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理工学部 応用情報工学科 准教授 藤井 章博

2010年11月20日

プロフィール

理工学部 応用情報工学科 准教授 藤井 章博(ふじい・あきひろ)

1962年 岐阜県生まれ。
1987年に東北大学工学部通信工学科を卒業し、同大学大学院工学研究科博士課程(電気及び通信工学専攻)に入学。
1992年 同課程を単位取得退学し、同大学電気通信研究所助手(1993年工学博士)。
1997年 宮城大学事業構想学部デザイン情報学科助教授。
1999年 東京大学大学院先端学際専攻社会人博士課程入学(単位取得退学)。
2000年 マサチューセッツ工科大学訪問研究員
2003年 文部科学省科学技術政策研究所科学技術動向研究センター主任研究官。
2008年より現職。
2009年 次世代オンラインカタログの開発・販売を手がける。株式会社ワンゼロを設立し、代表取締役も兼任。

分散処理の技術を有効活用したビジネスモデルを創出する
教育、研究、実業の世界を行き来する

研究テーマは何ですか

理工学部 応用情報工学科 准教授 藤井 章博

理工学部 応用情報工学科 准教授 藤井 章博

大学院からずっと「分散処理」に関する研究を続けています。分散処理というのは、複数のコンピュータを利用して計算処理を行うIT技術のことです。学び始めたころは、研究者がようやくインターネットを使い始めた時代で、分散処理といっても「ハードウェアをどう制御するか」といった一般には馴染みの薄い分野でした。しかし、現在では分散処理は当たり前になり、グーグルやアマゾンなどのサービスプロバイダでは、現実に分散処理の技術を使ってさまざまなサービスを提供しています。

最近話題のクラウド・コンピューティングも分散処理技術を応用したものです。最大のポイントは「サービスの提供元が仮想化される」ことです。サービスをより柔軟に提供できるようになり、新たなビジネスモデルが登場する期待も高まっています。そこで、現在はクラウド・コンピューティングの中で、どんなビジネスモデルの創出やアプリケーションの展開が可能かといったことを中心に研究を進めています。

なぜ、研究者の道を志したのですか

子どものころから理科少年で、外国の短波放送を聞いたりして、通信に興味があったこともあり、通信工学科に進学しました。コンピュータはやりたくなくて、通信衛星を研究している研究室を選んだのですが、当時の通信の研究の世界ではすでにTCP/IPなどの通信プロトコルを大規模ネットワークにどう組み込むかといったテーマが主流でした。そのため、否応なくプログラミングやITの世界に飛び込むことになったのです。もっとも、ネットワークが世の中を大きく変えそうな「ワクワク感」を感じていたのは確かです。

やがてインターネットが爆発的に普及すると、電子商取引が社会の大きな話題になっていきます。ちょうどそのころ、気仙沼市の漁協の人たちと、マグロやヒラメなどの鮮魚の取引きを電子化する研究プロジェクトに関わることになり、それから電子商取引にも興味が湧いてきました。

しかし、電子商取引を研究するためには、技術の話だけでなくビジネスに関わる部分も重要で、経営学の知識が大切だということに気づいたのです。そこで、宮城大学で教員をしながら、週1回東京大学の大学院のゼミに顔を出す生活を始め、経営学の勉強と同時に電子商取引のビジネスモデルとイノベーションに関する研究を続け、米国のMITにも、このころ留学しました。

その後、文部科学省の研究官として採用され国のイノベーション政策に関わる研究や科学と技術動向を調査するような研究も行ってきました。それらはすべて現在の教育や研究活動につながっています。

授業ではどんなことを心がけていますか

ちょうど理工学部を設立する時期に赴任したこともあり、授業では、分散処理に関する技術的な科目のほかに、「情報倫理」をはじめ、情報社会と職業に関する内容を持った社会科学的な科目も担当しています。

分散処理技術は基本的にはプログラミングの世界で、最初のハードルはやや高いかもしれません。しかしいったんそこを超えると、1人でどんどん先に進んでいくことができます。授業では、現在の主流言語であるJAVAで教えていますが、別の新しい言語を使いたいという学生も出てきており、そういう学生をきちんと伸ばしてあげたいと思っています。

情報倫理に関しては、かつてはまずネチケット(コンピュータネットワーク上でのエチケットやマナー)の話題から入るのが習わしでした。しかし現在ではそれは当然の知識になっており、著作権やプライバシーなど、倫理の中身に関する話題が中心になっています。例えば、ネットゲームの世界で故意に仲間のキャラクターを倒したことで裁判になるなど、新たな倫理的問題も出てきています。テクノロジーがそれまでになかった社会的問題を生み出しているわけですが、そうした技術と社会の問題を、学生と一緒に学びながら考えていきたいと思っています。

また、クラウド・コンピューティングに対応したアプリケーションを開発して販売する会社も経営していますので、そうした経験からも学生にいろいろなアドバイスができるのではと考えています。

研究の息抜きには何をしていますか

体を動かすのは好きなので前はよく水泳に通っていましたが、最近はジョギングで軽く汗を流す程度です。音楽も趣味で、クラシックから洋楽までジャンルを問わず聞いていますし、クラシックギターと合唱には特に親しんでいます。

クラシックギターに関しては、中学のころにお小遣いで買ったギターを細々と練習していた程度ですが、大学院のころに、2.3年間まじめに習いに行ったこともあります。その後は研究などが忙しくなり中断していましたが、最近小金井のギター教室に通うようになりました。

合唱を始めたのは文部科学省の研究官時代です。上司から誘われ、職場の男性合唱クラブに入部したのですが、どういうわけかずっと続けています。ギターは週に1回、合唱は2週間に1回の練習ですが、研究や会社経営で疲れた頭をリフレッシュするのに最適な時間になっています。

(雑誌「法政」2010年11月号より)