フォントボン大学 2015年度SAプログラム体験記―多様な価値観に触れ人を理解し受け入れること

2016年06月17日

 私にとってこの留学は、一つの大きな挑戦でした。英語力に自信があったわけでもなければ、異国での長期滞在に不安がなかったわけでもありません。しかし今は、友人がいない環境に一人で飛び込むことを選んで良かったと感じています。

 フォントボン大学は都心から少し離れた閑静な住宅街に位置し、人々が自然に囲まれながらのびのびと暮らしていける環境があります。こぢんまりとしたキャンパスなため一人一人の距離が近く、教授や学生はフレンドリーで優しく面倒見の良い人ばかりでした。留学生も多く迎え入れている大学で、サウジアラビア、インド、スペイン、タイ、中国など様々な国の人と関われる機会がありました。インターナショナル課には留学生をサポートしてくれる現地の学生がいて、一人一人の留学生と毎月一回面談する機会を設けてくれました。また、月に数回ほど留学生を対象としたイベントがあり、都心部のセントルイス観光やバーベキュー、ホームパーティーなど、様々な場所に連れて行ってくれました。その他にも学内で映画鑑賞、スポーツ大会、コンサート、お菓子やピザを食べながら学生が楽しめるイベントなどを多く用意してくれていたので、現地の学生と交流できる機会が多くありました。

 語学学校と違いフォントボン大学では、アカデミックという現地の授業を受けられることが魅力の一つでもあります。私はIntercultural CommunicationとEssentials of Fashionという授業を取りました。異文化コミュニケーションといっても日本で学ぶものとはまた視点が異なります。アメリカ人からみた日本の印象と自分自身の考えの違いに気付けたり、同じ対象であっても国や文化が違うと全く異なる考え方や捉え方が出来るのだという新しい発見がありました。もう一つのファッションの授業は、全く新しい分野を英語で学びたかったことと、元々興味があり日本で受けることが出来ない内容であったということで選びました。日本人一人で受けていたため、良い意味で最初のガイダンスから最後のプレゼンテーションまで常に同じ緊張感をもって授業に臨むことができました。アメリカの授業は日本の授業スタイルとは大きく異なり、学生と共に授業を進めていくものがほとんどです。リスニング力もままならないまま始まった授業は会話についていくことに必死で、ほぼ毎回授業終わりに教授に質問をしていました。親切に対応してくださり、授業でも少しずつ発言できるようになりました。そういったコミュニケーションも英語力の向上に繋がったのだろうと感じています。毎週課されるテスト形式のレポートや、テスト、ファッション雑誌の作成などに追われ授業はとても大変でしたが、間違いなくこの留学で一番成長できた環境でした。

 現地ではキャンパス内にある寮で一年生と共に生活をします。一年生の入学と同じタイミングで入るので、入学式や一泊二日のオリエンテーションにも参加しました。寮は二人部屋で現地のアメリカ人とルームメイトになります。私のルームメイトは天真爛漫で気遣いの出来る子で、楽しい日々を送ることが出来ました。課題の添削をしてもらったり、夜な夜な自分たちの将来について語り合ったりしたこともありました。思うように自分の伝えたいことが言葉に出来ずもどかしく感じることもありましたが、身振りや手振り、紙に書いたりと手段を変えてコミュニケーションを取ろうとする気持ちが何よりも大切であると実感しました。文化も話す言葉も違うけれど、この先も繋がりをもっていたいと思える友人に出会えたことは、今後の私の英語学習においての大きなモチベーションにもなっています。

 日本を離れると今まで当たり前だと思っていたことが、当然当たり前ではなくなります。生活の些細なことからも自立した生活を送ることの大変さを痛感していました。また、異文化での生活を通してより日本を客観的に見ることが出来るようになり、日本独自の文化の良さにも気付くことが出来ました。文化、言語、バックグラウンド等が自分と異なることは頭で理解出来ていても、実際にその環境に身を置いたからこそ気付けることも多くあると思います。授業内容や何気ない会話の中で、食事、宗教、結婚、ライフスタイルなど、挙げればきりがないくらい多くの分野において多様な価値観に触れることが出来ました。それと同時に今まで以上に多角的な視点で物事を見る能力が培われ、許容出来る範囲が広がりました。これらの経験は、今の私自身の他者と歩み寄る上での寛容性にも活かせていると感じます。異文化を知ることでその文化を持つ相手への理解も深まります。日本では出会えなかったような人たちとの出会いを通して異文化を肌で感じ、「人」について考え自分自身についても見つめ直すことが出来た4ヶ月間の経験は、私の人生において大きな財産となりました。4ヵ月間、異国で生活したことを通して数多くのことを学びました。まずセントルイスは田舎の町で、とてものどかな町です。ダウンタウンから少し離れた場所にあるので、比較的安全な地域であり、一度も事故・事件に巻き込まれることがありませんでした。学校内にある寮での生活なので、通学時間もほぼゼロ!!学校から歩いて駅まで行け、電車やバスを利用すれば、ダウンタウンにも大きなショッピングモールにも行くことができ、地元の人の生活も体験することができます。近くにスーパーもあり、生活に困ることはありませんでした。

 私はESLの授業と正規の授業を取りました。ESLの授業は、ブラジル人、中国人、中東の国々からきた人々、ベトナム人など本当に様々な国の方が授業に参加しています。この授業の中で、違う国の人たちと交流し、多くの刺激を受けることができます。授業一つとっても、国民性の違いを感じることもあれば、日本人と類似点も見つかり、一つの授業で多くの文化を感じることができます。正規の授業では、アメリカ人に囲まれて授業を受けることになります。ここで自分はフォントボンでしかできない貴重な体験ができたと思います。それはネイティブの学生の前で英語を話し、プレゼンを行うという機会をいただいたことです。ESLのスピーキングの授業では、ノン・ネイティブの学生の前でプレゼンを行ったりしたのですが、それとは全く違う緊張を感じながらプレゼンを披露できました。もちろん授業の中で、教授は外国人の学生に気を使ってくれ、アメリカ人の学生は力を貸してくれます。

 寮での生活ですが、ブラジル人とルームメイトになりました。時には折り合いが合わず、私が違う部屋で寝たりもしましたが、私が困った時に助けてくれたり、いろいろな場所に連れてってもらったり、時には深い話をしたり、とても深い交流ができました。

 このSAプログラムでは、多くの国から様々な人が集まるアメリカという地で、多くの文化を学ぶことができます。その文化を学ぶことによって、今まで見たものを違う見方で捉え直すことができるようになったと思います。小さいことかもしれませんが、違う国の人の考え方、生き方を知ることは、自分自身の生き方、考え方を変えます。人生を変える留学。フォントボン大学での生活は、確かに自分の人生に対する考え方を変えてくれました。様々な人と出会い、ここで出会う全ての人があなたに対して特別な何かを与えてくれます。出会いが自分を変えていくのだと思います。

英文学科3年 加藤 麻帆