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キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科教授 宮城 まり子

2008年10月20日

プロフィール

キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科教授 宮城 まり子

キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科教授 宮城 まり子
(みやぎ まりこ)

神奈川県生まれ。
慶応義塾大学文学部心理学科を卒業。
早稲田大学大学院心理学専攻修士課程を修了し、臨床心理士として東邦医科大学病院、聖母病院、川崎市教育研究所などで臨床活動に従事。
2000年にアメリカ・カリフォルニア州立大学大学院教育学専攻修士課程キャリアカウンセリングコースに研究留学し、キャリアカウンセリングに本格的に取り組むようになる。
産能大学、立正大学を経て2008年に本学に着任。
主な著書に『キャリアカウンセリング』(駿河台出版社)、『成功をつかむための自己分析』(新河出書房)などがある。

偶然をチャンスに変えるために 今を前向きに頑張ってほしい
キャリアを通して心の成長を考える

キャリアカウンセリングとは何ですか

キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科教授宮城 まり子

キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科教授宮城 まり子

キャリアは、狭義では「職業」「職歴」の意味で使われることが多いのですが、広義では「働き方」「生き方」といった包括的な意味で使われるようになりました。キャリアカウンセリングも就職や転職の相談というより、ライフ・キャリア設計全般に係わるカウンセリングという意味合いが強まっています。

私は大学院を修了して臨床心理士となり病院や教育相談所などでカウンセラーをしていたのですが、「仕事で充実感が得られない」とか、「上司と上手くいかない」など仕事に関係する悩みに接することが多くなりキャリアカウンセリングに本格的に取り組むようになりました。

今、大卒者の3人に1人が三年以内に離職すると言われています。企業のカウンセリング室には、夏ごろになると新入社員が辞めたいと相談に来るケースが増えています。

また、女性からは「育児休業を終えて復職したけれど職場で自分が必要とされているという実感がもてなくなった」といった相談やベテラン社員からは「サラリーマン人生の先も見えてきて、このままでいいか悩んでいる」などの相談も多く寄せられます。人生の中で仕事に費やす時間の大きさを考えれば、仕事を通じての自己実現は心の健康という面からも重要な意味をもっています。ですから自己理解やライフ・キャリアデザインを支援するキャリアカウンセリングは、心の問題を未然に防ぎ、生涯を通じた人の成長を促すカウンセリングであると言えます。

なお、キャリアカウンセリングは、日本では10年ぐらい前から本格的に取り組まれるようになりましたが、アメリカでは100年以上の歴史があります。カリフォルニアに研究留学するチャンスを得たことも、この分野に深く係わることになるきっかけとなりました。

授業ではどういったことを教えているのですか

学部で担当している授業は『キャリアカウンセリング』です。目的は2つあり、一つは学生自身のキャリアデザインを支援することです。自分の適性や興味・関心を探っていき、卒業後の進路や生き方、つまりライフ・キャリアデザインについて考えていきます。女子学生には結婚して家庭に入る道だけでなく、子育て後の人生まで考えながらキャリアについて考えてみるように促します。受講生からは「授業が自分のやりたいことについて真剣に考えるきっかけとなった」という感想が聞かれます。2年次以上を対象としていますが、3年生には就職活動に生かしてもらいたいですし、2年生には将来に向けて大学で今何を学ぶべきか、何を身に付けたらよいかを自覚する足掛かりにしてほしいと思っています。

もう一つの目的は、キャリアカウンセリングの基礎知識とカウンセリングスキルを身につけることです。これはキャリアカウンセラーを目指す学生でなくとも、将来、管理職に就いた場合も、親として子供を育てるうえでも、必ず役に立つはずです。

先生自身のキャリアデザインはどのように形成されたのですか

高校生の時でした。自分の能力を生かして他人の役に立ちたいという思いは早くからありました。父親は薬学が専門だったので薬剤師になれと言いましたが、妙な反発心があって、それだけは嫌だと思っていました。臨床心理士はたまたま読んだ心理学の本でその存在を知って興味をもちました。高校生のことですからそれほど深く考えた結論ではありませんでしたが、その後、迷いを感じることはありませんでしたね。大学院生時代にカウンセリングの現場で、来談者に「若いあなたに何がわかるの」と言われた時も辛いとは思いませんでした。来談者が若いカウンセラーを頼り無く思うのは当然のことですから。もちろん、悔しい気持ちにはなりましたが頑張って将来良いカウンセラーになろうと思ったものです。

留学体験も自分のキャリアを考えるうえで刺激となりました。私は大学時代、カナダへ留学するチャンスに恵まれました。そこで出会った女性は目標を持ち、自分のキャリア形成のために来ているのですね。日本では大学を出て就職しても結婚や出産で辞める女性が多い、と言うと、皆一様に信じられないと言いました。大学で学ぶのは「自分の能力を社会で生かすためではないのか」と言うのです。当時の私にはそうした彼女たちの存在が大変刺激的で、自分も将来そうなりたい、と思いました。

学生たちには大学時代をどう過ごしてもらいたいですか

いろいろなことを体験し、行動を通して自分の可能性を見つけていってほしいですね。キャリアデザインというと、あらかじめ一生の計画を決めてその通りに進んでいくというイメージをもつ人もいるかもしれませんが、実際の人生は計画通り進むものではありません。進学、就職、出産、転職、退職などライフステージのさまざまな節目で、偶然の影響を受けながら人間は生涯にわたり変化し、成長していくのです。学生時代、自分の将来についてただ腕組みをして考えていても、何も分かるわけないのです。積極的に行動して、いろいろな偶然に出会って、そこからまた次の道を探っていくよりないと思います。そして「これだ」と思える偶然に出会ったとき、それをチャンスとして次のステップに生かせるように努力することが大切ですね。たとえば、たまたま参加したインターンシップが縁になって「うちで働いてみないか」と声を掛けられることもあるでしょう。こうした結果は偶然の産物に見えますが、しかし、単なる偶然ではなく研修先の企業で頑張っていたから認められ声をかけられたわけです。

インターンシップに参加したというだけで就職につながるものではありません。キャリアは向こうからはやって来ません。自分から行動し、準備しているからこそ、偶然の出来事がチャンスとなって次へつながるのです。大学時代は、こうした偶然を次のステップにつなげる場として生かしてもらいたいですね。

(雑誌「法政」2008年10月号より)