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Vol.7 梅謙次郎文書の電子公開について

2011年06月08日

法政大学図書館 所蔵資料

法政大学ボアソナード記念現代法研究所客員研究員  岡 孝

今年六月(※2007年)、法政大学図書館は梅謙次郎に関する資料(「梅謙次郎文書」)のうち、立法関係資料の一部分を電子化し、公開した。この資料は左記のURLにアクセスすることにより、誰でも閲覧が可能となっている。

■梅文書とは
本学が東京法学校から和仏法律学校法政大学に改称した時の初代総理(現在の総長)であった梅謙次郎(一八六〇年〜一九一〇年)が、明治四三年京城(現在のソウル)で客死した後、手元にあった種々の資料が和綴じの冊子体などにまとめられ、遺族から本学に寄贈された。二〇〇〇年三月刊行の梅文書研究会編『法政大学図書館所蔵・梅謙次郎文書目録』(法政大学ボアソナード記念現代法研究所)では、立法関係文書、著作原稿・意見書・講義備忘録等、韓国立法起案関係文書、その他の四部門に分けて整理されている。

■公開された資料
今回電子化されて公開されたものは、そのうちの八冊で、すべて民法起草に関する資料である。民法起草者は帝国大学法科大学教授の穂積陳重、富井政章と梅の三名であり、そのうち、富井の資料は戦災で焼失したといわれている。穂積の起草資料(穂積文書)は東京大学に保管されているが、梅文書にはそこにはない貴重な(慣習調査)資料もある。今後、このような資料を駆使して民法典制定過程を詳細に研究することが期待される。


Vol.7 法政大学図書館 所蔵資料

■写真の資料
さて、梅文書にしかないという貴重な資料の代表的なものが、「土地建物賃貸借ノ敷金ニ関スル慣例取調書」である。ここには、第一問「不動産ノ貸借ニ借主ヨリ貸主ニ敷金ヲ入ルノ慣例アリヤ」、第三問「敷金ノ預リ主ハ其利子ヲ払フノ慣例アルヤ」といった六項目の質問が明治二六年六月に内務省から各県になされ、それに対する地方からの回答書(その写し)が四九件と、この敷金に関する大審院の判決、各地の下級審判決が三〇件綴られている。上の写真は北海道庁からの回答の一部と送付状の部分である。民法起草者は、できるだけ慣習を調査し、合理的な内容ならば参考にしようという姿勢であった。このような調査にもかかわらず、民法の中には敷金に関する直接の規定はおかれなかった。

※出典:雑誌「法政」2007年11月号