2012年度 法政大学東日本大震災復興支援研究助成金採択研究課題実績報告

研究課題:エネルギー戦略シフトによる地域再生-脱原発ソフトランディングと地域自然エネルギー

研究代表者:舩橋 晴俊 教授(社会学部)
 研究実績の概要
 本研究プロジェクトは、2012年度に「脱原発ソフトランディング」と「自然エネルギーによる地域振興」の二つを焦点にして研究活動に取り組んだが、それぞれの活動内容と主要な成果は、以下のようにまとめられる。

1.脱原発ソフトランディングの検討
(1)高レベル放射性廃棄物問題についての政策提言。脱原発ソフトランディングの大きな焦点は、放射性廃棄物問題に対する責任ある対処である。研究代表者(舩橋)は、日本学術会議に設置された「高レベル放射性廃棄物問題についての検討委員会」の幹事委員として、学術会議が原子力委員会の問いかけに送付した「回答」の素案作成を担った。この回答における中心的理念は「総量管理」と「暫定保管」であるが、そこには当チームの蓄積してきた知見が反映されている(舩橋,2013,「高レベル放射性廃棄物という難問への応答-科学の自律性と公平性の確保」『世界』no.839 (2013年2月号):33-41)。

(2)『原子力総合年表』の公刊準備。今後のエネルギー政策の転換の道を探るためには、福島原発震災に至った政策過程や政策思想にどのような問題があったのか、これまでの原発事故対処にどのような問題点があったのかの検証が必要である。そのような作業の堅固な学術的基盤形成のために、本年表は日本のあらゆる原子力施設と世界の主要原子力利用国を対象とする75点の個別年表を集積するという構想で取り組まれており、約500頁の予定である。2012年度を通して、当チームが中心となって全国の研究者や本学の大学院生約40名の協力を得て、膨大な資料集積を実現してきたが、2013年中の本書の公刊を目指している。

(3)原子力施設を中心にした地域開発の効果と帰結についての解明。原子力施設の立地をコアにして地域経済と自治体財政を強化しようという指向は広範に見られてきたものであるが、福島震災は、本来あるべき地域形成という視点から、そのような発想の根本的見直しを要請するものである。原子力施設の立地について長い経験を有する諸地域の中でも、あるゆるタイプの原子力施設が集積されている青森県下北半島の歴史は教訓的である。そこで、青森県を中心対象にした調査による知見と情報をとりまとめて、『むつ小川原開発と核燃料サイクル施設問題研究資料集』(舩橋他編、東信堂)を文科省の出版助成を得て公刊した(2013年2月)。

2. 自然エネルギーによる地域振興
(1)地域自然エネルギー振興基本条例の提案
2012年度は、研究代表者(舩橋)が、東京都環境局の谷口信雄氏、JSTの堀尾正靱氏と協力しながら、全国各地に適用可能性を有する「地域自然エネルギー振興基本条例」のモデル条例の試案を作成し公表した(2012年6月6日、JST(科学技術振興機構)社会技術開発センター主催のシンポジウム「自然エネルギーは地域のもの」(東京、イイノホール)において、舩橋が「地域自然エネルギー振興基本条例の必要性とひな形案」を報告した)。

(2)自然エネルギー導入振興のための「統合事業化モデル」の定式。北海道ニセコ町、秋田県大潟村、青森県八戸市、東京都八王子、神奈川県大磯町なとでの取り組み事例の調査検討をふまえて、自然エネルギー普及の政策と運動の理論的指針となるような「統合事業化モデル」をとりまとめた。

(3)地域に根ざした自然エネルギー事業の実装化の支援。福島県では大半の市町村が「自然エネルギー事業を柱にした地域振興」を打ち出している。そのような努力を促進するべく、法政大学サステイナビリティ研究教育機構と福島大学うつくしまふくしま未来支援センターの共催で、2012年9月26日に、福島大学において「『地域のエネルギーとお金を地域と地球に活かす』フォーラム-福島の復興に資する再生可能エネルギー利用にむけて」が開催されたが、法政大学側の実質的担い手は、当チームであった。そこでの議論と人脈形成が一つの機縁となって、福島県南相馬市において自然エネルギーに取り組む地域住民の取り組みが活発化してきた。そのような経過の中で、本チームは「一般社団法人えこえね南相馬研究機構」の設立に協力するとともに、同機構が取り組んでいる「ソーラーシェアリング」プロジェクトの具体化に情報提供を通して支援を行うようになっている。

以上のように、2012年度を通して所期の研究目的は着々と達成されつつあり、今後はさらに、書籍の公刊や各種のフォーラムやシンポジウムを通して情報発信を続けていきたい。

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研究課題:復興と生活再建に向けた協働フォーラム創造 -被災地からの声持続的集プロジェクト

 研究代表者:武貞 稔彦 准教授(人間環境学部)
 研究実績の概要
  2012年度の主な活動結果は以下のとおりである。
1.被災者等の声を集積するためのウェブサイトのモバイル対応、英語化準備等を含めた充実
2.被災地の現状視察および、関係者との意見交換
3.今後の活動の方向性に関する検討

以下、各項目について説明する。
1.被災者等の声を集積するためのウェブサイトのモバイル対応、英語化準備等を含めた充実
被災者の声を集める手段として、ウェブサイト「東日本大震災 わたしたちの声」を構築し、2012年4月16日から一般公開した。ウェブデザインでは、被災地の年配の人々にも配慮した見やすさ/使いやすさを念頭におきつつ、法政大学(の研究者)の取り組みであることを前面に打ち出し、大学としてのパブリシティにも配慮した。
2012年度は当該サイトの利便性を高めるために、モバイル対応ページを作成、携帯等からの投稿/閲覧を可能とした。また、同サイトでは集積した声を、海外にも発信することを目的としており、新たに英語ページを作成、公開した。
またソーシャルメディアの代表でもあるfacebookについても公式ページを作成しており、調整が済み次第一般公開となる予定。
加えて、サイト広報と利用者への利便を図るため、利用方法の説明に重点を置いたフライヤー(参考として別添)を1000部作成、一部現地訪問等に際して配布し、広報活動に活用を図った。

2.被災地の現状視察および、関係者との意見交換
完成したサイトの広報および利便性向上のため、被災地を訪問し、被災地の現状を把握すると同時に、被災者自身、被災地支援を行う人々などから意見を聴取した。主要な訪問先は、岩手県陸前高田市(6月、11月)である。
また、被災地支援を行う団体の慰霊祭への出席に際して、現地(相馬市 2013年3月)でフライヤーの配布の協力を得た。

3.今後の活動の方向性に関する検討
ウェブサイトについては、2011年度、2012年度の2年間の研究助成によって、機能的には十分に整ったと考えられるところ、今後の方向性について現段階で検討されているものは以下のとおりである。
(1)ウェブ利用者の増加による、声の蓄積をめざす。特に今後は現地訪問による広報活動を通じて、マスメディアに採り上げられることが減りつつある現地の声を集める努力を重ねる必要がある。
(2)原発事故からの避難者については、既存の支援団体の活動とも連携しつつ、本研究プロジェクトの対象の一環として声の集積をめざす。
(3)蓄積した声の活用方法としての、「復興協同プラットフォーム」(助成金申請時のアイデア)について、今後さらに被災地自治体など関係者と関係を深めることを継続し、その実現の可能性を探る。
(4)声の集積や分析にあたっては、2012年度に購入したデータマイニングソフト、モバイルパソコンを活用し、法政大学の学部生・大学院生の研究・教育にも資する形での活用をすすめることを目指す。
(5)声の集積(ウェブサイト運営)を中長期的に実施・維持していくための仕組みづくりをすすめる。

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研究課題:仮設住宅地区における被災住民のエンパワメントによるコミュニティ形成

 研究代表者:宮城 孝 教授(現代福祉学部)
 研究実績の概要
 本研究の第2年度にあたる2012年度は、震災発生から約2年を経た被災地において、仮設住宅における被災住民の置かれた状況、また独居高齢者など社会的に弱い立場の人々の状況について把握し、分析するために、主たるフィールドである陸前高田市においては、応急仮設住宅団地の自治会長等にインタビュー調査を行うともに、他の地域も含めて社会福祉関連施設へのインタビュー調査等を行った。
具体的には、フィールドである陸前高田市において、市内・外の52の仮設住宅の団地の自治会長を対象に、仮設住宅の入居状況(元の居住地、転入・転出状況)、独居高齢者や子どもなどの状況や課題、仮設住宅自治会の活動状況、外部支援団体の関与、地域の復興、地域再生についての意見や感想などについて訪問によるインタビュー調査を行った。その結果、50の自治会長等の回答を得ることができた。さらに、特別養護老人ホームと知的障害者施設の施設長等関係者へのインタビュー調査を行った。

調査結果として、被災地の目に見えた復興の遅れがある中、仮設住宅等における被災者のストレスが増している状況が明らかになるともに、特に高齢者など情報弱者に各種の復興施策の情報が届いていない状況や、生活支援員や関連機関による支援活動が、自治会と十分に連携が取れていない状況などを把握することができた。また、自力再建などで仮設住宅を転出する住民もわずかであるが出始めていること、地域の被災状況の大きさなどの違いによる復興計画の具体化のスピードの違い、見做し仮設住宅や被災地から離れた仮設住宅団地への情報や支援不足など、被災者間の経済的格差や地域間格差が生じており、今後これらのことが仮設住宅の暮らしが長期化することにより、さらにストレスや問題を生じることが懸念される。自治会長などの役員に相当な負担がかかっているとの声も多くあり、今後役員の負担軽減の方策が重要となることが示された。

これらの状況を把握し分析した結果を、分担研究者とともに、関連学会における研究報告や学術雑誌や図書に掲載している。また、仮設住宅自治会長などに結果の概要版と報告書を送付するとともに、報告会を開催している。さらに、これらの調査結果の分析を踏まえ、学外の研究協力者等との協議を行い、陸前高田市の状況と今後の支援のあり方等について「陸前高田市の復興まちづくりに向けての提言~仮設住宅居住者の声をもとに」(別添資料)としてまとめ、市の関連部署や市議会、仮設住宅自治会長、各種マスメデイア等に送付し、被災住民への支援方策のあり方について世論形成を図った。

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研究課題:大学連携による被災地復興支援:牡鹿半島荻浜・小積浜復興再生計画等

 研究代表者:渡辺 真理 教授(デザイン工学部)
 研究実績の概要
【大学連携】法政大学渡辺・下吹越プロジェクトの特徴は法政大学の単独事業だけでなく、大学連携の大きな枠組みを持っているところにある。大学連携を保つことで、一つの大学ではできない規模のプロジェクトが実現している。ただし組織の中に埋没するのではなく、それぞれの大学が独自性を保ちつつ、プロジェクトを進めている。

【失われた街展】その一つの例が「失われた街_3.11のための模型復元プロジェクト展」である。被災した31の都市・地域を多くの大学が協働して模型製作したこの展覧会は、2012年度は兵庫県立美術館のほか神奈川県建築安全協会安協サービスセンター2Fなどで引き続き展示が行われた。

【津波被災エリアMAPが国立国会図書館に納入】津波被災エリアMAPは昨年度の研究成果物のひとつであるが、2月末に国立国会図書館から納入依頼があった。津波被災エリアMAPは法政大学建築都市再生研究所の報告書であり、ほんらいの出版物ではないが、内容の公共性が評価されたのではないかと考えられる。

【活動報告書】平成24年度の活動は活動報告書に詳述されている。大学連携プロジェクトとしてNPOアーキエイドと協働することで、石巻市牡鹿半島の荻浜・小積浜の復興支援活動は2012年度も継続的に行われた。8月末に行われた「アーキエイド・サマーキャンプ2012」に始まり、3月末に行われた小積浜お地蔵様プロジェクト意見交換会までプロジェクトの記録は活動報告書をご参照いただきたい。お地蔵様プロジェクトは津波で被災した浜のお地蔵様を学生たちがセルフビルド(自主施工)で再建するというプロジェクトである(重量物運搬などは日本財団から支援いただけることになった)が、サマーキャンプのときに地元住民から出た要望に応えたものである(施工は2013年度夏に予定。現在お地蔵様の上屋の設計などを学生たちと計画中である)。
荻浜の住まいの高所移転住宅地計画の検討作業も継続している。2013年度から造成工事が始まるが、住民たちからは、被災した低平地の利用についてもアドバイスしてほしいと依頼されている。また、石巻市と市の発注する復興公営公営住宅勉強会への出席も求められ、2012年秋には何回か出席した。公営住宅ガイドライン(案)はその勉強会用に法政大学チームが中心となってまとめられたものである。

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研究課題:カバープランツ栽培による放射能汚染地域での農業の持続可能性に関する研究

 研究代表者:佐野 俊夫 准教授(生命科学部)
 研究実績の概要
福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の国土的拡散は、土壌や陸海水を汚染し、東日本の農林水産業に大打撃を与えた。そのため農地土壌からの放射性物質の除去、および作物への吸収抑制方法という技術的な問題解決方法が求められている。そこで本研究チームは、「放射性セシウムの農作物への移行を抑止する実験」を取り組みの柱とした。

1、実験方法
栽培実験は昨年度に引き続き、福島県二本松市の圃場にて、また、新たに福島大学内畑地(福島市)を借用して行った。本実験は、放射性セシウムの農作物への移行を抑止を目的として、牧草などの非食用植物をカバープランツを植え付け、水溶性の放射性セシウムを吸収させ、枯渇した状況を一時的につくり、その後、作物を栽培することで作物への放射性物質吸収抑制を試みる農法を考えた。そのためにまずカバープランツとして放射性物質吸収量が比較的多いと言われている牧草であるイタリアンライグラスを栽培し、その後ニンジンを作付した。そして、植物への放射性物質の吸収量と作付け土壌への残存放射性物質量を測定した。また、福島大学畑地では開墾する前に生えていたキク科、イネ科の雑草を採取した。そして、植物への放射性物質の吸収量と作付け土壌への残存放射性物質量をガンマ線スペクトロメータ(昨年度の助成金にて購入)を引き続き利用して測定した。

2、実験結果
1)昨年度(2011年11月)に二本松市の畑地からに採取した土壌からは放射性セシウムが4000~5000 Bq/kg検出されたのに対し、今年度の二本松市畑地土壌(2012年12月採取)の濃度は2000~3000 Bq/kgとなっていた。またイタリアンライグラスを作付した土壌では作付しなかった土壌と比べて放射性セシウム濃度が低下する傾向にあった。
2)福島市の畑地で栽培したイタリアンライグラス(2012年11月採取)と畑地に生えていたキク科雑草(ヒメムカシヨモギ)、およびイネ科雑草(メヒシバ、いずれに2012年9月採取)の放射性物質濃度を測定したところ、それぞれ、約 380 Bq/kg、約300 Bq/kg、100 Bq/kg検出された。
3)2012年度に二本松市畑地に作付したニンジンの葉からは約25 Bq/kgのセシウムが検出されたが、ニンジン可食部の値は検出下限値(13 Bq/kg)以下であった。

3、実験考察
1)2012年調査では2011年調査に比べてセシウム濃度は減少する傾向にあった。 その理由としては半減期が約2年のセシウム134からの放射線量が1年間で約0.7倍に減ったこと、および、水溶性の放射性セシウムが降雨により畑地から流亡したことが考えられる。しかし、依然3000 Bq/kg程度の放射性セシウムが土壌中に残存していた。
2)生えていたキク科雑草、イネ科雑草、および作付したイタリアンライグラスからも100~400 Bq/kgの放射性セシウムが検出された。 土壌重量と植物体生重量とを計測したところ、単位面積当たり前者は後者の約600倍と計算され、放射性セシウムの植物体への移行係数を最大約0.1と見積もっても、土壌除染のためには単純に6000回の作付けが必要となり、植物体を用いた土壌除染には相当な労力および時間と必要と計算された。
3)その後に作付したニンジンの可食部の値は検出下限値(13 Bq/kg)以下であり、食品としての安全性(基準値100 Bq/kg)は保たれていると考える。

本研究で当初計画したイタリアンライグラスを用いた土壌除染方法は現状ではあまり現実的ではない、という結果が得られた。そこで、今後はよりセシウムの移行度が高く、また繁殖力が旺盛な植物を利用する必要がある。土壌への残存放射性セシウム量、および作付した作物への吸収放射性セシウム量を継続的に測定していくことは、福島県土壌の汚染実態のモニター、および、福島産作物の安全性確認のために必要な調査と考えられる。また、今後は放射性セシウムを作物が吸収しにくい土壌肥料条件、および、土壌に固着した不溶性セシウムを可溶化し、除去につなげるための土壌条件の検討を行い、引き続き、作物を放射能汚染から守る研究、土壌からの放射能除去を早めるための研究を行いたい。
なお、本研究成果を日本雑草学会第52回大会(2013年4月、京都大学)において発表した。

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研究課題:東日本大震災における水害文書修復保全と地方記録管理制度の改善―陸前高田市議会文書を中心に―

 研究代表者:金 慶南 教授(大原社会問題研究所/研究当時はサステイナビリティ研究教育機構に所属)
 研究実績の概要
本研究の目的は、東日本大震災によって被災した陸前高田市議会公文書の復旧作業を行うとともに、災害発生時における公文書の保全技術の開発と公文書に対する危機管理能力のあり方を再検討することである。具体的には、(1)陸前高田市議会公文書の整理・修復作業、(2)重要文書のデジタル化・アーカイブ化作業、(3)災害発生時における公文書の復旧・保全技術の導入・開発、(4)国家レベルでの公文書に対する危機管理能力を再検討するための社会的枠組づくり、の4項目である。
研究方法は、記録保存管理論的観点と行政学的観点からアプローチした。特に海水に浸水した公文書修復のための保存処理方法論と災害に対する危機管理能力を向上するための行政学的観点からみた。

<研究過程と結果>
第1に、これまで応急処理をした陸前高田市議会文書436冊(2013年3月現在)を対象に、反復的なドライクリーニング、洗浄作業を行い文書が最大限きれいに復元された。2011年度はJPF財団からの支援(998万円)と環境アーカイブズの予算で延べ22人、2012年度は法政大学東日本大震災復興支援研究費(193万円)で延べ14人が作業を行った(八王子市と法政大学ボランティアーセンターの募集協力によって、8人のボランティア参加)。技術的な支援機関は東京文書救援隊、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会、韓国の国家記録院などである。
第二に、重要文書を選別し(陸前高田市議会の要請によって『市議会議事録』など)、デジタル化することにより記録情報を確保し、二重保存体制をつくるために電子媒体を作った。
第三に、津波により冠水し、一部文書が遺失する被害を受けた陸前高田市議会記録のアーカイビング作業を行った。その方法は、復旧された文書の分類および分析を通じ、遺失文書を追跡・調査し、国会図書館、県庁、大学図書館などで、原本ではなくとも活字化された冊子などの関連資料を一部収集した。本格的なアーカイビング作業は長時間かけて行う必要がある。
第四に、復旧した文書を陸前高田市議会に返還した後、永久文書の保存政策と災害危機管理のための政策を樹立することができるよう、公文書関連法令の検討、災害危機管理の国内外主要事例などを調査、分析した。  要するに、法政大学環境アーカイブズは国内外の復旧・保全技術を調査・導入し、陸前高田市議会公文書の復旧作業を通じて436簿冊の永久文書を復旧・保全することができた。そして、陸前高田市議会やアーカイブズ関連研究会で、地方自治体の公文書に対する国家レベルでの危機管理対策の必要性について報告した。

<主要研究実績>金慶南、「歴史の記録・記憶をどう守るのか-公文書レスキュー」(長谷部俊治・舩橋晴俊『持続可能性の危機』、御茶ノ水書房、2012年)