2015年度

12月

2015年度

12月26日(土)

多摩キャンパスのグラウンドで、理事たちと一緒に、箱根駅伝をひかえた陸上部の応援をしました。大手町や箱根では言葉をかけることも会うこともできないと思いますので、直接激励したかったのです。どうかけがのないように、生涯の記憶に残る二度と無い体験で、思い切り力を発揮して下さい。

12月25日(金)

「学生の声コンクール」「デジタル・コンテンツコンテスト」「学生が選ぶベストティーチャー賞」の授賞式・祝賀会が開催され、賞状をみなさんにお渡ししました。「学生の声コンクール」「デジタル・コンテンツコンテスト」は両方とも求められている作品が短いので、気軽に応募でき、しかも才能が発揮できます。「思考力・判断力・表現力」が求められるようになった大学で、課外活動とはいえ、まさにその力が磨かれる賞ですので、ぜひ多くの方が応募して下さい。

「学生が選ぶベストティーチャー賞」は、今回も実行委員の学生たちが良い仕事をしてくれました。昨年は「厳しい先生」が多く選ばれました。今年は、「学生たちの主体的な発言や関わりを引き出してくれる先生」が選ばれたように思います。学生の思考力と主体性を問われる今日にふさわしい先生方です。

これらの賞をより良くしていくには、もっと多くの学生の参加が必要です。「知らなかった」という声がよく聞かれます。学部長会議で、学部長にはチラシを配布しています。ぜひ各教員に配布し、先生方は職員と協力して授業で配布して下さい。

HOSEI ONLINEの対談をおこないました。今回は経済学部現代ビジネス学科の杉浦美樹教授です。広報誌「HOSEI」2015年10月号に掲載された「古着からみえる世界」を読んで、ぜひ対談したいと思いました。杉浦教授の専門分野は近世の流通消費史です。私は文化史の側面からずっと布を追ってきました。「糸・布・衣の循環史研究会」を主宰なさっていることも、たいへん興味深く、繊維、衣服と表現せず、糸、布と表現するその価値観や、産業のみではなく「循環」としてみる視点も、たいへん近いものを感じたのです。さらに、「糸・布・衣の循環史研究会」のサイトを見てもわかるように、この研究および運動はグローバルにおこなわれています。海外で育ち、アムステルダム大学でも学ばれた先生は、世界史の見方も視野が広く、これからのご研究にも期待しています。

12月22日(金)

3キャンパスを遠隔連携して、教職員を対象にしたブランディング説明会をおこないました。ブランディング・ワード案と法政大学憲章案を全学にお示しし、それらの意味と意義、そして創り上げるまでの過程を説明しました。教職員がそれぞれの部局でどのように使えるか、シンポジウムをおこなって何人かに話していただきました。大学のポリシーに組み込むことや、関連科目を設定すること、校歌との関連を知ってもらうこと、正課外活動での活用、企業への伝え方など、積極的で具体的な意見が次々と出て、その智恵の豊かさに驚きました。ようやく、皆で取り組む柱ができました。一方で、受験生のみなさんへの伝え方を、もっと考えなければなりません。今後とも一緒にブランドと憲章を育てていって下さい。

12月19日(土)

大学行政管理学会という組織があります。大学職員たちの学会です。そこで講演とシンポジウムに出席しました。私の役割は、法政大学におけるグローバル教育を紹介することでしたが、話しているうちに、学部独自のSAや研修が、学部の特徴に合わせて多様に設定されていることや、1970年代から今を見越して国際交流センターを創り留学を奨励してきたことなど、際だった特徴がいくつもあることに、改めて驚きました。これも、教職員の「進取の気象」と熱意です。スーパーグローバル大学創成支援の申請を終え面接まで進んだときも、「採択されないはずがない」と直感しましたが、それも充分に根拠のあることだったのです。

また、大学のグローバル化とは目的ではなく、教育の質を高め、すでにグローバル化した世界で働くことになる学生の能力を鍛えていく手段だという話もしました。思考力や主体性を育てていくためには、グローバル化は欠かせない要素ですが、形にとらわれると本来の目的である、学生の思考力、集中力、対話力(世界のどこでも生き抜く能力)を育てるという目的から離れます。あくまで学生を中心に考えねばなりません。講演後の質問で「法政大学をあまり知らなかったが、すごい大学ですね」とコメントして下さったかたもおられます。このように大学を皆さんに知っていただくことがいかに大切か、改めて思いました。シンポジウムでは少人数教育やモチベーションの開発など、さまざまなことが議論されました。

12月18日(金)

沖縄文化研究所では、昨年度まで所長を務めた法学部の屋嘉宗彦教授の最終講義の後、「屋嘉先生に感謝する会」を開催しました。私は外の会議に出席していましたが、早めに退席してかけつけました。屋嘉所長は沖縄をめぐる映画祭や、外の人たちも出席できる連続講座、沖縄の課題をテーマにしたシンポジウムなどを通して、研究所を外に向かって開く努力をして下さいました。この機会に感謝し、沖縄文化研究所が末永く法政大学の特徴であり誇りであるように、方向づけていきたいと思いました。

12月17日(木)

NHK Eテレ「新日曜美術館」のビデオ収録が総長室でおこなわれました。テーマは、2月まで国立歴史民俗博物館で開催されている『夷酋列像』展です。江戸時代に蠣崎波郷(かきざき・はきょう)によって描かれた12枚のアイヌの酋長たちの絵で、1980年代にフランスのブザンソンの美術館で発見されたものです。

この番組は何度も出ていますが、出演はスタジオか展覧会場でした。今回もスタジオか国立歴史民俗博物館での収録を要請されましたが、どちらの日程もふさがっていて、残念ながらコメントを挿入するだけになりました。江戸時代のグローバリゼーションの現れのひとつである、ロシア政策につながる北方政策とアイヌの関係は、日本を考える上で琉球とともに欠かせない視点です。本学の国際日本学研究所も、アイヌを含めた北方研究をやっており、「北方史総合研究文献目録データベース」が構築されています。私も論文を書いています。(笠間書院『日本人は日本をどうみてきたか: 江戸から見る自意識の変遷』所収)

昨年に続き、英字新聞HOSEI HERALDの編集にたずさわっている学生からのインタビューを受けました。インタビュー企画、実施、英語での記事執筆など、良い経験になっていると思います。今年の仕上がりも楽しみです。

来年竣工する本学市ケ谷キャンパスの入り口に建つ校舎に、「富士見ゲート」という名前をつけて下さった卒業生武田亜耶さん(2006年法学部卒)に、賞状をお渡ししました。卒業後もこのように、本学に関心をもち、応募して下さったことに感謝します。

12月16日(水)

長期ビジョン「HOSEI2030」骨子案の説明を、付属校を含めた全キャンパスを遠隔でつないでおこないました。中間報告の後、2回の報告と意見聴取をおこない、3月末までに策定します。

12月15日(火)

卒業生の福田様からのご寄付により、この日、新たな冠奨学金「福田明安奨学金」が創設されました。家計急変型の奨学金で、家計支持者の状況の変更や災害などで困難に陥った学生を支援します。2016年4月1日より開始します。学生センターに問い合わせて下さい。
このような、卒業生による奨学金や企業の冠奨学金が増えてきました。お名前をつけた奨学金は、おひとりおひとりの、学生への思いが伝わって来て、大学全体がとても励まされます。福田様、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

12月12日(土)

催し物が多い日で、3つかけもちでした。ひとつは、「国連創設70周年記念シンポジウム 私たちにとって国連とは」です。国連広報センター所長・根本かおるさんの講演を受けて、学生たちが主体になりディスカッションを展開する、という意欲的な催し物です。私は開始前に根本さんを訪問することしかできませんでしたが、久々におめにかかって、なんと「国連と江戸時代」という話題で話がはずみ、企画をした学生たち、法学部の弓削昭子先生、国際文化学部長の栩木玲子学部長、そしてグローバル教育センターの職員たちをまじえ、控え室で座談会が始まってしまいました。

国連シンポジウムに出席できないまま駆けつけたのが、創設されたばかりの「ヨーゼフ・クライナー博士記念・法政大学国際日本学賞」の第1回授賞式でした。国際日本学研究所は、私が所属する研究所です。ヨーゼフ・クライナー先生は長らく特別教授を務められた日本学者、沖縄学者、民俗学者で、先生がいらしたおかげで研究所はヨーロッパの研究者たちと、多くの研究を共有することができました。この賞は、外国人による日本学研究に与える賞です。
第一回目は、ヴェネツィア カ・フォスカリ大学のTinello Marco(ティネッロ・マルコ)氏が受賞しました。幕末から明治初期における、琉球と日本と中国とヨーロッパの関係を複層的に捉えた研究で、今の沖縄問題を考える上でも重要な視点をもっています。この賞は必ず、法政大学を世界に知らしめる賞になります。

この授章式も懇親会に出席できないまま、プリンスホテルで開催された自主マスコミ講座の謝恩祝賀会に出かけました。毎年、4年生の内定報告とともに、下級生がさまざまな企画で会場を沸かせます。正規の授業ではありませんが、社会的にも広く知られ、法政大学が大切にすべき自主講座です。この講座も長く維持していきたいです。

12月11日(金)

ぎっしりの会議のあいまに、学生たちの「学習ステーション」によるインタビューがありました。55・58年間の思い出についてです。思い出たっぷりの私は、思わず熱が入ってしまいました。良い記録を残して下さい。

12月10日(木)

新潟市で、BSN新潟放送のテレビ収録がありました。「新春特別番組 ~新潟の魅力を世界に発信!~」という番組で、1月2日にBSNのテレビとラジオで放送されます。新潟県の泉田裕彦知事、佐渡出身で東京藝術大学学長の宮田亮平氏、そして司会は、本学卒業生で評議員でもある、新潟放送社長の竹石松次氏です。
会場は、江戸時代末期1846年創業の料亭・鍋茶屋でしたが、その中の、昭和7年(1932年)建造の応接室で収録されました。この部屋はイタリアの技師が造ったもので、材料も全てイタリアから持ち込んだものだそうです。暖炉の上には、宮田亮平先生の名作、イルカをモチーフにした彫刻「シュプリンゲン」が飾られました。宮田亮平先生は東京オリンピックエンブレム委員会の委員長で、このところ、テレビのニュースでよくお見かけします。 ちなみにスポーツ健康学部の山本浩先生も、エンブレム委員会のメンバーです。
新潟の食と文化、そして世界遺産の候補になっている佐渡も話題にした、たいへん楽しい座談会でした。その楽しさが伝わるとよいのですが。

12月6日(日)

東京六大学野球連盟結成90周年記念祝賀会がありました。東京六大学野球は長い歴史をもち、プロスポーツ界に大きな影響を与えてきた組織です。その中心に位置してきた法政大学は、今年、当番校です。当番校として春期リーグ戦の初日に私は始球式をおこないました。そしてこの式典でも、当番校として挨拶をしました。

12月5日(土)

小金井キャンパスの体育会組織、工体連創立50周年記念式典がありました。理系の学生たちにメッセージを伝える機会はあまりありません。そこで、今回はぜひ考えてほしいことを伝えました。

12月2日(水)

NHKで1月2日に放送されるお正月番組の収録がありました。『100分de名著』という番組です。ふだんは水曜日に放送していますが。これは正月スペシャル番組です。すでに2014年1月には『100分de幸福論』、2015年1月には『100分de日本人論』を放送しており、今回は『100分de平和論』です。4人の論者が平和への道筋を示す本を紹介します。私はなんと井原西鶴です。テーマのひとつが、資本主義、植民地主義など、平和の脅威となり得る仕組みについてだからです。絶望と希望のあいだを大きく揺れ動く番組になりました。

12月1日(火)

HOSEI ONLINEで、猿田彦珈琲の代表取締役、大塚朝之氏と対談しました。場所は、2月にオープンしたばかりの仙川店です。ロフトのような手作りの店の雰囲気はいかにも「自由」です。法政大学らしい自由を生き抜いている大塚さんの骨格にあるのは、哲学でした。思想と理想をもち続け、それをスタッフにもお客さんにも伝え続けることが、この店のありようでした。シンプルだけど骨がある――それはコーヒーの味にも表現されています。

この日は、栃木県にある白鴎大学の法人創立100周年・大学設立30周年記念式典でした。すでに7月に大学での式典をおこなっており、この日は対外的なおひろめです。会場はよみうり大手町ホールでした。首相からメッセージが届き、文部科学大臣、衆議院議長、私大連会長でもある慶應義塾大学塾長、早稲田大学総長、青山学院大学学長、主要な私立大学の役員が列席するなど、ずいぶん華やかな式典でした。私は副学長である北山修さんと研究者仲間でもあり友人でもあって、舞台上での対談をお引き受けしました。

北山さんの講演とそれに続く対談は、華やかで権威あふれる雰囲気とは打って変わって、「どうしたら人は自殺しないでいられるか」「自殺の根底にある潔い死という美意識は捨てよう」「上方落語のグズ、江戸落語の与太郎と粗忽者こそ、これから大切にすべき人物像」といった内容。たいへん面白い対談ができました。