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土木工学をベースに地球環境を考える
デザイン工学部 都市環境デザイン工学科 准教授 鈴木 善晴

2013年04月18日

プロフィール

デザイン工学部 都市環境デザイン工学科 准教授 鈴木 善晴

デザイン工学部 都市環境デザイン工学科 准教授 鈴木 善晴

デザイン工学部 都市環境デザイン工学科
准教授 鈴木 善晴(すずき よしはる)

1998年 京都大学工学部土木工学科卒業
2000年 京都大学大学院工学研究科
           環境地球工学専攻修士課程修了
2002年 京都大学大学院工学研究科
           環境地球工学専攻博士課程退学
           宇都宮大学工学部建設学科助手
2007年 宇都宮大学工学部建設学科助教
2008年 宇都宮大学大学院工学研究科
           地球環境デザイン工学専攻助教
2010年 現職

安全・安心な暮らしを支え「まちづくり」に貢献するため水災害の防止・軽減を目指す

さまざまな知を集約し水の循環を解き明かす

雨が降り、その雨水が河川や地中、下水道を通って海に流れ込み、蒸発して雲となって再び雨を降らせる。このような地球全体の水の循環に関するさまざまな問題を扱う学問が「水文学(すいもんがく)」です。私はその中でも「水文気象」や「水文環境」を専門としており、雨が降るメカニズムや都市における集中豪雨対策、地球温暖化が及ぼす影響に焦点を当てた大気環境や河川流域の研究などに取り組んでいます。

近年、集中豪雨の発生頻度が高まっており、私も強い関心を寄せています。地球温暖化や都市部のヒートアイランド化がその一因と考えられており、ここ数年で降雨レーダーの整備や予測システムの開発などの対策が進められてきましたが、ゲリラ豪雨などの局地的な現象や急激な天候変化にはまだ対応できていないのが現状です。

そこで私の研究室では、集中豪雨の人為的な抑制を目的とした気象制御手法の研究に取り組んでいます。以前からドライアイスなどを散布して雨を降らせる「人工降雨」の活用が乾燥地帯を中心に行われてきましたが、雨が思うように降らないケースも数多く報告されています。 これを逆手に取ったのが集中豪雨抑制の発想で、気象災害を少しでも軽減したいとの思いから、数年ほど前に研究を開始しました。まだコンピューターでのシミュレーション実験の段階ですが、ドライアイス散布の仕方によっては十分な抑制効果が得られることが確認されており、現在はどのような条件のときに最も抑制効果が得られやすいのかなどについて分析・検討を行っています。

学際的な取り組みが水文学の大きな魅力

水文学に魅せられた学生が集う水文気象環境研究室

水文学に魅せられた学生が集う水文気象環境研究室

さらにインフラ面での対策としては都心部の下水道網の整備が挙げられます。老朽化が進んでいることはもとより、そもそも近年の集中豪雨がもたらすような大量の水を処理できる設計になっていないため、早急に改善が必要な状況です。このように集中豪雨対策一つをとっても「観測・予測システムの強化」「集中豪雨の抑制策」「インフラの整備」の3分野の対策を同時に進める必要があります。課題は多分野にまたがっており、日夜強い使命感を持って研究に取り組んでいます。

集中豪雨と並んで私の研究分野である大気環境では、地球温暖化による大気の流れの変化により大陸から移流してくる二酸化硫黄などの汚染被害地域の変遷と対策などについても研究しています。主に九州や日本海側の地域で観測されていた汚染被害が他地域でも確認されるなど、大気の流れに少しずつ変化が生じています。将来的な地球温暖化の影響をよく分析した上で最善の対策を提言できればと考えています。

このように私のバックグラウンドは土木工学ですが、水文学は気象学や農学に関する知識など従来の研究分野を超えた取り組みが必要です。近年、地球温暖化やそれに伴う異常気象の問題が顕在化するにつれて異なる学問分野の交流も活発化しており、各分野のスペシャリストから新たな知見を得ることにも努めています。

土木の魅力は暮らしを基礎から支えること

私が水文学と出会ったのは土木工学を専攻していた大学時代です。雨や水の循環を扱う講義を受け、土木工学の中の一分野としての意外性と、研究対象のスケールの大きさに惹かれ、強い関心を持つようになりました。

水文学のような応用分野も含め、土木工学の最大の魅力は社会貢献につながることです。下水道網の整備が都市部における集中豪雨の基本的対策であるように、土木工学や都市環境工学が担うまちづくり・インフラ整備と地球温暖化対策、防災対策とは切っても切れない関係にあります。地球環境の現状を考えると、その関係は今以上に深いものになり、土木工学・都市環境工学の活躍の場はさらに広がるのではないでしょうか。

最近はオープンキャンパスなどで高校生に話をする機会も増え、「社会貢献」を軸に土木工学・都市環境工学の魅力を伝えています。東日本大震災の影響か、以前よりまちづくりや防災に関心を持つ高校生も増えているように感じます。多くの若者がこの道を志すきっかけとなるように、今後も土木工学・都市環境工学が担う社会的役割について広く社会に伝えていきたいと考えています。

自分で考え行動し成長を続けてほしい

大学時代、法政大学と対戦した甲子園ボウル で鈴木准教授(♯32)はパンターとして活躍

大学時代、法政大学と対戦した甲子園ボウル で鈴木准教授(♯32)はパンターとして活躍

最近はもう週に数回ジムで体を動かすくらいですが、大学時代はアメリカンフットボール部に所属していました。工夫次第で自分より体の大きな相手でも打ち負かすことができる競技特性に魅せられ、日々練習に打ち込んでいました。大学1年の時に甲子園ボウルで法政大学と対戦したのはいい思い出です。アメフトを通じて得た経験からは多くのことを学び、人間的にも成長できたと思います。

勉強もスポーツと同じで、目標達成のために何が必要かを自分の頭で考え、日々積み重ねていくことが大切です。学生たちにはよく「大学は何かを教えてもらう場所ではなく、自分を鍛え成長させるためのトレーニングの場だ」という話をしています。私の指示や教科書などを全て「正解」として鵜呑みにするのではなく、「本当か?なぜそうなのか?もっと良い解決策はないか?」といつも疑問を持ち、自分の頭で考える癖を身に付けてほしいですね。

そのうえで、「人々が安心して暮らせるまちづくりを根底から支えたい」という強い志を持って、一人でも多くの卒業生が将来社会で大いに活躍してくれれば、これに勝るものはありません。