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株式会社丸山珈琲 バリスタ 井崎 英典 さん

2014年12月18日

プロフィール

丸山珈琲西麻布店にて

丸山珈琲西麻布店にて

井崎 英典(いざき ひでのり)さん

1990年3月、福岡県生まれ。
2013年法政大学国際文化学部国際文化学科卒業。16歳からコーヒーの仕事に携わり、大学入学と同時に(株)丸山珈琲に入社。同年からジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)に挑戦し、2012年初優勝。日本代表として2013年ワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)に出場するも13位に終わる。2013年、JBC 二連覇を果たし再び2014年のWBCへ。世界54カ国の代表選手の中で見事1位に輝き、日本人初の快挙を成し遂げた。

コーヒーにまつわる物語(ストーリー)を伝えるメッセンジャーでありたい

2014年6月、イタリア・リミニで開催された「2014 World Barista Championship(WBC:年1回開催されるバリスタの世界1位を決める大会)」で、日本人初のチャンピオンとなった井崎英典さん。コーヒーへの熱い思いをうかがいました。

英語力と国際感覚を磨きに国際文化学部に進学

学生時代の一枚。今でも刺激し合える友人たち

学生時代の一枚。今でも刺激し合える友人たち

高校時代にやりたいことことが見つからなかった私が出会ったのがコーヒーでした。父が福岡で自家焙ばいせん煎のコーヒーショップを経営しており、「やってみるか」と声をかけてくれたのです。そこでコーヒーの魅力に取りつかれ、この世界で生きていこうと思うようになりました。

コーヒーをとことん極め、世界で勝負したい。そのためには英語力と国際的な感覚が不可欠だ……そんな思いから法政大学国際文化学部に進学。ここは、まさに願った通りの環境でした。留学生や帰国子女、海外志向の学生などが集まっており、バックグラウンドが違う人たちと話をするのは新鮮でしたし、文化や国際事情などを学ぶのも楽しかったですね。

また、国際文化学部には、全員が在学中に海外留学するプログラム(SA)があり、私はイギリス・シェフィールド大学に留学しました。ほぼ英語が話せない状態で現地に入り、「とにかく英語をしゃべれるようになろう」と授業以外は街に出て、地元の人と話すよう心がけました。最初は話すスピードが速く全く聞き取れなかったのですが、留学の終わり頃には自分の意見を主張できるようになりました。日本に帰る飛行機の中で「これなら世界でやっていける」と実感したのを覚えています。

自分への投資に努めた法政時代

「2014 World Barista Championship(WBC)」でのプレゼンテーションの様子。WBCは15分間の制限時間内に4杯のエスプレッソ・カプチーノ・オリジナルドリンクを提供、コーヒーの味はもちろん、清潔さや創造性、技術、全体のプレゼンテーション能力などが総合的に評価される競技大会

「2014 World Barista Championship(WBC)」でのプレゼンテーションの様子。WBCは15分間の制限時間内に4杯のエスプレッソ・カプチーノ・オリジナルドリンクを提供、コーヒーの味はもちろん、清潔さや創造性、技術、全体のプレゼンテーション能力などが総合的に評価される競技大会

大学入学と同時に、丸山珈琲に入社しました。軽井沢で創業した珈琲店で、産地から直接コーヒー豆の買い付けを行うなど、コーヒーの品質にこだわった店舗展開を行っています。代表取締役の丸山健太郎さんとは、父の店を通じて面識があったのですが、当時から海外に目を向けるとともに、日本のコーヒー業界のレベルアップに取り組んでおり、理想の「国際人」の一人でした。彼の下で世界に通用するバリスタを目指そうと考えたのです。

勤務先は長野県にある小諸店。平日は大学で授業をこなし、週末や長期休暇は新幹線で小諸に通うという毎日が始まりました。交通費・宿泊費は持ち出しでしたが、自分自身への投資と割り切っていましたね。

その年からジャパンバリスタチャンピオンシップに挑戦。初挑戦でファイナリスト(7位)入賞を果たしました。その後、毎年のように大会に挑戦し、年、13年には2年連続で日本チャンピオンになりました。

WBC表彰後の様子

WBC表彰後の様子

13年に日本代表として臨んだ世界大会(WBC)は雰囲気にのまれ、自分らしさを全く出すことができないまま終わってしまいました。「同じ失敗は繰り返さない」と言い聞かせて臨んだ14年の大会。自分なりのプレゼンテーションが評価され、チャンピオンになれたことは、本当に嬉しかったですね。

生産者とお客さまをつなぎコーヒーの魅力を伝えたい

コーヒーは人が作り、人が楽しむもの。1杯のコーヒーには、生産者、バイヤー、輸出業者、焙煎人、バリスタなど、多くの人間が関わっています。私はこうしたコーヒーにまつわる物語(ストーリー) を伝える、メッセンジャーでありたいと思っています。

コスタリカのコーヒー豆生産者と

コスタリカのコーヒー豆生産者と

生産者を訪ね、お客さまがどんなに喜んでいるかを伝える。また、お客さまに生産者の思いを伝える。物語ることで、より味わい深くなるコーヒーの魅力を、多くの方に伝えていきたいと思っています。

最初はコーヒーを念頭においての大学進学でしたが、法政での4年間がなければ、今の自分はないと思っています。決して真面目な学生ではありませんでしたが(笑)、留学をはじめ多くの人と接し交流する中で、広い視野を身に付けるとともに、先入観を持たず人と接すること、柔軟な姿勢で向き合うことなどを学びました。そして積み上げてきたものと大学で得たもの、両方があったからこそ、日本人としての今の自分があると思っています。後輩の皆さんも、是非いろいろな人と触れ合い、視野を広げてください。法政大学は、それができる場所なのですから。

(初出:広報誌『法政』2014年度11月号)