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Vol.18 白木文庫と「シートン動物記」原作の初版本

2011年09月14日

法政大学図書館 所蔵資料

本学多摩図書館が所蔵する「白木文庫」は、児童文学者で翻訳家の白木茂氏(本名小森賢六郎、1910~1977)の個人コレクションです。

青森県三戸郡向村(現在の南部町)生まれの白木氏は、日本大学英文科在学中から翻訳を手がけ、卒業後に小説家の中山義秀に師事。戦前はW・H・アレン『アクィラの戦い』(1939年)、アントニー・ヘルマンフォッカー自伝『わが征空記』(1942年)などの訳書を出版しています。戦後になってヨハンナ・スピリ『アルプスの少年』(1948年)をはじめ児童書の翻訳家として活躍するようになり、1960年代にかけて、海外児童文学の紹介、翻訳出版に多大な貢献をしました。創作には『ジェットと機関車』『原始少年ヤマヒコ』(1959年)、『てんぐのめんの宇宙人』(1970年)などがあります。

『シートン動物記』原作の初版本。左から「Animal heroes」(1905;Thrushwood books)、「Monarch, the big bear of Tallac : with 100 drawings」(C. Scribner's Sons, 1904)、「The trail of the sandhill stag : and 60 drawings」(C. Scribner's Sons, 1899)。右の2冊は「with 100 drawings」「and 60 drawings」とあるように、シートン自筆の挿絵が収められている。

『シートン動物記』原作の初版本。左から「Animal heroes」(1905;Thrushwood books)、「Monarch, the big bear of Tallac : with 100 drawings」(C. Scribner's Sons, 1904)、「The trail of the sandhill stag : and 60 drawings」(C. Scribner's Sons, 1899)。右の2冊は「with 100 drawings」「and 60 drawings」とあるように、シートン自筆の挿絵が収められている。

また、日本児童文芸家協会の創立メンバーで、同協会常任理事、国際アンデルセン賞国内選考委員を歴任し、没後の1987年に同協会より児童文化功労者として表彰されました。

白木文庫の特色は、5420冊にのぼるコレクションのほぼ100%が英米書であり、児童書および児童文学に関連する図書資料が中心であること。内訳は百科事典類17タイトル、個人伝記153タイトル、伝説・民話155タイトル、童画・絵本392タイトル、童話1775タイトル、小説・物語256タイトルなどで、著名な作品を網羅した内容となっています。特に童話をはじめとする児童文学の分野では、これだけの図書資料をまとめて入手することは現在では極めて困難です。

シートン自筆の挿絵。最近刊行された『シートン動物記』には、これら自筆挿絵をそのまま使っているものも見られる。
シートン自筆の挿絵。最近刊行された『シートン動物記』には、これら自筆挿絵をそのまま使っているものも見られる。

シートン自筆の挿絵。最近刊行された『シートン動物記』には、これら自筆挿絵をそのまま使っているものも見られる。

コレクションには貴重資料が多数含まれていますが、中でも珍しいのが『シートン動物記』の原作となった作品の初版本3冊です。

『シートン動物記』は、米国の博物学者E・T・シートン(Ernest Thompson Seton)による、主に動物を主人公にした著作(全55編)を総称して日本でつけられた題名です。戦前から現在にいたるまで、複数の翻訳者・出版社が『シートン動物記』を刊行していますが、内容構成は各出版物によって異なっています。白木氏は1962(昭和37)年に児童向けの『少年少女シートン動物記』(全6巻)を翻訳出版しています。

※ 白木茂の経歴については、青森県近代文学館のホームページを参考にしました。

5420冊にのぼる白木文庫コレクション。童話や冒険小説、SF、ミステリーなどのカラフルな装丁は、当時の子どもたちをワクワクさせたことだろう。

5420冊にのぼる白木文庫コレクション。童話や冒険小説、SF、ミステリーなどのカラフルな装丁は、当時の子どもたちをワクワクさせたことだろう。

白木茂訳の『少年少女シートン動物記』(全6巻・偕成社)。原作の初版本のうち、「The Trail of The Sandhill Stag」は、白木版では『サンドヒルの雄ジカ』、「Monarch, The Big Bear of Tallac」は『タラク山の大グマ』と題され、物語集「Animal Heroes」は『動物英雄物語』と訳され、その中から『少年とヤマネコ』『勇ましいブルテリヤ』など数編が訳出されている。

白木茂訳の『少年少女シートン動物記』(全6巻・偕成社)。原作の初版本のうち、「The Trail of The Sandhill Stag」は、白木版では『サンドヒルの雄ジカ』、「Monarch, The Big Bear of Tallac」は『タラク山の大グマ』と題され、物語集「Animal Heroes」は『動物英雄物語』と訳され、その中から『少年とヤマネコ』『勇ましいブルテリヤ』など数編が訳出されている。