終戦から72年

2017年08月15日

本日8月15日は、終戦から72年目の終戦記念日です。

本年2017年1月27日、法政大学は大学憲章1にのっとり、「真理の探究に努め、国際平和と持続可能な地球社会の構築に寄与する活動を行うものとし、軍事研究や人権抑圧等人類の福祉に反する活動は、これを行わない」という指針を発表しました2。その際、「戦争を目的とした武器等の研究・開発は、本学が使命とする持続可能な地球社会の構築の対極にあり、これに関与するのは、本学の存立基盤をゆるがすことになります」という総長コメントも付しました。

この指針が本学のどのような歴史と関わっているかを明らかにし、大学として二度と学生を戦場に送り出さないことを誓うために、終戦記念日のメッセージをここに送ります。

焼夷弾による攻撃を受けて校舎を消失してから72年、教員、職員、保護者、卒業生、在学生たちは手をたずさえて、焼け跡から新しい法政大学を創ってきました。その過程を思うと、大学は常に社会とともにあり、世界に向き合い、学びの場を共に創っていくコミュニティであることを改めて実感します。

しかし大学は戦争の単なる被害者ではありませんでした。終戦2年前の1943年10月、文科系の学生に対して徴兵猶予が撤廃されました。いわゆる学徒出陣です。現在オリンピックのために建築が進んでいる新国立競技場の地にあった神宮外苑競技場において、首相、文部大臣のみならず大学の総長学長たちが、自らの大学の学生約2万5千人を戦場に送り出しました。そして終戦までのあいだにさらに多くの学徒兵が戦地に赴きました。

本学学生も、最新の調査報告3によれば3395人が戦地に赴きました。学生を前に、当時の総長は「私が君らに期待して止まぬものそれは敵大学生に負けぬ日本の大学生としての働きである…残るわれらもまたペンを剣にして戦ふ、お互に日本のために死なうではないか」と鼓舞したといいます。このことを、終戦の日のたびに思い出さねばなりません。

一方で、学徒出陣と向き合う姿勢も、法政大学は積み上げてきました。1990年、自ら出陣学徒であった阿利莫二総長は、「大学はこれらの人達を、当時歓呼の声で送りました。時の力に抗し難かった事とはいえ、痛恨の極みであります」と卒業式で述べ、学徒出陣で命を落とした学生の遺族に、渡せなかった卒業証書を渡しました。そして1993年には、学徒出陣50周年にあたり、「このような悲劇を重ねない」ための共同声明の発表を、全国私大の学長総長に働きかけ、272校がこれに応えました。また2012年度からは、学徒出陣に関する本学独自の調査(法政大学と出陣学徒)を開始し、2013年12月のシンポジウムの場で、増田壽男総長は「平和への誓い」を宣言しました。4

本学が使命に掲げる「持続可能な地球社会の構築」とは、平和の構築に他なりません。再び学生が学業の機会を奪われ戦場に赴くことのないよう、本学は常に社会と向き合い、戦争への歩みに抗する知を創出していくことを、終戦の日の決意とします。

法政大学総長 田中優子

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