2011年UCD後期体験談

ダブリン市街

 “North Richmond Street, being blind, was a quiet street….” これはアイルランドを代表する世界的作家、James Joyceの短編集Dublinersの3番目に収められている短編“Araby”の冒頭文です。留学から帰った僕はいま、この通りの景色をはっきりと思い浮かべることができます。僕が後期SAプログラムに参加した動機の一つには、こうしたJoyceの作品に登場するダブリンの街を自分の目で確かめてみたいというのがありました。

 ただ、アイルランド出身の著名な作家はJoyceだけではありません。Yeats、G. B. Shaw、Beckett、Heaneyの4人のノーベル賞作家をはじめ、『ガリヴァー旅行記』のJonathan Swift、『幸福な王子』のOscar Wilde、『アラン島』のJ. M. Synge、日本史にも登場する小泉八雲(Lafcadio Hearn)、Sean O’Casey、Frank O’Conner、Edna O’Brienなど、その数は枚挙にいとまがありません。

ダブリン市街ブロンズ像

 僕はこの14週間の留学中、これらの作家のゆかりの地を訪れることに多くの時間を費やしました。ダブリン市内ではJonathan Swiftの墓参りに行ったり、W. B. Yeatsの直筆の手紙や原稿を美術館で見たり、Samuel Beckettが通った大学のベンチに座って本を読んだり、Oscar WildeやG. B. Shawの生まれた家を覗いたり、James Joyceの作品に登場するパブに入って黒ビールを注文したり、劇場で演劇を観たりしました。また週末はダブリンを離れて、フェリーで海を渡りG. M. Syngeがかつて滞在した島を訪れたり、O’Connerが収容されていた監獄の中に入ったりもしました。こういった経験のおかげで、かつて英文学講義を受講していたときの自分よりも、深く作品を理解できるようになったと実感しています。

  長期アイルランド留学で得られるものを僕なりにまとめると、①語学力 ②異文化体験 ③アイルランド文化の知識の三つに大別できると思います。僕は上記のとおり③に注力して留学生活を送りましたが、語学向上の環境も異文化体験の機会もUCDには十分に用意されています。自分なりの目標をもって渡愛すれば、きっと望むような留学となることでしょう。バスは定時に来ない、晴れていたのにすぐ雨が降り出す。でも人は優しくて、お酒が好きで、歴史と音楽に溢れているアイルランドのよさを一人でも多くの人に味わってもらいたいです。

                                               英文学科4年 馬場 甚一路