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Vol.78 元法政大学総長・谷川徹三関係資料

2015年02月12日

谷川の頭像(彫刻家・高田博厚〈1900~ 87〉作)詩人・片山敏彦の紹介で谷川は高田と親交を続けた。大内兵衛と宮沢賢治の肖像彫刻は谷川の勧めによるもの(法政大学史センター所蔵)

谷川の頭像(彫刻家・高田博厚〈1900~ 87〉作)詩人・片山敏彦の紹介で谷川は高田と親交を続けた。大内兵衛と宮沢賢治の肖像彫刻は谷川の勧めによるもの(法政大学史センター所蔵)

法政大学資格課程では、2014年11月11日(火)から15年1月31日(土)まで、市ケ谷キャンパスボアソナード・タワー14階の博物館展示室において「谷川徹三展」を開催、その功績を「法政大学」「翻訳・哲学・評論」「社会的な活躍」「家族・交友関係」の4本柱で展示していました。

今回紹介するのは、展示されていた関係資料の一部です。

谷川徹三(1895~1989)は、愛知県知多郡常滑町(現・常滑市)に生まれ、第一高等学校から京都帝国大学(現・京都大学)哲学科に進み、西田幾多郎に師事しました。

卒業後、1928年に本学哲学科の教授となり、66年に退職するまで38年にわたって本学に在職。この間、文学部長、能楽研究所長などを歴任し、63年から65年まで総長を務めました。

中村哲元総長は、「戦前・戦後を通じて谷川は『法政大学の象徴』だった」という言葉を残しています(本誌1989年12月号「谷川先生の人と思想」)。

妻・多喜子は同志社女学校(現・同志社女子大学)で学び、卒業後は音楽学校でピアノのレッスンを続けた。谷川は京都帝大時代に音楽会で多喜子と出会った。写真は、見返しに「TakiOsada(旧姓)」とある洋書『A manual of harmony』と、挿入されていた楽譜。多喜子の自筆と思われる書き込みが見られる(法政大学図書館所蔵)

妻・多喜子は同志社女学校(現・同志社女子大学)で学び、卒業後は音楽学校でピアノのレッスンを続けた。谷川は京都帝大時代に音楽会で多喜子と出会った。写真は、見返しに「TakiOsada(旧姓)」とある洋書『A manual of harmony』と、挿入されていた楽譜。多喜子の自筆と思われる書き込みが見られる(法政大学図書館所蔵)

哲学者、評論家としても知られる谷川は、宮沢賢治の研究をはじめ、文学、芸術、社会、宗教など幅広い領域で評論活動を行いました。

一方で『思想』編集者、『婦人公論』主幹、帝室博物館(現・東京国立博物館)次長などの仕事にも携わるなど、活動は多方面にわたっています。

また、西田幾多郎、岩波茂雄、安倍能成、和辻哲郎、野上豊一郎・弥生子夫妻、京大時代の学友の三木清や林達夫と親交があり、志賀直哉、有島武郎、阿川弘之、柳宗悦らとの交流や、原三渓、松永耳庵らとの茶会、さらに帝室博物館次長在任中に館長の安倍、和辻、田中耕太郎らと昭和天皇の話し相手をしたことなど、人間関係の多彩さと幅広さに驚かされます。

長男の谷川俊太郎(1931~)は詩人、翻訳家、絵本作家として知られます。

谷川は平和主義者としても知られ、世界連邦運動を熱心に進めた。写真は「Pacem in Terris(地上に平和を)」の会議の開催とその報道について所感を記した自筆原稿(法政大学史センター所蔵)

谷川は平和主義者としても知られ、世界連邦運動を熱心に進めた。写真は「Pacem in Terris(地上に平和を)」の会議の開催とその報道について所感を記した自筆原稿(法政大学史センター所蔵)

晩年、文化功労者に選ばれた際「道元の遺した〈修証一如〉により“一書生”を貫いてきただけ」と語った谷川は、逝去前日まで矍鑠(かくしゃく)として、理容店で髪を整え、日本伝統工芸展の審査会場で運営委員長を務め、夜更けまで読書やテレビを楽しんだ後、永遠の眠りについたといいます。

取材協力:法政大学資格課程、
       キャリアデザイン学部兼任講師・藤田直人

(初出:広報誌『法政』2014年度12月号)

本学図書館には、ドイツ哲学を中心とした1,042 冊の洋書コレクションからなる「谷川徹三文庫」が収蔵されている<br />(左)ヤスパースの著書を英訳した『ThePerennial Scope of Philosophy』(右)マルティン・ブーバー『Ich und Du』。細かい書き込みが見られる。いずれも「谷川徹三文庫」より

本学図書館には、ドイツ哲学を中心とした1,042 冊の洋書コレクションからなる「谷川徹三文庫」が収蔵されている
(左)ヤスパースの著書を英訳した『ThePerennial Scope of Philosophy』(右)マルティン・ブーバー『Ich und Du』。細かい書き込みが見られる。いずれも「谷川徹三文庫」より