経済学と化学の深い関係性
経済学部 教授 山﨑 友紀

2011年09月20日

プロフィール

経済学部 教授 山﨑 友紀(やまさき ゆき)

高知県生まれ。
1993年 京都大学工学部工業化学科卒
1998年 東北大学大学院資源工学専攻にて博士(工学)取得。
     大阪府立高専講師および助教授、
     SRI客員研究員を経て、
2007年 法政大学経済学部教授に就任。

子どもと大人が、理科の面白さを共感できる仕組みをつくっていきたい

研究テーマについて教えてください

経済学部 教授 山﨑 友紀

経済学部 教授 山﨑 友紀

扱うテーマは大きく分けて2つあります。一つは化学、特に水を使った研究です。水を特殊な条件下で高温かつ高圧にする実験系の研究で、要するに圧力釜の原理を応用したものです。高温高圧の水を利用して、例えばダイオキシン系の有害な化合物を完全に分解して無害にしたり、廃プラスチック系のものを再利用できるような材料に転換したり、あるいはCO2を吸着するような材料を合成する、といった実験と研究を続けています。
二つめは、子どものための理科教育で、化学と科学の面白さを子どもたちに伝えることです。最近では「大人のための実験教室」も行っています。子どもたちの理科離れという言葉をよく耳にしますが、それは大人たちが理科から離れていることにも原因があると思い、大人と子どもが理科の面白さを共感できるような仕組みをつくりたいと考えています。

経済学と化学との関係性とは何ですか

研究者、サイエンスライター、そして二児の母としての顔をもつ山﨑教授

研究者、サイエンスライター、そして二児の母としての顔をもつ山﨑教授

経済学部で化学系の教員募集があったときには、私自身も驚きました。しかし、実は経済と化学にはとても深い関係があります。
経済では、お金は「物」の対価として支払われます。「物」をお金に換えるにはその価値をはかる必要があり、そのためには「物」の物質的な特性を理解する必要があります。そこで化学という学問につながるのです。
「化学経済」という月刊誌があるほど社会に定着した領域ではあるのですが、経済と化学の両者の接点を持とうという意思のある方は少ないように感じています。ところが欧米、特にアメリカでは工学部の学生にとって経済は必修です。そういった意味では、まだまだ日本は文系と理系をはっきり区別しすぎているかもしれません。本来なら相互に乗り入れて、学生も自由に双方を学べる雰囲気や環境が必要なのではないでしょうか。
「まさか経済学部に来てもう一度化学を学ぶとは」と驚く学生も多いと思いますが、私の担当する講義は自由選択の科目であるにもかかわらず、年々受講者が増えています。特に今年は原子力発電所事故の影響もあったのかもしれませんが、受講者数が昨年度比で倍近くに増えました。

子ども向けの理科教室とはどのようなものですか

子どもたちに向けて何か面白い教材を開発しようと、学生のアイデアと私のアイデアをぶつけるうちに、法政大学の多摩キャンパス自体を教材にしてしまおうということになり、ゼミの学生主体で始めたのが「わくわくほうせい!」という理科教室でした。主にキャンパスの中を自然散策し、落ち葉で木の種類を当てたり、焼き芋をしたり、さらに化学の実験なども行います。こうした教室では、子どもたちの喜ぶ顔に巡り合えるのが幸せです。また学生主体となるため、学生の側もどんどん成長していくのが分かります。子どもに質問されて答えられずに困った経験があれば、次回に備えて調べ、さらに知識が充実します。
「わくわくほうせい!」の内容はオーダーメードです。10人ほどのグループなら、いつでも声をかけていただければニーズに合わせた教室を基本的に参加費無料で実施しています。

「わくわくほうせい!」では、子どもたち対象に体験型の理科教室を実施している

「わくわくほうせい!」では、子どもたち対象に体験型の理科教室を実施している

オフや学外での活動について教えてください

著作や監修などに携わった主な作品群

著作や監修などに携わった主な作品群

9歳と2歳の子どもがいます。下の子はまだ手がかかりますし、朝夕はもちろん、お昼のお弁当も含めて三食自分でつくると決めていることもあり、あまり自由な時間はとれません。それでも趣味のクラシックバレエだけはずっと続けていて、今でも週に1・2回は通っています。
また、サイエンスライターの仕事もしています。最近では、化学ミュージアムというウェブ上のバーチャルなミュージアム(http://www.chemuseum.com/)の原稿や、科学技術振興機構(JST)が小中学校の教員向けに発行している「サイエンスウィンドウ」という雑誌に企画から参加しています。
また奇数月の第2・3土曜日には、「大人のための実験教室」を法政大学自然科学センター(市ケ谷)で行っています。同センターのウェブサイト(http://src.i.hosei.ac.jp/)などでも告知しているので、興味のある方はご覧いただければと思います。