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都市環境デザイン工学科の森猛教授が土木学会田中賞を受賞しました

2013年07月24日

 都市環境デザイン工学科の森猛教授が、新日鐵住金(株)の島貫広志氏、田中睦人氏とともに、公益社団法人土木学会の平成24年度「田中賞(論文部門)」を受賞しました。「田中賞」は橋梁・鋼構造工学での優れた業績に対して、授与されます。
 今回受賞された論文「UITを施した面外ガセット溶接継手の疲労強度に対する施工時応力レベルと応力比の影響」は、[土木学会論文集A1、Vol.67、No.2、pp.421-429、2011年]に掲載されています。

論文内容

 溶接継手の疲労強度改善技術は、グラインダーなどで疲労破壊の起点となる溶接止端の形状を滑らかにして応力集中係数を軽減する方法と、ピーニング等により溶接止端部に圧縮残留応力を付与する方法に大別される。ピーニングは、溶接止端部をハンマーやピンで打撃する方法であり、打撃により生じる塑性変形によって高い圧縮残留応力を付与できるとともに止端形状を滑らかにできるという特長を有する。ピーニング法の一つであるUITは、超音波振動を利用して高硬度の金属製ピンを振動させて溶接止端を打撃するものであり、ハンマーピーニングに比べ打撃の反動が少なく、打撃音が小さい、作業性がよいという特長を有する。 UITによる高い疲労強度改善効果は数多くの実験的研究により確かめられている。ただし、それらは荷重が作用していない状態でUITを行い、低い応力比の疲労試験により得られた結果である。この研究では、実構造物の使用状況を想定した応力条件下で、そして既設構造物を想定してUIT施工時の応力状態を変え、UITの効果を実験的に調べ、無負荷でUITを施工した継手が高い応力比を受ける場合にはその効果を期待できない、応力作用下でUITを施工した場合には高い疲労強度改善効果が得られる、という結果を示している。そして、そのメカニズムを残留応力の効果に関する詳細な考察や実際の溶接止端形状を模擬した有限要素応力解析により解明している。
 以上のように、UITは溶接継手の疲労強度改善に有効な方法であるものの、如何なる使用条件でも疲労強度を向上させる万能ツールではなく、使用条件によっては効果の程度が異なることを明確に示とともに、UIT施工時の継手部の応力状態を考慮し、適切な処理条件・適用条件で施工することによりUITによる高い疲労強度改善効果を確実に発揮できることを明らかとしている。このように、本論文の成果は、疲労を対象とした鋼橋などの溶接構造物の長寿命化の技術に大きく貢献するとともに、新たな疲労強度改善方法を考える際の貴重な知見を提供するものである。