5月

◆5月18日(金)

◆5月18日(金)

学校長会議を開催した。

東京ビックサイトで行われている「教育ITソリューションEXPO」で基調講演をおこなった。主催者の要望に従って「法政大学が志願者数を伸ばした理由~今、大学に必要な改革力と発信力~」という題名にしたが、ちょっと恥ずかしい。志願者増を狙って改革をしているわけではなく、課題を解決する必要があって改革を進めているからである。しかし講演では、そこのところをしっかりお伝えできたと思う。

編集工学研究所主催の「本茶會」に、途中から出席。江戸時代の茶人で作事奉行であった小堀遠州という人がいる。彼の出現で、茶の湯は建築、造園とも密接な関係をもち、海外の茶陶の積極的な導入をおこなって、明るい開放的な茶の湯となった。その流派は現在、13代小堀宗実氏の時代になっている。その小堀宗実氏と松岡正剛氏が、茶會と本會を交叉させながらおこなう、という全く新しい企画である。異なる分野を編集することで、「読む」という行為を、人間が思わぬ場でおこなっていることがわかる。茶席にいるとき自分が何をしているのかを、初めて自覚できた。その時間のなかで、環境、茶道具、茶道具類のあらゆる景色、内の音、外の音、香り、味、花、花器、掛け軸の書の文字と意味、それらに集中しているのだが、同時に私は、それらの「歴史」を読んでいる。この日は江戸時代に使っていた高麗茶碗を拝見した。茶碗には使われた歴史が凝縮している。他の道具にも由来と転用があり、それぞれが多様な背景をもちながら、今ここで出会っていることを、小堀宗実氏の言葉と行為で生々しく実感する。

「本會」で松岡正剛氏は岡倉天心『茶の本』についての自分自身の読み方を述べた。茶會だから茶の本なのではない。むしろ岡倉天心の日本論のすごさを語ったのだ。その内容は「千夜千冊 第75夜」で読める。冒頭の要約にこうある。「西洋人は、日本が平和のおだやかな技芸に耽っていたとき、日本を野蛮国とみなしていたものである。だが、日本が満州の戦場で大殺戮を犯しはじめて以来、文明国とよんでいる」――やがて日本人自身が西洋人のその価値観をもつようになって、今に至る。読書とは単なる教養なのではなく、読む者に「突きつけられる」課題だ。

ちなみに『茶の本』は英語で書かれて刊行された本で、天心自身による日本語オリジナルの本は存在しない。日本語訳が出ている。グローバリゼーションを勝ち抜いてきた日本人にではなく、悩み抜いてきた日本人に、読書で出会ったほうがよい。
「日本学」「江戸学」はむしろ、大学の外の思想家や芸術家によって、実験的な企画や体験とともに開拓されてきた。そこから学ばねばならないと、ずっと思っている。

◆5月17日(木)

朝から午後まで文科省で仕事。
その後、学外の企業の役員会に出席。

◆5月16日(水)

常務理事会、理事会、常務理事会懇談会を開催した。

午後、総長メッセージを発表した。
裁量労働制に関するデータの間違いを指摘したキャリアデザイン学部の上西充子先生が、11日に記者会見をおこなった。国会議員がフェイスブックに掲載した文章について、「どう喝と受け止めざるを得ず、学問の自由や言論の自由を侵害する」という会見であった。いよいよ国会で働き方改革関連法案の議論が本格化する。そういうタイミングでのことである。

また法学部の山口二郎教授は、前任校と本学で科学研究費に採択されていること自体を非難されている。正当なプロセスでおこなわれている研究と、研究費採択に至る文科省所管・日本学術振興会の決定を誹謗中傷することは、研究者を萎縮させ、日本の学術への侮蔑となるのではないだろうか。誰もが口をつぐんでしまえば、かつてのように多方面への弾圧がおこなわれ、社会の批判力が失われ、なだれ込むようにたったひとつの道に日本は向かうことになるだろう。それを憂慮して声を上げるのも、大学の役割である。

前日の15日には、毎日新聞特別編集委員の岸井成格(しげただ)さんが亡くなった。TBS「サンデーモーニング」で何度もご一緒していた。岸井さんは言論の自由と公正さにもっとも敏感なジャーナリストの一人だった。「サンデーモーニング」では分単位秒単位での発言が求められるのだが、言うべきことを言ってぴったり収めた。見習おうと思ったが、いまだにできない。昨年12月には、法学部の故岸井大太郎教授の「偲ぶ会」に、叔父上として、病の身でわざわざ来て下さった。

◆5月15日(火)

法政大学も所属している「三鷹ネットワーク大学」という、社会人学習の組織の方が、事業報告に来られた。
その後、オリンピック・パラリンピック2020有識者懇談会の、進捗状況説明に来られた。
日本私立大学連盟発行の情報誌『大学時報』で、このたびまとめた「私立大学の将来像」を取り上げることになり、鎌田薫会長(早稲田大学総長)、村田治副会長(関西学院大学学長)とともに座談会をおこなった。司会役は、松岡敬常務理事(同志社大学学長)である。関西のキリスト教系の2つの大学と、東京の2つの大規模大学というバランスだが、それぞれの個性が際立って、興味深い座談会となった。
その後、私大連の理事会が開催されたが、村田学長は座談会終了と同時にお帰りになった。関西学院大学はアメリカン・フットボール問題で10日に日大に抗議文を送っており、後で知ったのだが、この日、日大からの回答文書が関学に届いたのである。

◆5月11日(金)

様々な打ち合わせ。HOSEI2030運営会議などをおこなった。

毎日新聞の依頼で、東宝の時代劇の試写へ。小松重男原作の『蚤とり侍』を鶴橋康夫監督が映画化したものである。3月9日に本学で「脚本アーカイブズ・シンポジウム」を開催し、「時代劇・歴史ドラマにみる “江戸のくらしと文化”」というシンポジウムをおこなったが、その時に実感したのが、時代劇や時代ドラマの大きな変化だ。アクションから生活実感に、テーマはさまがわりしている。喜劇が多くなったのも特徴だ。しかし江戸時代の、いわば「男娼」をテーマにしたような『蚤とり侍』を映画化できたのには驚いた。実際、江戸時代では、武士が芸人になることも男娼になることもあり得たのだ。しかも江戸時代の春画を実写動画化したシーンも多々あり、その創り込みかたが、春画の品格とユーモアをきちんと捉えている。春画は美しくあるべきなのだ。

◆5月10日(木)

◆5月10日(木)

ラジオ日本で「こんにちは!鶴蒔靖夫です」に出演。この番組は2度目だ。大学について、短いながら要点をしっかり聞いて下さるので、私も要点を絞って話すことができる。放送は17日。
大学付属校協議会、学部長などを対象とした中期経営計画の懇談会、学部長会議、「大括り化」についての学部長懇談会と続く。この日の会議時間の合計は、学部長たちで6時間、大学院の会議に出ていた方々は、9時間に及んだ。連休後なので仕方ない面もありましたが、皆様お疲れ様。

◆5月9日(水)

常務理事会、役員ミーティングを開催した。
リクルートの『カレッジ・マネジメント』のインタビューがあった。長期ビジョンとブランディングについての、かなり詳細なインタビューで、どのような記事にしてくださるか、たいへん楽しみだ。