窟に線刻を施す習慣は、本州では確認されておらず、北方に独自の文化が形成されていたことの証明にもなると思います」と、3年の木嶋由希さん。ゼミで学んだことを体感できる貴重な場になっているようです。

(雑誌「法政」2009年3月号より)