トピックス(2019年度以前)

会話から得られるもの(キャリアアドバイザー通信)

  • 2016年07月28日
トピックス(2019年度以前)

 七月下旬、法政大学では定期試験が始まりました。いつもは話し声や笑い声であふれる廊下も、この時期になるとすっかり落ち着いてきます。夏季休暇を間近に控え、学生たちは校内のあちこちで勉学に励んでいるようです。もうすぐ夏休み、普段会えない人との再会を楽しめる機会でもありますが、みなさんはこの夏、どんな人と、どんなお話をしますか?

 先日、電車に乗って遠方まで移動していた時のことです。大学生と思われる女子二名が、通路を挟んだ正面の席に座りました。彼女たちは、席に腰を掛けるとすぐに、大きな声で話を始めました。「ねえ聴いてよ、どうしたらいいか本当に分からなくて、もう、どうしよう」と、一人の学生が深刻な表情で言うと、すかさずもう一人の学生が「なになに、どうしたの?」と返し、そこから悩み相談が繰り広げられました。聴き手となっている学生は、「へ~」「ふ~ん」「それで?」といった具合に、ときどき相づちや質問をしていました。話し手の学生は、勢いにのったまま話し続けていました。一時間ほど経ったとき、話し手の学生が「なぜか分からないけど、自分ならできる気がしてきた!まずは○○さんに声をかけてみよう」と言葉を放ったのですが、そのときの彼女は、初めのころと比べてすっきりした表情になっていました。この短時間で、何かが彼女を変えたのです。

 乗車している間、私はつい彼女たちに意識が向いておりました。これらのやり取りから感じたことは、自分が考えていることを表に出す(人に話す)ことには大きな意味があるのではないかということです。声に出して人に話すことで、自分は何が心配で、何に不満を感じているのか、これからどうしたいのかを知り、それを繰り返すうちに、少しずつ自分のことや周りの状況がみえるようになったのだと思います。悩みが解決したわけでもないのに話し手の心が前向きに変わっていったのは、会話をする中で気持ちが整理されたからではないでしょうか。また、聴き手の存在も重要です。二人の間には信頼関係が築かれていて、安心して何でも話せる空間があったからこそ、話し手の学生は自由に思いの丈を述べることができたと思います。素直な気持ちで会話ができること、そして心を許せる相手がいることは、たくさんのヒントや気づきに繋がるのではないでしょうか。

 私たちキャリアアドバイザーは、みなさん一人ひとりと向き合って、話を聴きたいと考えています。みなさんが自力で目の前にある壁を乗り越えることができるよう、私たちはいつも応援しています。夏休み期間も相談を受け付けていますので、就職に関する相談などご希望があれば、是非ご利用ください。

                                                           キャリアアドバイザー 里