6月

◆6月18日(日)

土日の催し物や出張が多く、TBS「サンデーモーニング」への出演頻度は現在、2か月に1回程度になっている。この日はテロ等準備罪の成立と、加計学園問題が筆頭の話題だった。成立したテロ等準備罪はこれからどう運用されていくのだろうか?公安をはじめとする警察官たちは、まじめなかたたちほど懸命に、この法律に沿って捜査を進めていかれるだろう。犯罪が起こる前に阻止するための懸命な捜査とはいかなるものか?市民たる者、想像する必要がある。それがテロ等準備罪の「問題」なのである。犯罪捜査の国際連携が、確かにこの法案で可能になった。しかしそれは、世界中の市民が同じ問題に直面している、ということでもある。

加計学園については、3つの問題点を挙げた。ひとつは、この学校法人の利害関係者が政府内に多すぎることだ。それが「たまたま」であったのなら、「関係者がいるけれども判断は公正におこなわれている」ことを立証し説明しなければならないが、それはされていない。第二は、大学の研究と教育は権力から自立していなければならないが、学校法人が政治に利用されているように見える点だ。これは天下り問題にも関係する。第三は、大学の誘致だけで地方創生はできるのか?という疑問である。すでに今治市は市有地の無償譲渡等の多大の補助を始めている。近年、定員未充足の大学の公立化が続いているように、大学の行方に市は巻き込まれ続けるだろう。そして学生は、この地に仕事がなければ外に出てゆく。地方創生はどうあるべきか? 

「風をよむ」では内部告発がテーマとなった。官庁、内閣、政党、企業、学校など、権力が固定化する可能性がある組織では、批判的言論の自由が必須である。「公益通報者保護法」という法律はあるが、それでも企業による告発者への不当な待遇があるので、保護法としても弱いのだろう。保護が厳正におこなわれているか、訴えた課題の是正がおこなわれたかを監視、指導する第三者委員会の存在は欠かせない。アメリカにはそれがあるようだ。民主主義の基盤には、政府が市民を知る仕組みではなく、市民が政府の言動を熟知する仕組みが必要なのだ。

◆6月16日(金)

募金動画撮影がおこなわれた。保護者、卒業生の皆様にご寄付を呼びかけるDVDの撮影である。大学は教育という社会的使命のために存在し、利益獲得や資本蓄積を目的としない。建物を含む環境整備や奨学金は、助成金や寄付でまかなわれることが望ましい。そうすれば学生の納付金を教育に集中できるからだ。日本の寄付文化の成熟が欲しい。

◆6月15日(木)

学部の自己点検懇談会が開催された。今回は「ディプロマ・ポリシーの実現に向けた取り組み----カリキュラム構築の観点から」というテーマで、15学部とリベラルアーツセンターより、それぞれのディプロマ・ポリシーと、それに対応したカリキュラムの理念あるいは実際の組み立てが、学部長の考えとともに語られた。ディプロマ・ポリシーとは、卒業認定、学位授与の方針のことで、学生を主語とし、「〜ができる」「~が身についている」「〜のちからを有する」学生の卒業を認定し、学位を授与する、と表現される。教える側の視点ではなく、学生がいかなる能力をつけたかを基準に、卒業を認める、という考え方なのだ。今後はその学修成果をさらに見えるようにして、達成度の評価も求められる。各学部は、専門の学科については達成度を確認することができるが、幅広い知識、柔軟な思考力、創造性、自主性、人間性、倫理観、責任感なども 重要な方針としている。これらの達成をどう測るか? 難しい課題だ。また、他の大学とは異なる法政ならではの「実践知教育」も、今後は考えていくことになる、実習、討論、卒論などによって身につける文章力、プレゼンテーション能力、議論する力、課題解決能力などの実践知の達成も、どのように測るか? 真剣に考えなくてはならない。毎回、私にとって実り多い一日である。

◆6月9日(金)

東京23区の大学の定員増に規制をかける方針が、「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に盛り込まれた。9日に閣議決定し、夏から秋にかけて詳細が決まっていく。かつて多摩キャンパスの建設は、都心における大学の新設増設を制限した「工場等制限法」のもとでおこなわれた。法律の規制を受けながら、法政大学は、教育環境を少しでも高め、時代が必要とする新しい学部を作るなど、さまざまな工夫を重ねてきたのだ。今回この新しい規制がしかれても、時代に即応した高い質の教育を確保するために、方法を考えていきたい。

◆6月8日(木)

◆6月8日(木)

東京新聞に「学長さんとキャンパス散歩」という企画がある。今日はその「散歩」を、小金井キャンパスでおこなった。多くの女性たちが、法政大学の理工系の学部や大学院で学んでいる。ぜひ法政大学の理系の女性たちを紹介したかったのである。

情報科学研究科情報科学専攻の高野楓子さんは、人間の視覚と同様の映像を360°展開できるヘッドマウントディスプレイを研究している。同じ専攻の松本依里紗さんは、複数の深度カメラを用いたリアルタイム3Dスキャニングを研究している。理工学部機械工学科航空操縦学専修の山本春菜さんと眞鍋理子さんは、プロのパイロットを目指している。この専修では100人が学んでいるが、そのうち12人が女性だという。

理工学研究科生命機能学専攻の萩原悠理さんは、植物に寄生して病気を起こす細菌の一種ファイトプラズマを遺伝子レベルで研究している。同じ専攻の利根川千枝さんは、ワサビ葉につくカビ菌の病気を再検証している。やはり同じ専攻の三宅裕可里さんは、ゲノム編集技術などを用い、多様な環境変化に応じて生存する細菌のゲノム発現情報伝達ネットワークの全体像を明らかにする研究をしている。理工学研究科応用化学専攻の福本啓さんは蓮の葉のような撥水効果の高いコーティング材料の開発を行っている。フッ素とシリコーンを組み合わせることで,撥水効果に加え,付着した水滴が簡単に取り除ける性質の付与を目指しているのだ。生命科学部環境応用化学科の青山桃子さんは、カーボンナノチューブを用いて軽量でフレキシブルな高効率太陽電池の開発を行うための薄膜作製および電荷制御に関する基礎研究を行っている。そのほかにも、多くの女性たちが小金井で学ぶ。卒業修了後は企業に入り、あるいは研究を続ける。

私はまずGBC(ガラス箱オフィスアワーセンター)で話を聞いた。この天井の高いガラス張りの部屋で、学生たちが同じ専門の上級生や教員に相談をしながら勉強を進めている。このセンターは、学生が自ら運営している。法政大学は、校歌も学生たちが自らお金を集めて佐藤春夫と近衛秀麿に作詞作曲を依頼しに行き、作ってもらった。今も各キャンパスで学生がピア・ネットを作り、多くの組織を運営している。学生の自主的な活動は、法政大学の伝統であり大きな特色なのだ。

航空操縦のフライトシミュレーターを操縦する様子を見せていただいた。ここで大手航空会社が入社試験をおこなっているほど、優れたシミュレーターである。航空操縦学は法政大学の歴史に深いかかわりがある。1929年に法政大学には航空部ができた。部長は文学者の内田百閒である。1931年、校歌ができた直後、この航空部の学生が、校歌の言葉から「青年日本号」と名付けた飛行機に乗ってローマへ飛び立った。大学生として初めて、プロペラ機での欧州飛行に成功したのである。まさにフロントランナーとしての法政大学だ。さらに1944年、法政大学航空工業専門学校が設立された。これが工学部の前身であった。

この後、生命科学部の温室を拝見した。植物の病気を研究するために、多種多様な植物を育てている。世界人口の増加と食物不足が予想されているが、植物の病気を回避することは、食物増産の鍵となる。法政大学のビジョンであり憲章にも謳っている「持続可能な地球社会の構築」の先頭を走っているのだ。マイクロナノ・テクノロジーセンターで電子スピン共鳴装置も見せていただいた。この研究もまた、持続可能社会を構築する研究である。
それぞれが大学の理念に沿って進んでいる。女性が半分を占めることで、女性たちによる科学イノベーションが起こるに違いない。

◆6月6日(火)

◆6月6日(火)

夕張市の鈴木直道市長と法学部とのあいだに協定が締結され、調印式がおこなわれた。大学はさまざまな地方でフィールドワークを展開しているが、夕張市はそのなかでも深い関わりを続けてきた。私は再生に取り組む夕張市と夕張市長を、これからの日本の課題に先んじて向き合っているフロントランナーと考えている。新しいことに挑戦している自治体との連携は、これからもすすめていきたい。

 

◆6月8日

夜におこなわれた「法政大学全国市長会」の懇親会で、鈴木市長のエネルギー政策などについてお話を伺ったが、まさに「課題を希望に変える」という姿勢が一貫している。今後も注目していきたい。市長会はいつも楽しみだ。それぞれの市長が地域の素晴らしさを短い言葉で活き活きと語る。見習いたい。

◆6月3日(土)

◆6月3日(土)

後援会新旧役員懇親会が開催された。後援会の役員はこの時期に交代になる。とりわけ会長は、本業のかたわらあらゆる催し物に出席するので、過酷な仕事である。1年交代とは言え、ほんとうにありがとうございました。お疲れ様でした。

◆6月2日(金)

イギリスの経済紙「フィナンシャル・タイムズ」の取材があった。防衛装備庁の軍事費について、という申し入れだったが、おめにかかると、本学について強い関心をお持ちで、ありとあらゆることをお聞きになった。「おもしろい!」を連発なさっていたが、どういう記事になるのか?