法政大学について

2005年度3月号 雑誌「法政」

海外だよりVol.65…ニュージーランドだより(2)オークランド編―海外生活で「百聞は一見に如かず」を実感― 堀内 行蔵(人間環境学部教授)

ニュージーランド・アジア研究所
2005年度の在外研究後半は、スウェーデンからニュージーランドに移りました。現在、オークランド大学のニュージーランド・アジア研究所(NZAI)に滞在しています。ニュージーランドは、世界中で最も自然環境に恵まれている国の1つであり、こちらに来たのはそれを実感したいと思ったからです。NZAIは、マレーシアのマハティール首相の肝いりで設立された研究所です。政治学者のB・グスタフソン先生が所長をされ、アジア地域の政治、歴史、経済、文化などについて総合的に研究しています。
研究員はニュージーランド人の他、中国や韓国や日本、東南アジアなどの出身者で構成されており、オークランド大学と兼務している人もいます。

オークランドの生活が落ち着いた頃を見計らって、NZAIでセミナーを行いました。私は、日本経済と企業の環境経営をテーマに話をしました。オークランド大学や近くの大学からもアジア研究の専門家が集まり、経済問題だけでなく政治問題にも議論が広がり、活発な質疑になりました。
また、東南アジアに進出した日本企業が現地で深刻な環境問題を引き起こしているという厳しい指摘がありました。経済成長が著しい中国については、日本の経験からどのように見たらいいかという点に関心が集まり、今、中国とインドが注目されています。アジアの中の日本という視点で考えたことがなかったので、このセミナーは貴重な経験でした。NZAIは活発にセミナーを開催していて、国会議員や大学教授を呼び、APECやASEANやWTOなどをテーマに突っ込んで議論しています。

オークランド大学には法政と同じぐらいの学生がいます。キャンパスは街の真ん中にありますが、低層の建物が多く、大きな木が残っていて、落ち着いた環境になっています。大学にはアジアからの留学生が多くいますが、特に経営や工学分野で多いとのことです。
私は研究所の近くの長期滞在ができるアパート兼ホテルに滞在しています。このアパートはNZAIの紹介で入ったのですが、こちらはこのようなタイプの宿泊設備が整っているので便利です。

アジア的なまち
オークランドは面白い都市です。かつて多くの火山があったため、まち全体が起伏に富んでいます。坂が多く、歩くと結構いい運動になります。まちのメインストリートとなっているクイーンズ通りには、日本、中国、韓国、インドなどさまざまなエスニック料理店が並んでいます。街を行き交う人もアジア人が多く、コスモポリタンな雰囲気です。
驚いたのは、九州から修学旅行に来ている高校生に出会ったことです。黒い学生服姿で目立っていました。オークランドの中心地区を散歩している限り、あまり外国にいるという緊張感はありません。

一方、オークランドは人口が100万人を超す大都会であり、市街地は高層ビルの建築ラッシュです。たぶん、今は不動産バブルの状態になっているのでしょう。しかし、市の中心からちょっと離れると、海は青く澄んでいて海水浴ができます。また、市街地からバスで1時間弱のところに熱帯雨林があり、エコツアーを経験しました。ここは南国で日差しがきつく、オゾン層の破壊を肌で感じます。郊外に出ると牧場ばかりで、牛や馬や羊がのんびりとしています。

地球環境への負荷
今回の在外研究で滞在したスウェーデン、ニュージーランドと日本を比較すると、どの国が一番環境に優しいでしょうか?
環境NGOのWWF(世界自然保護基金)によると、食料生産のための農地や二酸化炭素吸収のための森林を計算すると、国民1人あたりで見て、必要となる土地面積は日本が一番少ないという結果になっています。つまり、日本が一番環境に優しいのです。
これに対して、スウェーデンやニュージーランドは、人口が少なく、自然環境に恵まれています。このことを頭に入れて、両国のライフスタイルを見ていると、いろいろと面白い事実がわかります。海外で生活し「百聞は一見に如かず」を実感しています。

 

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