求められる教員像及び教員組織の編成方針

大学院 各研究科

求められる教員像及び教員組織の編成方針

人文科学研究科

人文科学研究科は、哲学・日本文学・英文学・史学・地理学・心理学の6専攻と、研究科横断プログラムである国際日本学インスティテュートとからなる。人文科学研究科の教員は、研究科の教育理念への理解を共有したうえで、自らの専門領域の研究に精通し、かつそれに閉塞することなく幅広い学的関心を有することが期待される。また同時に、各専攻の教育目標およびディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーを踏まえて、学生の自己探求と自己実現、勉学への取り組みを、促進し指導することが期待されている。そのためには、学生の全人的な成長にも配慮できる高い人間性とコミュニケーション能力とが求められる。加えて、国際日本学インスティテュートにおける教育を実施するための国際性・学際性も、同インスティテュート担当教員にとっては不可欠の要素である。

人文科学研究科全体として、修士課程では基本的な研究の基礎を固め、博士後期課程ではその基礎の上に独自の研究を展開できる能力や技術を学生に身につけさせ、各々の課程の集大成として修士論文、博士論文の執筆ができるような研究指導体制を構築するための教員組織を編成している。またその際、バランスのとれたカリキュラム体系構築のもとで、教員組織が特定の専門分野や年齢層に偏ることなく構成されることが重要である。変化の激しい現代においては、上記のような教育ニーズは、固定的な専任教員体制のみでは対応しきれない可能性もある。そのため、複数教員による柔軟な協力体制、学内外の兼担・兼任教員の協力も必要となる。

教員組織の役割分担としては、研究科全体を統括する研究科長を置き、これは各専攻の専攻主任の中から互選される。また国際日本学インスティテュートには運営委員長の職を設けており、これら役職者による定期的な協議を通じて、研究科全体の教育研究に携わる体制を構築している。

国際文化研究科

国際文化研究科の教員は、研究科の理念・目的ならびにカリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシー、アドミッション・ポリシーをふまえ、教育に当たる。とりわけ、インターカルチュラルな高度職業人および研究者の育成のために必要な指導を行う研究・教育能力と熱意を有していることが求められる。

教員組織の編成としては、異文化相関関係研究、多文化共生研究、多文化情報空間研究の3つの専門領域に高い専門性を有する教員を配置し、授業や論文指導において学際性のメリットが十全に活かされるよう編成を行うことを基本としている。また、正・副の指導教員がその専門性の観点から論文指導に当たる他、3つの専門領域を横断する学識の形成を目的とした研究科共通科目を教員が輪番で担当し、さらに全専任教員が論文構想発表会ならびに中間発表会に参加することで、学際的な研究・教育環境を構築するための連携体制を整えている。

経済学研究科

経済学研究科が求める教員像は、本研究科の理念・目的を実現するために、本研究科の教育目標の達成のために、本研究科の教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に従う教育を実践して、修士課程及び博士後期課程それぞれに設ける本研究科の学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)に従った到達目標に達する人材を育成でき、更には、大学院基礎教育から各専門分野における高度専門教育指導を可能とする教員である。また、本研究科の教員編制の方針は、次のとおりである。

(1) 教育目標に謳う人材養成が達成できるよう多くの専門領域にまたがる多様な教員組織であること。
(2) 教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に従う教育を実践できる教員組織であること。

法学研究科

法学研究科の目的を見据えて、教育目標、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー(以下、教育目標等という)を確実に実施するうえで、学生と並んで教員が最も肝要な主体である。その主体たる教員には、これら教育目標等を踏まえて、教育と研究の両面において高い成果を挙げることが求められる。

法政大学としての教員組織の編成方針を前提とし、これら教育目標等を実施するために、法学研究科は、つぎのように「求める教員像」および「教員組織の編制方針」を定める。

求める教員像

  1. 時代の先端を行く高度で多様な研究を行い、そこでの教育と研究の成果を社会に還元するという法学研究科の目的に照らして、そのような教育を可能にする高度の研究能力を有する人材が本研究科の求める基本的な教員像となる。
  2. 大学院生の知的好奇心を刺激し、高度な専門教育に対する大学院生のニーズを満たすためには、的確な問題意識に基づき、高度の専門知識に裏付けられた優れた研究を教員自身が行なうことが求められる。
  3. 高度の研究能力を大学院生に十分に伝えるだけのコミュニケーション能力と教育に対する情熱をもった教員であることが求められる。
  4. マンツーマン方式による論文指導など、大学院生に対するきめの細かい個別指導ができることが求められる。

教員組織の編成方針

  1. 法学研究科の教育・研究は、原則として法学部の専任教員の兼担によって行う。
  2. 法学研究科は、法律学の研究及び大学院生教育のための体系性に留意しつつ、専門分野のバランスに配慮しながら、必要な教員を配置する。
  3. 専任教員の人事については、法学部と連携して行う。
  4. 教員間の連携体制を確保して組織的な教育研究を行うために、教育課程や大学および研究科運営等において適切に役割を分担する。
  5. 法学研究科内のFDカリキュラム委員会によるFD活動とともに、カリキュラムの編成・見直しを行う中で、絶えず教員の教育研究上の資質向上を図る。

政治学研究科

政治学研究科が求める教員像は、本研究科の理念・目的、そして教育目標を達成すべく、本研究科の教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に沿った教育・研究を実践することを通じて、修士課程及び博士後期課程それぞれに設ける本研究科の学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)に示された到達目標を満たす人材を育成できる教員である。
政治学研究科の教員組織は、理論、歴史、政策、行政などの政治学の専門領域、また国際政治理論、国際関係史、地域研究、グローバル・イシューなどの国際政治学の専門領域について、カリキュラム・ポリシーに沿った教育・研究を実践可能な教員で編成する。

社会学研究科

社会学研究科の教員は、大学・研究科の教育理念・目的を基本的前提として、研究科のディプロマ・ポリシーおよびカリキュラム・ポリシーを踏まえて大学院生の教育活動にあたることが要請される。その要請を満たし、各課程の最後では修士論文、博士論文が執筆できるような研究指導体制を組むことが、当研究科が目指す教員組織の編成方針である。

経営学研究科

経営学専攻の基礎学部である経営学部と連携して、研究、教育両面で優れた能力、実績を持った専任教員を採用する。専門分野については、経営学の進展や実務面のニーズ、既存教員の専門分野等を踏まえて検討する。また、専任教員以外に、大学院客員教員、外国人客員教員、任期付教員、兼担教員、兼任講師など多様な人材を登用し、多様なニーズに柔軟に応えうるカリキュラムを提供できるようにする。

人間社会研究科

人間社会研究科の教員には、大学・研究科の教育理念の基本的理解を前提として、各専攻の教育目標並びに研究科・専攻のディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーを踏まえて教育に当たることが要請される。とりわけ高度専門職業人及び研究者養成のために、学生たちの研究課題の決定、研究へのアプローチと方法論など、質の高い研究を指導できる教員が求められる。同時に、専門分野に関して高い研究能力を有し、先進的な研究に取り組んでいる教員が求められる。

人間社会研究科には3つの専攻が設置されており、教員組織はそれら専攻の学問領域に配慮した編制となっている。具体的には福祉社会専攻の教員はソーシャルワーク、システムマネジメント、コミュニティデザインなどを専門とする専任教員が配置され、臨床心理学専攻では公認心理師、臨床心理士や精神科医の資格を有する専任教員が担当している。また修士課程の福祉社会専攻と臨床心理学専攻を総合した人間福祉専攻(博士後期課程)には、福祉社会・臨床心理学両専攻担当の教授クラスの教員が配属されている。修士論文や博士論文の作成に当たって専任教員が正・副の指導教員となり、複数での指導体制をとっている。このため、専門分野の質の高い研究力はもちろんのこと、隣接する学問領域への関心を持ち合わせた柔軟な思考力を具備した教員で構成する方針が了解され、編制されている。

情報科学研究科

大学の建学の精神である「自由と進歩」に基づき、情報科学研究科の理念・目的および教育目標を正しく認識した上で教育に当たることが要請される。そして、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーに従った教育の実現をめざして、情報技術の専門家・研究者に必要となるコンピュータ科学についての知識を養いつつ、進展の著しい情報技術分野において陳腐化しない技術基盤を修得・研究させるために、どのような教育内容が適切であるかといった点を常に意識しながら教育と研究指導を行なうことが求められる。

教員組織の編制においては、情報科学研究科の理念・目的に基づき、多様かつ変化の速い情報科学分野への追従にも配慮しながら、学生に対して責任ある教育を行なうことのできる専任教員を中心に教員組織を構成する。専任教員は、自らの専門領域に対する教育および研究指導を分担するとともに、グローバルに活躍できる高度技術者を育成するための教育に参画する責を負う。専任教員の採用に当たっては、情報科学の新技術分野への対応も考慮しつつ、教員組織として、情報科学分野全般を網羅できるように務める。

政策創造研究科

本研究科は、地域を中心とした政策づくりのための教育研究を目的とした独立研究科である。政策の教育研究に携わる教員には理論とともに、政策実務の経験も不可欠である。特に、本研究科で学ぶ学生の多くは、企業を含めて政策形成の現場で働いており、現場における問題解決能力や政策構想能力の向上を目指している。このような学生の期待に応えるためにも、理論的バックグラウンドを持ちながら、何らかの形で政策形成に関わってきたキャリアを持つ教員が必要である。本研究科では、政策形成に関わりのある研究者を主力とした教員組織を編成することを方針としている。

デザイン工学研究科

デザイン工学研究科は、建築学専攻、都市環境デザイン工学専攻、システムデザイン専攻の3専攻からなる。その基礎となる学部は2007年度に開設したデザイン工学部で、同一名称の3学科からなる。従って、各専攻の専門分野に配置する専任教員は、すべて学部における同一専門分野の専任教員でもある。

3専攻に共通する教員像は、総合デザインに関する基礎研究、応用技術開発、実践によるデザイン実務の何れか一つ、または複数にまたがる優れた業績を有し、かつ、教育面においては学生に深い愛情をもってその育成に情熱を傾けることのできる人柄を有する者である。

教員組織としては各専攻・各分野の教育研究に必要かつ十分な人員数を配置すること、基礎研究から応用と実践に至る様々な領域に幅広く対応できるよう、研究者と実務経験者をバランスよく配置することを基本的な編制方針としている。

公共政策研究科

公共政策研究科は、法学部政治学科、社会学部社会政策科学科、人間環境学部それぞれの所属教員を基礎とした横断的構造を持った本学では独特の形態の研究科であり、本学では最も幅広い専門領域を有した研究科である。そのため所属教員全体の研究範囲はきわめて幅広い専門領域となる。また本学あるいは国内でもきわめて早い時期に創設された政策系大学院の一つとしての伝統を有し、従来の学部卒院生にとどまらず、広く社会人にも門戸を開放した教育研究を実践してきた。

こうした背景を基盤にして、本研究科の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)に基づいた教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)を、前述の研究科の特性を生かしながら実践し、本研究科の目的達成をはかることが本研究科教員に求められた最大の使命である。

本研究科は具体的には現代の公共政策課題を追求していくことを目指して公共政策学、サステイナビリティ学の2専攻を配している。そうした枠組みを起点として、本研究科教員には公共部門と民間部門の双方で、地域から国際社会に至る幅広い公共政策課題の解決に貢献できる高度専門職業人・研究者的実務家・研究者を育成していくことが求められる。そして、質の高い修士論文、博士論文執筆のための指導を行い、その研究を支えるべく指導と助言を行うが、各院生の指導教授にとどまらず、所属教員の幅広い専門性を生かすべく研究科教員一丸となり、個々の大学院生の指導にあたる姿勢も本研究科教員には求められるのである。

キャリアデザイン学研究科

キャリアデザイン学という学際的な領域の性格上、経営、教育、心理、社会という幅広い専門分野で教育・研究指導を行うことができる教員組織とすることが編制方針である。研究指導に際しては、複数の専門分野の教員が連携して指導を行っている。従って、教員には経営、教育、心理、社会の専門領域に関する学識ならびに学際的な指導ができる力量が求められると同時に、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーを踏まえた教育活動や院生指導を行う意欲と専門的な力量が求められる。

理工学研究科

理工学研究科の教員は、教育目標に掲げる人材像を育成するための資質を備えなければならない。高い職業倫理観を備え、社会の将来像を展望しつつ産業の振興に貢献しようという意思をもち(社会貢献、産業振興)、各自の科学技術領域において継続的に先進的研究・開発に尽力(先進的研究)することができる人材であることを求める。教員組織は、各専攻の標榜する専門領域において学生に対してこれらの資質が十分に涵養されるよう、常に検証・評価を怠らず、必要に応じて変革を厭わない精神によって運営されなければならない。以下で各専攻におけるより具体的な教員像と組織の編成方針を掲げる。

機械工学専攻

本専攻の教員は研究科ならびに専攻が掲げる理念や教育目標を十分理解した上で、学生の教育・研究を指導すると共に、自身の研究活動を活発化させ、その成果を国内外へ還元するよう努めなければならない。さらに、教員組織の編成は専攻が用意するDP1~DP5を提供できる十分な教育・研究能力を備えた教員を各分野に適切に配置する。

電気電子工学専攻

教員は、電気電子工学分野における学問的基礎に幅広く精通したうえで、関連分野の研究活動を継続的に実践できることを求める。各教員は、自らが専門分野に貢献するとともに学生に対して教育目標に掲げる資質の模範を示さなければならない。教員組織は、「電気電子工学」という名称の専攻が時代に求められる教育・研究の内容を意識し、人員構成や研究教育内容の策定を行わなければならない。

応用情報工学専攻

教員は、情報科学・情報工学における学問的基礎に幅広く精通したうえで、関連分野の研究活動を継続的に実践できることを求める。各教員は、自らが専門分野に貢献するとともに学生に対して教育目標に掲げる資質の模範を示さなければならない。また、非常勤講師とともに講義内容に関する相互連携を行い、専攻としての教育・研究の充実に常に留意しなければならない。教員組織は、高度情報化社社会における「応用情報工学」という名称の専攻が求められている教育・研究の内容を意識し、人員構成や研究教育内容の策定を行わなければならない。

システム理工学専攻

教員は、システム理工学における学問的基礎に幅広く精通したうえで、関連分野の研究活動を継続的に実践できることを求める。各教員は、自らが専門分野に貢献するとともに学生に対して教育目標に掲げる資質の模範を示さなければならない。また、非常勤講師とともに講義内容に関する相互連携を行い、専攻としての教育・研究の充実に常に留意しなければならない。教員組織は、高度情報化社社会における「システム理工学」という名称の専攻が求められている教育・研究の内容を意識し、人員構成や研究教育内容の策定を行わなければならない。

応用化学専攻

応用化学専攻では、持続可能な地球社会の構築に貢献する高度な先端化学を基礎理念として、広く応用化学分野における学問的基礎に精通したうえで、境界領域までカバーした研究活動を継続的に実践できる教員を求める.教員組織は、「応用化学」という名称の専攻が時代に求められる教育・研究の内容を意識し、人員構成や研究教育内容の策定を行う。

生命機能学専攻

教員は、生命科学・植物医科学における学問的基礎に幅広く精通したうえで、関連分野の研究活動を継続的に実践できることを求める。各教員は、自らが専門分野に貢献するとともに学生に対して教育目標に掲げる資質の模範を示さなければならない。教員組織は、「生命機能学」という名称の専攻が時代に求められる教育・研究の内容を意識し、人員構成や研究教育内容の策定を行わなければならない。

スポーツ健康学研究科

スポーツ健康学研究科の教員は、大学・研究科の理念に対する基本的理解を前提として、ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーに則った教育・指導を行うことが要請される。資質・能力としては、本研究科はヘルス・プロモーション、スポーツ・コーチング、スポーツ・マネジメントの3つの領域・科目群から構成されており、それら各領域において卓越した専門性が備わっているとともに、幅広い知識とグローバルな視野も求められる。

さらに研究面では、スポーツ健康学の国際的動向を踏まえた最先端の理論と研究方法を駆使して高度でかつ実践的な課題を解決できる能力、そして、その能力を学生に応じて適切に発揮できる柔軟な指導力が必要となる。教員組織の編成方針は、本研究科が上記3つの領域で構成されていることから、各領域に偏らないようバランスのよい教員配置を行うとともに、学生教育において各領域が常に有機的に相互作用するためのコースワークとしての授業と指導場面を設定する。具体的に、現行の修士課程では、研究入門編として全教員が担当するオムニバス形式の授業である「研究デザイン・フィロソフィー」を設定している。また、修士論文作成過程における段階的な研究成果発表会を課程期間内において複数回設定し、全教員の参加による指導を原則としている。     

連帯社会インスティテュート

本インスティテュートの教育理念・目標は、連帯社会の構築を担う高度な専門職業人を育成することである。この理念・目標を実現しうると思われる学生を選抜し、連帯社会を担う組織(労働組合、協同組合、NPO)をけん引しうる幅広い知識を学生に教授し、十分な研究能力・実践能力を獲得したことを証明できる論文を執筆できるよう指導することができること、これが本インスティテュートの求める教員像である。そのためには、各教員は専門の労働組合、協同組合、NPOについての理論を学び、実態についての詳しい知識を得るとともに、互いに学び合う姿勢を持ち、また連帯社会についての幅広い知識と教養を身につける必要がある。

本インスティテュートの専任教員は3人であり、各プログラムに責任を持つとともに、プログラム横断的な講義にも責任を持っている。論文指導に関しては指導教員が主たる責任を持つが、他の専任教員もそれに積極的に協力する。本インスティテュートにふさわしいカリキュラムを提供していくためには、専任教員だけではなく兼坦教員、兼任教員の協力を必要とする。そのため、専任教員のイニシアティブにより、彼らの意見を聞き、さらに専任教員から要望を申し出ることによって、適切なカリキュラムを編成する。