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万国の経営者よ、立ち上がれ
経済学部現代ビジネス学科 教授 渡部 亮

2015年04月09日

プロフィール

経済学部現代ビジネス学科 教授 渡部 亮

経済学部現代ビジネス学科
教授 渡部 亮(わたべ・りょう)

1947年東京都生まれ。1970年一橋大学経済学部を卒業し、野村総合研究所に入社。1974年ロンドンビジネススクール修士課程単位取得満期退学。同研究所ワシントン支店長、経済調査室長、投資調査部長、英国現地法人ノムラ・リサーチ・インスティテュート・ヨーロッパ社長などを経て、1999年研究理事(役員待遇)に就任。同年いちよし経済研究所代表取締役社長。2002年より現職。2008年ケンブリッジ大学客員フェロー。

政治が解決できない問題をビジネスで解決する方法を求めて

ロンドン留学をきっかけに国際ビジネスの最前線へ

40年前、イギリス留学時にビジネススクール仲間と撮影した写真(最前列一番右が本人)

40年前、イギリス留学時にビジネススクール仲間と撮影した写真(最前列一番右が本人)

高校卒業後、高度経済成長期の追い風を受ける形で経済学部に入学し、当時注目を集め始めていたシンクタンクに就職することにしました。大学院に進学することも考えたのですが、経済的な事情もあったため、給料をもらいながら専門的に勉強させてくれそうな企業ということで、野村総研に入社しました。実際、社費留学制度を使ってロンドンに2年間留学することができました。

当時は、現在のようなグローバル化時代ではなく、国際業務は主流ではありませんでした。しかし、もともと英語が好きで中学・高校時代から外国に興味をもっていたこともあり、以後はずっと国際ビジネスの最前線を歩むことになります。80年代はレーガン大統領時代のアメリカに駐在員として6年間、90年代はブレア首相時代のイギリスに現地法人の社長として6年間在住したほか、法政大学奉職後の2008年には、在外研究員としてケンブリッジ大学に1年間滞在しています。

上の写真の面々と、ロンドンで昨年行った卒業40周年記念パーティ(写真中央が本人)

上の写真の面々と、ロンドンで昨年行った卒業40周年記念パーティ(写真中央が本人)

このように、ビジネスマンとしてのキャリアの半分を海外で築いてきた経験から、ビジネスは全人格的な活動であることを改めて認識しています。専門は国際ビジネスで、特に金融とITには興味を持っていますが、ビジネスに関することであれば、経済や経営にとどまらず、歴史・社会・言語・心理・技術など、あらゆることに関心を抱いています。

トップを目指すよりは多様な経験を重ねたい

中学時代、人間にはトップを志向するタイプと、さまざまな経験をすることに喜びを見出すタイプの2つがあるのではないかと考え、自分はどうも後者らしいと気づきました。駐在員時代は、仕事とプライベートを含め、意識して世界中を旅行するようにしていましたし、その後は大学で研究と教育に携わっていますから、まさに最初の思いつき通りの人生を歩んでいることになります。

2月24・25日、神奈川県湯河原で行われたゼミ合宿。19世紀の西欧社会や格差問題を知るための読書会をした

2月24・25日、神奈川県湯河原で行われたゼミ合宿。19世紀の西欧社会や格差問題を知るための読書会をした

その結果、幸せだと感じていることが2つあります。1つは、気のおけない外国人の友人が海外に10人ほどいることです。もう1つは、講義やゼミで私が話したことが、学術的な内容であれ、ジョークであれ、何かしら学生の心に残って、世代を超えて引き継がれていくことです。

研究面では現在、イギリスの研究者と共同で、「アベノミクスの行方」をテーマにした英語の本の執筆を構想中です。日本が生き残るために何をしなければならないかを考えるつもりです。マルクスの「万国の労働者よ、団結せよ!」を少し変えて、「万国の経営者よ、立ち上がれ!」をスローガンに、政治的に解決が難しい問題を、ビジネスの側面から解決する道を探りたいと思っています。

実務的な知識だけでなく汎用的な教養や雑学が必要

自宅で作ったヒラメのアクアパッツァ。ローズマリーとプチトマトが決め手

自宅で作ったヒラメのアクアパッツァ。ローズマリーとプチトマトが決め手

海外での生活が長かったためか、私自身は合理的な実利主義に染まっている可能性があります。人生では「自由」「独立」「安定」が大きな価値ですが、その3つを同時に達成するのが、私の人生のモットーです。そんな思いもあり、携帯電話は持っていませんし、ゴルフもやりません。自転車も乗らないことにしています。交通ルールが確立しておらず、歩行者に迷惑がかかるからです。

趣味はもっぱら散歩で、2日に1回程度、1万歩を目標に近所の道を歩いています。多摩キャンパスも格好の散歩コースです。また、留学時代に始めた料理も得意で、大体どんなものでもレシピを見ずに作れます。

法政は自由でいい大学だと思いますが、学生は実務的知識や実践的手法の習得を求める傾向が強いようです。ゼミでもそうしたことに力を入れていますが、長い人生では一般的な教養や雑学も必要だということを、常に学生に話すようにしています。4年生になると就職活動で忙殺されるため、そうなる前に、特定のテーマや科目に焦点を絞って徹底的に取り組んでほしいと思います。それが将来の糧につながるのですから。

(初出:広報誌『法政』2014年度3月号)