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「アースデイ東京」実行委員会事務局長 中島悠さん

2009年03月20日

プロフィール

「アースデイ東京」実行委員会事務局長  中島 悠(なかじま・ゆう)さん

1980年神奈川県生まれ。
1999年法政大学国際文化学部国際文化学科に1期生として入学し、鈴木晶教授のゼミに所属。
2003年に卒業し、イベント会社に就職。
2005年アースデイ東京実行委員会の事務局スタッフを経て、翌2006年事務局長に就任、現在に至る。
2006年、日本イベント大賞の準大賞を受賞。市民参加型のイベント運営で大きな評価を得る。

環境や食、エネルギーなどの社会問題を考えるきっかけづくりになるイベント運営に魅力を感じます

「アースデイ東京」実行委員会事務局長 中島 悠さん

「アースデイ東京」実行委員会事務局長 中島 悠さん

「この日1日を、地球のことを考える日にしよう」との趣旨のもと、代々木公園で毎年開催される「アースデイ東京」には、12万5千人もの人たちが集まります。その実行委員会事務局長を務める中島悠さんは、環境意識の向上を訴えるために、環境負荷の大きいイベントに頼るという逆説的な命題を持ち前の実行力と運営力で見事に解決し国内最大規模の環境イベントにまで育てています。今後も、社会問題を広く訴えるようなイベントの企画や運営に意欲を燃やしています。

環境を考える活動をアピールする場を提供

――環境意識を高める目的であっても、イベントを開催すればエネルギーを余分に消費します。中島さんは、会場の電力を100%自然エネルギーで賄うなど、アースデイの目的に合致した運営を心がけています。

アースデイは、1970年にアメリカで始まった環境ムーブメントで、日本には1990年に伝わっています。「地球のことを考えて行動しよう」を合言葉に、誰もが自由にその人なりの方法で地球環境を守る意思表明を行い、アクションを起こそうという国際連帯行動です。ですから代表も規則もありません。

東京では毎年4月下旬、代々木公園で、「アースデイ東京」というイベントを開催しています。「エネルギー」「食」「農」の3つの分野において、環境に配慮した活動を行っている個人や団体に、その成果を報告したり主張をアピールする場として提供し、参加者の環境意識を高めてもらおうという狙いがあります。

そのため、会場で使う電力は使用済み天ぷら油をリサイクルした燃料を使った発電機や、ソーラーパネルを設置するなど、100%自然エネルギーで賄うことにしました。また、参加者に会場までの交通手段のアンケートをとり、そこで消費したエネルギーをCo2に換算して、植林でカーボンオフセットを行うなど、完全自然エネルギー型の環境イベントにすべく努力しています。

また、会場内の飲食ブースに供給するための米作りを行ったり、一過性のイベントで終わらせないために、地産地消や“旬”をテーマにしたウェブサイトを立ち上げて日常的にアースデイの精神に触れられるようにしたり、さまざまな試みを行っています。

イベント好きな性格が環境・社会問題と出会った

――中島さんは、もともとイベントが大好きで、中学・高校・大学と学園祭の実行委員も務めてきました。そうした活動が現在につながっているようです。

学園祭も含めて、あらゆるイベントに、ゴミ、トイレ、食事の問題が大きく関わってきます。とくにゴミに関しては、一般に小さなゴミ箱が目立たない場所に設置されていることが多いのですが、いったんあふれ出すと収拾がつかなくなります。そこで発想を転換し、大きなゴミ箱を目立つ場所に設置して、来場者にきちんと分別してもらう形を考えました。そのとき大きなゴミ箱を貸してくれたのが国際青年環境NGOアシードジャパンで、それをきっかけに環境への意識が高まっていきました。

その後も京都会議に関わって、高校に環境家計簿を導入するなどの活動を行いましたが、しだいにイベントと環境問題・社会問題が自分の中で結びつくようになり、イベントを通して社会問題を訴えていく活動にのめり込んでいくことになります。

大学でもボランティアとしてアシードジャパンの活動を続けていました。しかし、ボランティア活動を行うためにアルバイトをすると、活動に費やす時間が少なくなるというジレンマがありました。それを解決するには、ボランティア活動にも一定の報酬が得られる仕組みを作ることが必要です。そこで、仲間たちとゴミ分別やリサイクルを行う活動を事業体に成長させ、野外音楽祭などを中心に活動を行っていました。

卒業後は、いったんはイベント会社に就職して社会人を経験しました。しかし、どうしても環境や社会問題を訴えるイベント作りに関わりたい思いが強く、在学中にアースデイの実行委員を務めたこともあって、改めてアースデイ実行委員会事務局に就職(?)することにしたのです。

イベント運営を通して人づくりに貢献できる喜び

――事務局長は、複雑で責任の重い仕事の多い職務ですが、毎年続けているうちに、人が育ってきていることがうれしいといいます。

ボランティア活動とはいえ、これだけの規模のイベント運営には、お金がかかります。少ない資金で運営する方法はいくらでもありますが、やはり社会問題を訴えるイベントを行う以上は、その効果を高めなくてはなりません。年間予算の約半分は企業協賛に頼っていますが、経済状況もあって、企業も厳しいのが現状です。ですから事務局長の仕事としては、資金調達がいちばん大変です。

もっとも、ある年にボランティアで参加してくれた人が、次の年に出展団体として参加してくれたり、ボランティアリーダーになってくれたりして、積極的に継続参加してくれるケースも少なくありません。またイベント参加後に企業に就職して、環境担当の部署に配属される人もいます。こういう人たちが将来の持続可能な社会の礎になっていくべきですし、そうした人たちの成長に貢献できていることは大きな喜びです。

現在では、事務局長としての仕事以外にも、さまざまな社会的イベントや講演など、活動の幅が広がりつつあります。今後は人材育成なども視野に入れながら、さらに活動を充実させていきたいと思います。

(雑誌「法政」2009年3月号より)