HOME > 法政を知る・楽しむ > 法政ピックアップ > 教員紹介 > 2010年度 > 情報科学部 教授 馬 建華


情報科学部 教授 馬 建華

2011年03月01日

プロフィール

情報科学部 教授 馬 建華(マー・ジェンファ)

1962年 中国・西安生まれ。
1982年 国防科学技術大学卒業。
1985年 同大学大学院修士課程修了。
1990年 西安電子大学大学院博士課程修了。
国防科学技術大学で専任講師を務めた後、
1994年に来日し、会津大学客員研究員、専任講師となる。
2000年から法政大学情報科学部助教授。
2003年 教授となり、現在に至る。

積極的に海外に飛び出し外国の人々とコミュニケーションを図り世界をステージに活躍してほしい
「スマートワールド」の実現をめざす

中国の大学時代の思い出を聞かせてください

情報科学部 教授 馬 建華

情報科学部 教授 馬 建華

私は1962年、中国の西安で生まれ、1978年、長沙の国防科学技術大学に入学しました。

私が幼少時の中国は、1966年に始まった文化大革命の嵐が吹き荒れ、大学は新規入学者を受け入れていませんでした。「高考制度」(大学入試)が復活したのは、文化大革命が終了した1977年10月からです。それまで十数年間も大学に入学できなかったため、志願者が殺到し、100倍近くの競争率になりました。幸い、私はその時、16歳で合格することができましたが、新入生の年齢層は幅広く、1部屋7人の寮では、私が最年少で、最も年上の人は27歳でした。長らく学問に飢えていた学生が多く、皆、ほとんど遊ぶこともなく、真剣に勉強に取り組んでいました。その姿に強烈なインパクトを感じて、自分も一生懸命頑張ろうと決意したことが、その後、長く研究を続けることができた要因になっている気がします。

勉強のかたわら、学内のバスケットボールチームにも所属していました。研究には知力だけでなく、体力も重要です。大学時代に体を鍛えていたことが、その後の研究生活にも役立っていると感じます。皆さんにもぜひ、若いうちにスポーツに親しんでほしいと思います。

中国ではどんな研究をされていたのですか

米国スタンフォード大学のBebo White教授と

米国スタンフォード大学のBebo White教授と

国防科学技術大学は、世界最速のスーパーコンピュータ「天河1号」を開発した大学として知られており、当時から情報通信の最先端研究が活発でした。私は宇宙に興味を持っていたことから、まず衛星通信を研究テーマに選びました。

大学院修士課程では、近距離のデジタル通信に研究の軸足を移し、セキュア(安全性の確保)に取り組みました。まだインターネットが流行する前の時代で、電話線を介していたため、情報セキュリティが大きな課題になっていたからです。理論研究だけでなく、実際に変換デバイス機器も制作しました。修士課程修了後は、国防科学技術大学に残り、助理講師を務めるとともに、1987年から西安電子大学の博士課程で学び、博士号を取得しました。

来日されたきっかけは何だったのですか

ノルウェーのPulpit Rock(Preikestolen)で

ノルウェーのPulpit Rock(Preikestolen)で

1993年に新設された会津大学で、本学の元教員の國井利泰先生が学長で大学のインターナショナル化を図っていたので来日することにしたのです。

次いで、1998年にオーストラリアの国際学会に出席した時、本学の大森健児先生と出会い、2000年に情報科学部を新設する構想があることを聞き、新しい学部の設立に携われることに魅力を感じ、移ることを決意しました。

来日によって、私の研究に新たな転換も生まれました。90年代に入って、通信からマルチメディアの研究に移行。画像と音声の情報処理を行う装置などを開発しました。國井先生、池戸先生との出会いによって、バーチャルリアリティに関する共同研究も進めることができました。

さらに、1995年ごろ、私には1つの考えが生まれました。それはコンピュータ技術の進展が、世界そのものを大きく変えていくということでした。たとえば、ICチップや電子機械の小型化、およびそれらを無線で相互接続することで、いつでもどこでも優れたサービスを受けられる新しい社会が創出されます。いずれは現実と仮想世界をシームレスに融合した新しい世界「ハイパーワールド」が出現するに違いありません。当時はそうした概念はまだ一般的ではありませんでしたが、私は近い将来、そのような世界が到来することを確信し、ユビキタス・インテリジェンスの研究に力を注ぐことにしたのです。2003年からは、コンピュータのさらなる小型化に伴って出現する「スマートワールド」の実現に向けた研究を進めています。

研究室では、学生たちが「部屋がロボットを制御する方法」「ユーザーの位置情報を複数人が自動共有する方法」など、きわめて具体的でユニークなテーマに取り組んでいます。その中で得られた知見の蓄積が、いずれ理論に昇華されていくのです。

本学の学生たちに期待されることは何ですか

富士山をバックに学生たちと

富士山をバックに学生たちと

大学時代に最も重要なのは、学びのモチベーションです。それを高めるためには、単に自分が興味を持ったことに取り組むのではなく、新しい発想、方法、モノへの挑戦であることが大切です。すでに誰かがやったことの後追いではなく、自分ならではの研究であれば、もっと頑張ろうという意欲がわいてくるからです。

また、世界の広さも意識してほしいですね。私自身、さまざまな国に出向き、外国の研究者とコミュニケーションを図ることによって、刺激を受け、視野を広げることができました。学生たちにも海外のプログラムへ積極的に参加して、世界をステージで活躍してほしいと期待しています。